カゲロウは一斉に羽化してまるで雪景色のような幻想的な風景を作り…というイメージがありますね。
「じゃあ仲間であるウスバカゲロウも、同じようになるんだろう」と思っている人もいるかもしれません。
しかし実は、ウスバカゲロウはカゲロウの仲間ではないのです…。
名前に”カゲロウ”とついているものの、全く違う種類の虫で、その生態も異なるのです。
そこで今回は、「ウスバカゲロウ」の生態や、卵から幼虫、そして成虫への成長の過程を詳しく見ていきたいと思います。
ウスバカゲロウの生態
ウスバカゲロウは前述の通り、カゲロウの仲間ではありません。
どちらかと言えば見た目はトンボに近く、細長い体に丸い頭、そして細長い翅。
動いていない所を見るとトンボと見分けがつきにくいですが…目(複眼)が大きくないことや触角の太さ、飛び方などで見分けることが可能です。
飛び方はカゲロウという名前の由来でもある通り、ゆらゆらと舞うように飛びます。
その姿から「極楽とんぼ」「神様とんぼ」と呼ぶ地域もあるんだとか。
国内では北海道から沖縄までほぼ全国に生息しており、6月から10月頃にかけて姿を現します。
カゲロウやウスバカゲロウは短命な虫と言われることが多いですが、ウスバカゲロウの寿命はそんなに短いわけではありません。
カゲロウは成虫になると口がなくなり、食べ物も水分も摂ることがないため、数日から1週間ほどで命を落とします。
ウスバカゲロウも成虫になると食事をしなくなると考えられてきましたが、近年の研究ではトンボと同じように虫などを捕まえて食べるということが分かってきました。
よって、寿命も成虫となってから3週間から1ヶ月ほどはあるそうです。
まあそれでも短いと言えば短いですが…カゲロウに比べれば十分長生きですね。
ウスバカゲロウの幼虫
みなさんはウスバカゲロウの幼虫を見たことがありますか?
「いや、そんな虫知らない」「見たことない」と言う人も多いでしょうが…本当にそうでしょうか?
じつはウスバカゲロウの幼虫、俗に言う「アリジゴク」のことなのです!
どうですか?アリジゴクなら、見たり聞いたりしたことがありますよね?
(※すべての種の幼虫がアリジゴクとなるわけではないようです。)
アリジゴクは砂地にすり鉢状の穴を掘って獲物を待ち構え、そこに落ちた獲物を捕食するハンター。
俗にいう「優曇華の花」(細い糸の先に卵が付いたもの)がウスバカゲロウの卵であると思われがちですが、それはウスバカゲロウではなくクサカゲロウの卵。
ウスバカゲロウの卵は砂に産み付けられると言われています。
(このあたりの情報は少なく、詳しくはわかりませんでした。)
そして卵から孵った幼虫「アリジゴク」は、そのままの姿で約2年を過ごします。
このアリジゴク、非常に面白い生態の持ち主で、知れば知るほど興味が湧いてきます。
まずは獲物の捕らえ方。
すり鉢状の巣に誤って落ちた虫に、さらに砂を浴びせて穴の中心へと引きずり込みます。
そして獲物に消化液を注入し、分解した体組織を吸い取るのです…。
中身を全て吸い出した後は、残った吸い殻を穴の外にポイっと投げ捨てて完了。
また、生まれてから成虫になるまでの間、一度も糞をしません。
かつては排尿もしないと思われていたのですが、糞はしないものの排尿はするというのが最近分かったそうです。
蓄えた栄養は一グラムたりとも無駄にしない、と言うわけですね。
そのおかげか飢餓にも非常に強く、1ヶ月以上飲まず食わずの状態でも生きているんだとか。
恐るべしアリジゴク…!
ウスバカゲロウについてのまとめ
ウスバカゲロウの幼虫がアリジゴクだというのは、知っている人は知っているけれど、知らない人も多い豆知識です。
一度実際にアリジゴクを捕まえてみて、本当にウスバカゲロウになるのか育てて観察してみても面白いかもしれませんね。
(ライター もんぷち)