昆虫の種類を判別する事はとても難しいらしく、見ただけではどの種なのか判らないほどよく似ている事も多いそうです。
これは同じ種かな、と考えられる種を交尾させてどんな虫が産まれるかを調べれば判明するとの事ですが、一般人にはちょっとできません。
そんなわけで、見た目が100%とは言い切れないところがあります。
結構複雑な世界ですね。
コオニヤンマの名前について
名前にヤンマが付いているのにヤンマ科ではなく、「サナエ」というトンボの仲間です。
やや紛らわしい名前の由来について、確実なことはいえません。
トンボの中ではオニヤンマに次いで大きいトンボであるから、それに「コ」を付けたのかも知れないという説が分かりやすそうですが、それをはっきり示す確たる証拠は今のところ発見されていないようです。
サナエ科のトンボとコオニヤンマの特徴、見分けるポイント
サナエの仲間のトンボたちは、見た目がよく似ています。
その中でとびぬけて体が大きいのが、コオニヤンマです。
成長するとおおよそ85㎜程になります。
また、胴体は黄色に黒い斑点が付いています。
サナエ科のトンボは黒い斑点つきの個体が多いそうで、そこも似たようなトンボに見える原因だそうです。
オニヤンマとコオニヤンマの違い
コオニヤンマは腹部が大きく、見た目がどっしりしています。
頭は小さく、後ろ足が長い。
コオニヤンマが長い脚で川岸の石に、身を低くしてぺったりくっついている様子は、いかにも獲物を狙う肉食動物を思わせます。
対してオニヤンマは、獲物を求めて飛び回っているか、木の枝などに翅を広げてぶら下がっている事もあります。
トンボと言えば、特徴の一つに「複眼」があります。
間近でじっと見ていると、面白いですよね。
コオニヤンマの複眼は左右が少し離れています。
ヤンマ科のオニヤンマはくっついていますから、これも見分けるポイントになります。
コオニヤンマの生態
トンボは不完全変態の昆虫です。
サナギにはならず、卵→幼虫→成虫という順に成長します。
コオニヤンマはヤゴの時から体付きに特徴があり、お尻の方が平たく広がっており一見するとヤゴには見えないくらい変わった形をしています。
ヤゴの触角もオニヤンマとは全く違います。
餌もすごいものです。初めのうちはミジンコなどを食べていますが、ヤゴ歴が長くなり中齢のヤゴになるとオタマジャクシやメダカなどの小さな魚などをもりもりと食べ、越冬します。
ヤゴでいる期間は約2年から4年だそう。これでは強くなるはず、というよりもともと強くできているのか。
コオニヤンマの生息地域
コオニヤンマは北海道から九州まで広い範囲に生息し、5月半ばから9月頃まで長い間見られるのも特徴です。
丘陵地、低山の近くにある河川の近くにじっと止まっているのを見る事ができます。
中流の、比較的開けた明るいところを好みます。性格は激しめ。
彼らのお食事スタイルを見てしまうと、かなり獰猛な印象を受けますね。
川の中ほどの岸辺で、じっと獲物を待っています。
オニヤンマも強いトンボですが、コオニトンボもなかなか強烈なキャラクターの持ち主です。
獰猛なコオニヤンマ
トンボが好きな方なら、コオニヤンマには「獰猛な」という枕詞をつけたくなるでしょう。
飛び方は決して速くありませんが、獲物に向かう姿はトンボながら猪突猛進といった具合です。
コオニトンボの捕食の特徴は、とにかく獲物を見つけてから飛ぶ、という点にあります。
他のトンボは飛びながら獲物を見つけます。
長く飛び回るのではなく、とにかく食べ物!獲物!それしかない!みたいな感じです。
こういった無駄を極力省いたように見える直線的な生き方は、余計なことを気にしないですむので、存外いいかもしれませんね。
彼らからしたら生き方だとかそんな呑気な事言ってられるか!という感じかも知れませんが。
昆虫愛好家の方たちとトンボの蜜月
昆虫を心から愛する方たちの中には、ヤゴを見つけると、ご自身で育てて羽化させる方もおられるようです。
トンボの変態は、まったくもって見事なものです。
姿形だけでなく、ヤゴ時代には水生ですからエラ呼吸なのに、大人になると突如として普通の呼吸をし、しかも飛び始めるのです…!
何とドラマティックな人生(トンボ生?)でしょうか。
ここまでドラスティックに生存方法を変える、という事は一体どんな感じがするのでしょう。
ここはヒトツ、トンボを飼育してみないと分からない事かも知れません。
(ライター おもち)