便所虫と言うと、昔ながらのスッポントイレ(汲み上げ式のトイレ)の近くに生息している虫なのかな?とまで想像する方は多いと思いますが、便所虫についてそれ以上知っている人も実は少ないようです。
今回は「ここが気になる!便所虫って一体なんですの?」についてまとめてみました。
便所虫=便所虫という昆虫ではないよ!
便所虫というと「便所虫」という虫や昆虫がいると誤解してしまう方もいると思いますが、厳密に言うとちょっと違います。
便所虫とは、便所に多く生息する虫の俗称なんですね。
よくダンゴムシと間違われることがある便所虫もいますが、彼だけが「便所虫」なのではなく、便所虫と呼ばれる虫は他にも何種類か居るんです。
よく小学生とかの会話でよくOOに行っている・やっていることに由来してあだ名を付けられることがありますが、便所虫もそれと同じで便所近くに多く生息することが由縁で「便所虫」と呼ばれています。
便所虫の代表例「ワラジムシ」
小学生がよくダンゴムシと間違うのが便所虫の1種「ワラジムシ」です。
衝撃を与えると自分の身を守るために丸くなるダンゴムシとは違い、ワラジムシは丸くなることが出来ないのが特徴です。
形状も注意して観察すると、ワラジムシの方が若干横長でワラジの形に似ています。
これがワラジムシという名前の由来にもなっています。
ワラジムシは世間的に便所虫と呼ばれることが多い、まさにワラジムシと言えば便所虫!みたいになっていますね。
シミ(紙魚)
シミは体長が8~10㎜程度。全体が銀色をしていて、英語ではシルバーフィッシュなどとしゃれた呼ばれ方をします。しかし、そんな名前とは裏腹に見た目は結構グロテスク。
体は扁平でダンゴムシを潰したような形。
頭部と尻部には触覚が伸びているのが特徴です。
動きが素早く、その形から狭い所に入り込むのが得意で、紙くずや布が好物です。
健康への影響は特になく、攻撃性もないのでそれほど慌てる必要はないのですが、気持ち悪い事には間違いありません。
アメリカミズアブ
アメリカミズアブはハエ目ミズアブ科に分類され昆虫です。
5月頃から大量発生する害虫で、体長は15~20㎜。体色は黒色で翅も半透明の黒色デス。
触角は長く、腹部には2つの白紋があり、胸部側縁も白い微毛で薄く縁取られています。
複眼はメタリックグリーンにメタリックパープルの細長い楕円がいくつも並んだような状態。
原産地は北米、中米ですが大陸間運輸活動に付随して世界各地に分布を拡大していて、日本には1950年頃に侵入し、本州、四国、九州、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島、父島で自然繁殖しています。
浄化槽などで発生した場合はマンホールの隙間などの出口がないと、配管を伝って這い上がり、トイレの便器の中に出てくることがあるのです。
水洗トイレになる以前はトイレ周辺でよく見かけられたので便所バエと呼ばれていたこともあるようです。
便所にいる便所コオロギ「カマドウマ」
私はお目に掛かったことはありませんが、よく便所にいるコオロギとして有名なのがカマドウマと呼ばれる通称「便所コオロギ」です。
昔ながらの木造日本家屋があった頃は、野山や畑から竈(かまど)に侵入して住み着いていたこともあり日本人には馴染みのコオロギの1種だったのですが、現代の隙間の少ない建物など生活環境の変化があって馴染みの少ない昆虫になってしまいました。
便所には蜘蛛(クモ)がいます。「ザトウムシ」
ザトウムシとは、小さな体と長い足を持つ独特な形をした生物です。一見するとクモだと思われがちですがクモとは別グループに属しています。
ザトウムシという名前の由来は、長い足で前を探りながら歩く様子から座頭虫という名が付いたと言われています。
体長は大きくても2cm程度で毒性などもありません。
森林などに多く生息しているザトウムシですが、便所の近くで見かけることもあります。
便所には「ハエ」がいます。
便所や湿地・水辺などに行くとハエより小さいけどハエみたいな生物が無数に飛んでいる光景を誰しも一度は目にしたことがあると思います。
その虫の正体は「チョウバエ」とよばれる昆虫です。
オオチョウバエ
オオチョウバエは体長が3~5㎜の灰黒色をしたハエです。
日本全国に分布しますが北海道では生息数が少ないと言われています。
元来は熱帯系の昆虫で、日本には比較的近年侵入してきた種類。
体表及び翅全体に長毛を密生します。
翅端に8個の白斑があり、幼虫は褐色、頭部を除く全節背面には背硬板がついていて、成熟すると体長は10㎜余になります。
蛹は暗褐色、体長は5~7㎜です。
排水管や汚水、下水、ユニットバスの浴槽下部にたまった汚泥などから多数発生し、屋内を飛来して不快感や不潔感を与えます。
吸血や伝染病の媒介などの被害はありませんが、発生場所が不潔なので食品などに混入した場合には微生物汚染が心配されます。
また、幼虫が体内に迷入した事例も報告されています。
ホシチョウバエ
ホシチョウバエは体長が1.3~2㎜程度で日本全土に分布している灰色のハエです。
触角は15節からなり、各節にY字状の間隔網があるのが特徴です。
成虫は一生のうちに約100個の卵を産むといわれていて、成虫の出現時期は4~12月。
暖かい建物内屋地下などでは一年を通して見かけます。
主に夜間に活動し、トイレや厨房、ふろ場等湿度の高い暗所に群がって灯日にも良く集まることが知られています。
食品工場などでは水回りの精巣が行き届いておらず、排水溝や機械の脚周り、配管内で発生したものが製品に付着したり、異物混入になることがあります。
一般家庭ではトイレの壁に付着したり、浴槽で溺死したり等不快感を与えることもしばしば。
幼虫が人の消火器や気道、泌尿生殖器などに迷入してハエ症を引き起こした例もあります。
便所虫のまとめ
今回は便所虫についてまとめてみました。
便所虫=ワラジムシではなく、便所虫は複数の種類の虫の俗称だということは意外と多くの方は知らない情報だと思います。
最近は住環境の変化も著しく、昔ながらの汲み取り式便所なども少なくなってしまいました。
もし、実家や田舎の方に遊びに行く用事があって、昔ながらの家があれば便所虫がいないか探索してみるのも面白いかもしれません。
(ライター Sugi)