まるで可愛らしい蝶々のような触覚をしているツノトンボ。
はじめて見る人は、蝶なのかトンボなのか、それとも蝶とトンボの合いの子!?なんて思ってしまうかも。
ツノトンボってなあに?
ツノトンボはウスバカゲロウの仲間で、日本では本州や四国、九州に生息している昆虫です。
翅はトンボと似ていますが、目が大きく、触覚が3㎝ほどもあり、先端が膨らんでいるので、まるで蝶々のようでもあります。
見た目はヘビトンボのようですが、ヘビトンボほど胴体は細長くない、こじんまりとした原始的な可愛さ!?を感じる昆虫です。
世界には200種類ほどのツノトンボが存在していて、そのうちの何種類かはレッドデータブックにも載って絶滅を危惧されているものもあります。
実際日本でもここ数十年の間に激減している昆虫です。
日本には4種類のツノトンボがいて、その名も「ツノトンボ」の他に、キバネツノトンボ、オオツノトンボ、沖縄にしか生息しないオキナワツノトンボなどです。
ツノトンボの生態
ツノトンボはトンボと同じように4枚の翅を持っていて、前翅が大きく後ろ翅が小さめになっています。閉じる時は斜め後ろ方向に伏せて止まっています。
体長は3㎝ほどで、胸と腹の間がくびれていて、全体的な色合いは黒と黄色です。
腹部分の節がオスとメスでは違っていて、メスはやや赤褐色、オスは黄色です。
オスは尾端に2個の付属物を持っているので、色合いよりもそこで見分けた方がわかりやすいかもしれません。
トンボのようにスムーズな飛び方はできず、どちらかというとバタバタとした飛び方をします。
産卵は草の茎などに塊で卵を産み付けます。
塊で生むので、孵化したときにはその部分だけにごちゃごちゃと角のある幼虫が固まっているということです。
幼虫の形は、まるで蟻地獄のようですが、ツノトンボの幼虫は巣は作らず、植物の根元や茎などで成長します。この時のエサは小さい昆虫などです。
葉っぱの根元や石の影などにいる昆虫を食べて成長し、蛹になります。
ここがトンボとは大きく違う点です。
トンボはヤゴという幼虫から蛹にならずに一気に成虫になりますが、ツノトンボは蛹を経て成虫になる完全変態の昆虫です。
絶滅寸前!?のキバネツノトンボ
キバネツノトンボはその名の通り黄色の印象の強いツノトンボです。遠目から見るとそれモンキチョウやクロアゲハのようでもあります。
飛び方を見れば、それは別物であると気づくのですが、遠目ではもしかしたら間違ってしまうかもしれませんね。
キバネツノトンボは乾燥した河原などの草むらに生息しているのですが、年々生息場所が減り、現在埼玉県では絶滅危惧種、東京都でも絶滅種に指定されているほど珍しい昆虫になっています。
見つけた人はラッキーですよ♪
ツノトンボを見ると、宮崎駿監督のジブリシリーズ、「風の谷のナウシカ」にでてくる大王ヤンマを連想してしまいます。
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ナウシカのアニメに出てくる虫たちは、もちろん架空の生き物で、その中に出てくる大王ヤンマにはツノトンボのような可愛らしい触覚はなく、むしろ幼虫時代のアリジゴクの角のような、牙のようなものが生えているのですが、翅や胴体の感じや、全体的な雰囲気がとても似ていると感じます。
両者に共通しているのは「原始」
決して、トンボのようなスマートさもなければ、艶やかな蝶ほどの美しさもない。(ツノトンボ、ごめんなさい・・・)
でも、色んなことを知っている昆虫界の長老のような、鎮守の森の大木のような、森の人と表現されるオラウータンのような!!???
ツノトンボにそんな風格を感じてしまうのは、私だけでしょうか?
(ライター ナオ)