人々の生活を脅かす「害獣」と呼ばれる生き物たち。

そんな彼らが大繁殖をしたり外来種として定着してしまうのには、「天敵」の存在が大きく関わってきます。

ここでは国内に生息する代表的な害獣たちの、天敵について見ていきましょう。

カミツキガメ

カミツキガメが生息するのは、川や池、沼など、水草が多く茂る汽水域。

最大甲長は50㎝近くなるという大型のカメなのに加え、獰猛な性格と強い攻撃力が人々を脅かします。

指先などを噛まれれば縫うレベルの大怪我をすることもあるので、見つけても絶対に近寄ってはいけません。

ただし、基本的にカミツキガメはほとんどを水中で過ごしますし、こちらからちょっかいを出さなければ、自分より大きな生き物に噛みつくこともありません。

うっかり近づいたりちょっかいを出さないように気をつけさえすれば、大きな事故につながるようなことはないでしょう。

しかし、外来種として生態系を壊すという面では、看過できないのが現状。

本来であれば大型のワニ、ヘビ、鳥類、哺乳類などが天敵となるのですが、残念ながら日本にはそれらがほとんどいません。

強いてあげるならば、天敵は「人間」くらいでしょう。

カミツキガメの天敵って?

コウモリ

コウモリと言えば洞窟などにいるイメージが強いですが、種類によっては森林や山にも分布しており、中には民家や建物に住み着くものもいます。

その被害としては、糞による異臭問題や感染症・ダニなどの衛生問題、鳴き声や羽音による騒音問題などが挙げられます。

血を吸うという被害は、「チスイコウモリ」という種類のみによるものですが…他の種類でも、噛まれると細菌感染などの被害をもたらすことがあるので気を付けなくてはなりません。

基本的にコウモリは害虫を食べてくれる「益獣」ではあるのですが、場合によっては害獣になってしまうということですね。

そんな彼らの天敵は、主に猛禽類です。

夜の活動に適した進化をしているコウモリですが、同じく夜の活動に特化したフクロウ類などには、捕まってしまうことが多いようですね…。

また、ヘビやトカゲなどの爬虫類、ネコ、小さい個体では大型のカエルに捕食されてしまうこともあるんだとか。

小型のコウモリになるほど、天敵は増えるということです。

コウモリの天敵って?

カラス

カラスは最も身近な鳥類でもあり、害獣と聞いて一番に頭に浮かぶ生き物でもあります。

その生息域は広く、標高1100m以下の明るい森林や平地、低地、都市部、海岸地帯など、様々な場所でその姿を見ることができますが…。

その分人々の生活に与える害も多く、農作物を食い荒らす、生ごみを漁って散らかす、鳴き声による騒音、時には人間に対する攻撃など、長らく人々の頭を悩ませてきたかなりの問題児です。

しかしそんなカラスにとっても、天敵は数多く存在します。

まず彼らが最も恐れるのは、オオタカ、トビなどの大型猛禽類です。

猛禽類は鋭いツメに大きな体と高い飛行能力などカラスにはない力を持っている上に、知能も非常に高くカラスを水に沈めて弱らせるなど戦略的な狩りを行います。

いくらカラスの知能が高いとは言え、猛禽類相手では勝ち目はないようです…。

カラスの天敵って?

鳩は種類によって山や森林、河原、平地、都市部など様々な場所に生息しています。

その中でも問題となるのが、都市部に生息している鳩たちによる被害。

鳴き声による騒音問題や、糞害、病原菌の媒介など衛生的な問題が、家のベランダや庭など生活に密着した場面で起こりやすいのが特徴です。

本来、鳩の最大の天敵はタカやフクロウなどの猛禽類なのですが…都市部においてはほとんど猛禽類が生息していません。

そうするとカラスや猫などが主な天敵となるのですが、彼らは生ごみなどの餌が豊富にあるため、鳩を襲うことは稀です。

こう言った理由から、鳩は都市部で爆発的に増えてしまいました。

しかし近年では、絶滅危惧種として保護された猛禽類たちが都市部でも見られるようになったことにより、鳩にとって都市部は安全な場所ではなくなりつつあるようです。

ただし鳩のほうも一筋縄ではいかず、近年では猛禽類に狙われないために黒色化の傾向がみられる(カラスに似せるため)そうです。

鳩の天敵って?

ドブネズミ

ドブネズミはその名の通り水場を好む性質があるため、郊外では河川や水田近くの茂み、都市部では床下や下水道などのジメジメした場所に多く生息しています。

下水道が不衛生なのはもちろんのこと、彼らは死肉を食べたりするため、衛生的に大きな問題があります。

そんなドブネズミが齧った食べ物を人間が口にしてしまうと、食中毒などを引き起こしてしまう危険性も。

古くからドブネズミを含め、ネズミの天敵は「猫」とされてきましたが、近年ではあまり猫がネズミを襲うことはありません。

他にも餌が豊富なので、遊びで捕まえることは稀にありますが、わざわざ食べるために捕まえたりすることは少ないのです。

しかしネズミのほうは猫を警戒するので、近くに猫がいるとあまり近付いては来ないでしょう。

その他の天敵としては、キツネ、タヌキ、イタチなどの肉食・雑食哺乳類、猛禽類やカラスなどの鳥類、ヘビなど。

「天敵」とは少し違いますが、ハムスターがいる家では縄張りを意識して近寄って来なくなる、という話もあります。

巨大「ドブネズミ」の大きさが半端ない!

ハクビシン

ハクビシンは外来種なのか在来種なのかすら明らかになっていない謎の多い生き物です。

主に低地の森林地帯に生息していますが、海外の一部の地域では標高2500m以上のところに生息している姿も確認されています。

また、近年では森林減少の影響か、都市部の住宅街などにも姿を見せることも増えてきました。

ハクビシンは雑食ですが比較的果実などの植物食を好む傾向が強いことから、農作物に対する害獣としての一面も。

民家に住み着いてしまうケースも問題視されており、その場合は糞害や騒音などが問題となります。

彼らの一番の天敵と言えばやはり人間でしょうが、それ以外では猛禽類やアライグマなどが挙げられるでしょう。

小さな子供の内は猛禽類に狙われることも多く、またアライグマとはねぐらや餌を巡って争うことがあるようです。

アライグマの方が凶暴性や体格において力は上で、ハクビシンは棲み家を追われることが多いのだとか。

ハクビシンの天敵は?

イタチ

イタチの主な生息域は川や池、湿地などの水場周辺です。

また、時には水辺から離れた森林などに生息していることも。

他の害獣(ネズミや鳥類など)を食べてくれる益獣としての一面もありますが…彼らは雑食であり、農作物を食い荒らしたり家畜を襲ったりといった被害をもたらすことも。

また、近年では民家の屋根裏などに住み着いてしまうケースが増えており、糞によるにおいや衛生的な問題、騒音問題などを引き起こす厄介な動物です。

そんな彼らの主な天敵は、ワシ、タカ、フクロウなどの猛禽類や、キツネや猫などの肉食哺乳類。

イタチは成獣でも重さが500gほどととても軽いので、簡単に他の動物に襲われてしまうのです。

特に子供の頃には注意が必要なため、イタチはこれらの動物にはかなり警戒をしています。

しかし日本に生息している「ニホンイタチ」に限って言えば、最も強力なライバルとなるのは外来種である「チョウセンイタチ」でしょう。

ニホンイタチはチョウセンイタチとの生存競争に敗れつつあり、西日本では見かけるイタチの大部分がチョウセンイタチではないかと言われるほどです。

イタチの天敵って?

イノシシ

イノシシは日本にも古くから生息しており、主な生息域は低山帯から平地にかけて。

雑草が多く茂るうっそうとした森林や草原、かつ水場が近い場所を好む傾向があります。

しかし近年では餌を求めて人家周辺に姿を現すことも多くなり、人々は戦々恐々。

イノシシの被害は何と言っても農作物を荒らすことですが、その他にも遭遇した人に襲い掛かってくるなどの被害も報告されています。

普段は向こうから逃げていくことがほとんどですが、子連れの場合や発情期のオスなどは襲ってくる可能性も否定できません。

また、イノシシに付着している「マダニ」が彼らの通り道にばら撒かれ、マダニによって感染症などを引き起こす危険性もあります。

そして残念なことに、現在の日本でイノシシの天敵となるような生き物はいません。

かつてはニホンオオカミがイノシシの天敵だったのですが、今は絶滅してしまいましたし…ツキノワグマは体格的にもスピード的にもイノシシを襲うことはほぼありません。

(北海道にはイノシシがいないので、ヒグマはわかりませんが。)

体の小さい子供は猛禽類やキツネなどに狙われることもあるそうです。

国外では、やはりトラ、ライオン、ヒョウ、オオカミ、クマ、ワニなどの大型肉食獣が天敵となります。

イノシシの天敵って?

モグラ

見た目はとても可愛らしいモグラですが、畑を穴だらけにしてしまう厄介な動物でもあります。

彼らは主に森林や草原の地中に生息していますが、ご存知の通り人家周辺の畑や都市部などにも出没。

モグラはミミズや昆虫の幼虫などを食べるので植物自体が食害されることはありませんが、穴を掘る際に根が傷つけられたり、穴からネズミが入り込んで作物を荒らすなどの被害があります。

またせっかく綺麗に植えてある芝生などのグラウンドカバーがボコボコになったり、益虫であるミミズを食べてしまうという弊害も。

人間にとってはなかなか姿も見せない厄介な害獣ですが、力もスピードも大きさもないモグラにとっての天敵は、山ほど存在します。

猛禽類、ヘビ、猫、キツネ、イタチなど…地中にいる間は安全ですが、うっかり外へ出ようものならあっという間に食べられてしまうでしょう。

時には穴を掘り返してまで襲われることもあるそうです。

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害獣たちの天敵についてのまとめ

害獣の数を増やさないようにするためには、「天敵」の存在が必要不可欠です。

しかし外来種などでは日本国内に天敵のいないものもいて、もはや人間の手以外での淘汰が難しい状況も多くあります。

そう考えると、多くの生き物たちにとって一番の天敵は、やはり人間なのかもしれないですね。

(ライター もんぷち)

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