世の中には何故かついつい目がいってしまう人気の動物たちがいるものです。
一番大きいわけでもなく、一番強いわけでもなく、一番かっこいいわけでもないのになぜか注目を浴びてしまうーー。そんな珍獣たちを集めてみました。
個性的な珍獣たちは一体生態系のどこに位置しているのでしょう?彼らを狙う天敵は!?
珍獣たちの人気の秘密と共にご紹介していきます。
パンダ
昨年6月に生まれ12月に公開になった上野動物園のシャンシャンの人気はこの春も健在のようすが、実はパンダは未だ進化途中の動物。
雑食であるクマから草食に移り変わる途中の段階とされ、このような生活スタイルになったのは約50~20万年前と言われています。
彼らのチャームポイントは白と黒というはっきりとした色の模様と無防備な印象を与える緩慢な動き。
クマにはない第6,7の指を持ち器用にササを掴んでむしゃむしゃと食べる様子は思わず見入ってしまいます。
しかし野生下で天敵であるゴールデンキャットやジャッカル、オオカミやヒョウなどが襲ってきた時には、彼らはいつものパンダとは思えないほど驚異的な凄まじさで相手を威嚇する肉食獣に豹変します。
パンダが天敵に実際に襲われてしまうのは幼獣か弱っている成獣のようです。
カピバラ
子供達にも大人気の珍獣カピバラ。
温泉に浸かって目をつぶり、人間のように気持ちよさそうにしている姿を思い浮かべる人も少なくないでしょう。全身に5㎝くらの黄褐色の毛がまばらに生えている様子は大きなタワシのようで、まるで目のついたタワシが温泉に浮かんでいるようでもあります。
カピバラの本来の生息地は南米のアマゾンの熱帯雨林。一年中湿度と温度のある地域ですから、カピバラは実は寒さが大の苦手です。
日本の動物園で1年中飼育展示する為に温泉という飼育方法が考え出されたのが1982年こと。
これがカピバラにも日本人の嗜好にもぴったりとはまり人気に火がついたというわけ。
皆で仲良く温泉に浸かっている様子は平和の象徴!?でもあり、温泉好きの日本人にはどこか親近感のわく存在です。
そんなカピバラの天敵はジャガーをはじめとした肉食獣やヘビ、ワニといった大型爬虫類たち。また、ジャングル以外ではコンドルなどの大型の猛禽類がカピバラを狙います。
実はのんびりしているように見えるカピバラですが本気で走った時には、時速50㎞を出すことができます。
天敵に襲われそうになると自慢の足で逃げたり、場合によっては水中に潜って5分ほど隠れることもできます。
手足には水掻きもあるので水中もスイスイと泳ぐことができるのですが、やはりジャガーの速さやワニの強さにはかないません。
チンパンジー
テレビ番組などでもおなじみのチンパンジー。
我々の祖先にかなり近い存在でもあり、その能力は人間をも超える!?勢いです。
幼獣の頃はヒトに懐く可愛らしい一面を持ちますが、成長するにつれて攻撃的な面が現れる動物でもあり、成獣は野生下で同種の小さいサルを集団で襲って食べたり、子殺しの習性もあります。
チンパンジーは高い知能で敵を回避することができ、外敵を見つけるとラーコルと呼ばれる独自の発生で仲間に外敵がいることを知らせたり、離れたところで敵を観察したりするので天敵に襲われることはほとんどありません。
しかし幼獣はヒョウや大型の猛禽類、ワニ等に襲われることがあります。
ナマケモノ
働き過ぎと言われる日本人の憧れの存在的珍獣!?ナマケモノ。
彼らの魅力は何と言ってもパンダやカピバラ以上に緩慢極まりない動きと全てのやる気を吸い取ってしまうかのような顔つき。
頑張ってもできない自分を責めている時、忙しさで自分を見失ってしまう時、子供から大人まで年齢を問わずに何となく味方につけたい動物なのかもしれません。
南アメリカや中央アメリカの熱帯林に生息している彼らの主な天敵はピューマやジャガー、そして大型の猛禽類ですが、防衛手段も戦闘力も持ち合わせていないナマケモノにとっては肉食の哺乳類が全て天敵になります。
唯一の生き残り戦略は敵に見つからないように身を隠して生きること。
280℃回る首で敵の存在を確認し、寝る時には頭を前脚の間に入れ、枝に張り付くようにして丸くなり樹に擬態します。
唯一地上に降りるのは週に1度排便、排尿をする時のみです。
ハリネズミ
ハリネズミは手の平サイズの大きさと人懐っこい性格がペットとして人気の動物。独特の見た目からキャラクター化されたり、ぬいぐるみになったり、写真集が出版されたりと多くの人から愛されている動物でもあります。
ハリネズミのお尻や鼻、手足の肉球などをよく見ると何故かクスッと笑ってしまう可愛らしさがあります。
彼らの天敵はヤマネコ、コヨーテ、テン、アナグマ、キツネ等の肉食動物とタカやワシ、フクロウなどの猛禽類。
全身針で覆われているかのように見えるハリネズミですが、針の生えているのは背中と頭部の一部のみで頭頂部と腹には針はありません。
敵は上手にその部分を狙い攻撃します。頭部を攻撃した後にひっくり返して腹部から捕食していきます。
大型の肉食動物にとってはハリネズミの針はほとんど意味のない武器なのかもしれません。
ヒョウアザラシ
甲子園球児の頭のようにくりくりとして、つぶらな瞳が印象的なヒョウアザラシ。人気の秘密はどこかオトボケ風の顔つき!?でしょうか。
しかし!!実はこのヒョウアザラシ、生態を見ると、それほど可愛らしい動物でもないことがわかります。
まるで「可愛いふりしてあの娘~♪」の世界。
彼らは強力な顎と鋭い歯で他のアザラシやペンギンを襲うことがあり、過去には人間も襲って殺してしまった例もあるほど獰猛です。
600kg程もある巨体でふいに襲われると、さすがの人間といえども太刀打ちできません。
しかし一方で、自然界にはきちんと敵といえる存在もいます。
シャチや大型のサメなどはヒョウアザラシをも勝る圧倒的な機動力で水中のヒョウアザラシを襲い、更にゾウアザラシがヒョウアザラシを捕食したという報告もあります。
これらのケースは非常に稀で天敵といえるほどの存在ではないかもしれませんが、ヒョウアザラシとて敵が皆無というわけではないようです。
ヤマアラシ
ヤマアラシは背中にまるでライオンの鬣のような針を持ち、草食性の齧歯類でありながら勇ましい戦いぶりが目を惹く動物です。
見た目の格好良さと大型の哺乳類に比べるとはるかに小さい体ながら強い、いわゆる「ちっちゃいけど強い!!」ことが彼らのチャームポイントです。
本来針を持つ哺乳類は外敵から身を守る為に針を使う場合が多いのですが、ヤマアラシの場合はむしろ攻撃を仕掛けているのではないかと思われるほど積極的に相手に向かっていきます。
尾を振って後ろ肢を踏み鳴らし相手を威嚇し、それでも相手が立ち去らない時は3万本程あると言われる背中の針を逆立て、針のない頭部を守るように後ろ向きに相手に突進していきます。
針は長靴を突き破るほどの強さを持っていて刺さると簡単に抜けるので、相手にダメージを加えながら自分は逃げるということができるわけです。
本来大きさや食性でいうと天敵になるだろうライオンやヒョウ、クマなどの大型肉食獣もこんなヤマアラシを積極的に襲うことはありません。
17頭ほどのライオンに囲まれてもすべて追い払って生き延びてしまう動画は感動的でもあります。
ラーテル
ラーテルは世界一怖いもの知らずの動物としてギネスブックにも認定されている動物です。
一見ナマケモノ風でもありますが、中身は全く別物。
怖いもの知らずという言葉だけは真逆の意味で共通していると言えるかもしれませんが・・・。
雑食性の彼らですが好物は何と蜂蜜!蜂蜜の在りかはミツオシエという鳥たちに教えてもらうというお茶目な一面をもっています。
怖いもの知らずの所以はここからです。
ラーテルの頭部から背中にかけての独特の平たい部分は硬く、伸縮性の高い皮膚で覆われています。
ライオンの牙からでも身を守ることができ、更に足には鋭い鉤爪と尻にはスカンクのような臭腺も持っていいて危険が近づくと強烈な臭いのする液体を相手に向けて噴射することもできます。
更に更にコブラの猛毒にも耐性があるのでコブラに噛まれても何の問題もないだけでなく捕食することすらできるのだとか・・・。
こんなラーテルですから、天敵とされているライオンやハイエナ、ヒョウなどに強気で攻撃を仕掛けていきます。
ライオンやヒョウたちも積極的にラーテルを襲うことはないのだそうです。
アライグマ
やはり人気のある珍獣というのは何らかのキャラクターになっている場合が多いようで、アライグマも古いアニメ、「アライグマラスカル」で大活躍した動物の1つです。
アライグマの名前の由来にもなっている”物を洗う”仕草は、実は彼らの視力の悪さからきています。
水の中で様子がよくわからない彼らは、獲物の様子を手で探っていて、その様子がまるでエサを洗っているかのように見えるだけ。
彼らの生きるための必死の行動が逆に私たちの目には可愛らく映っているということのようです。
彼らはもともと北アメリカに生息していて日本やヨーロッパには外来種として移入しています。
日本には天敵がいないため生息数が増え有効な退治方法が検討されているほどですが、本来の分布地域ではオオカミやオオヤマネコ、ピューマ、ワシミミズク等の大型肉食獣や猛禽類天敵です。
ワシミミズクは驚くほど強い消化器官を持っているので獲物を丸ごと呑み込み、後から骨や毛などの消化されずに体内に残ったものを吐き出します。
まとめ
珍獣と言われる動物たちの人気の秘密やチャームポイントは彼らが珍獣として生き残るための生存戦略と深くかかわっている場合があることがわかります。
珍獣たちのシャバもまた危険がいっぱい。必死で生きようとする姿が珍獣を生み、人間との間にもまた面白い関係が築かれているのかもしれません。