カゲロウとカゲロウの卵を見たことがありますか?

儚げでどこか弱々しい感じのする昆虫ですが、そんなカゲロウの卵は一体どんなものなのでしょうか?

カゲロウの特徴

カゲロウは節足動物門昆虫綱カゲロウ目に分類される昆虫の総称です。

昆虫の中ではとても古い系統に属し、最初に翅を獲得したグループのひとつであると考えられています。

現生しているもので23科310属2200種、日本では13科39属140種以上と言われていますが、幼虫と成虫の関係がついているものはそのうちの90種です。

幼虫は全て水生で不完全変態ですが、幼虫から亜成虫になり、最後に成虫になるという半変態と呼ばれる特殊な変態をします。

成虫には長い尾がありますが、体は細長で弱々しく、種類によっては寿命が30分ほどしかないものもいます。

 

カゲロウの複眼は大きくて、頭部のかなりの割合を占めています。

特にオスの複眼が大きく、上下2段に分かれた複眼のうち上の複眼が巨大な円柱形になるものもいて、カゲロウ目特有の「ターバン眼」と言われています。

触角はとても短く、口の構造は退化していて接触行動はとれません。

カゲロウの幼虫

カゲロウは水生昆虫である幼虫の研究が盛んに行われた昆虫です。

幼虫はすべて水中で生活し、多くは革の比較的綺麗な流域に生息しますが、湖沼や浅い池、水田など止水域に棲む種類もいます。

 

時には汽水域でも見られることがありますが、海水種は知られていません。

長い期間水中で生活するため、それぞれの環境に適応した形をしていますが、基本的に鰓を持ち、翅がないこと以外は成虫と同じです。

鰓は腹部の各節の両端に色々な形で着いています。

 

基本的には呼吸器官で、腹部の第1~7節まで1対ずつついているのが原型ですが、2対まるものや数が減っているものもありますし、鰓を遊泳などに利用したり、吸盤のように変化させて岩に張り付く種類もいます。

 

良く泳ぎ回るのはチラカゲロウ科の幼虫で、魚類にも似た紡錘型の体を持って渓流や早瀬などの石や岩盤の表面に生息するヒラタカエロウ科は体が著しく扁平で、水野抵抗を軽減するようになっています。

 

流れのゆるい砂底や止水に生息する種類の幼虫は体は円筒形で、脚が細く、体を少し持ち上げた形をしています。

マダラカゲロウ科のトゲマダラカゲロウ属に分類される幼虫は他の水生昆虫を捕食するので、前脚が広大になっています。

食性も種類によって違い、石表面の藻を食べる者や植物遺骸やデトリタスを食べるもの、捕食性のもの等様々です。

カゲロウの亜成虫

カゲロウの幼虫時代は脱皮回数が多く、通常は10回以上、時には40回の脱皮を繰り返す種もいると言われています。

幼虫の期間は半年から1年程度ですから、1月に1回のペースで脱皮をしている等いうことです。

終齢近くの幼虫には翅芽が発達して蛹にはなりません。

 

羽化は春から冬までですが初夏の頃が最も多く、時間帯も夕方が最も多いようです。

種類によって時期や羽化の場所は異なりますが、羽化したものは成虫よりも毛の多い亜成虫と言われ、その後再び脱皮をして成虫になります。

翅が伸びた後に脱皮する昆虫はカゲロウの他にはいないと言われています。

カゲロウの卵

日本に生息するカゲロウのうちクサカゲロウ亜科は2種類、そのうちの10種類ほどは人家近くの環境で普通に見ることが出来る種類です。

成虫の体長は10~30㎜程で触角は糸状で体は前後に細長い典型的なクサカゲロウの形をしています。

クサカゲロウの卵は長い卵柄を持ちます。

 

10~60個の卵を1個ずつ産み付けらることが多く、卵の大きさは1㎜程でやや細長い楕円形をしています。

まるで糸の先端に灯がともっているかのような神秘的な様子で、古くは植物と考えられていたこともあるのだとか。

 

仏教の説法の優曇華の花という伝説にある架空の花で3千年に1度花を咲かせるという神秘性にちなみ、ウドンゲと呼ばれることもあるそうです。

種類によって産み付ける植物も違うようですが、時期的には5~6月のようです。

見つけたら、ぜひその神秘の世界を楽しんでみてください。

(ライター ナオ)