遠く江戸時代には「モズが鳴く夜は死人が出る」とまで言われていた凶鳥。
何故こんな可愛らしい小鳥がそんな風に言われていたのでしょう。
モズの生息域
モズは日本や中国南部、ロシア南東部、朝鮮などに生息しています。
日本で見かけるモズは基亜種で北部や標高の高い地域に生息していて、秋が来ると南下するものや逆に高地に移動していくものがいます。
一応、周年を通して日本に生息しているということになっていますが、南西諸島などでは渡りの途中に寄る現象もみられるそうです。
モズという名前の由来
モズは漢字で書くと「百舌」や「百舌鳥」となります。
百もの舌を持っているってどういうことなのでしょうか。
それはモズが色々な鳥の声色を真似するということなんです。
繁殖期に鳴くオスのさえずりは一羽の鳥が鳴いているとは思えないほど。
豊かな森で多くの鳥たちのさえずりが聞こえてくるような錯覚を覚えるほどです。
これが、モズのオスの求愛ソングになって、メスを惹きつけるのです。
モズの生態
モズのオスは茶褐色でお腹部分が白っぽく、目の上に白い眉のようなものがあります。
メスは全身が茶褐色です。
体長は20㎝前後。
2~8月になると樹上や茂みの中に小枝などを集めて巣を作り、4~6個の卵を産みます。
メスが12~14日抱卵し、孵化した後は巣立ちまで16日ほどです。
この間、カッコウに托卵されてしまうこともあります。
また、年に2回ほど産卵することもあるようです。
モズの「はやにえ」
モズは一見可愛らしい雰囲気をもちながら、実は結構獰猛な鳥です。
基本肉食で、昆虫はもちろん、甲殻類や小型の爬虫類や小型の鳥類なども捕食します。
嘴が小さいながらも鷹のように鉤になっていて、肉を引きちぎるのに向いているというわけ。
しかし、足の力がそれほど強くないので、タカや鷲のように足でつかんだり、押さえつけたりすることがあまり得意ではないと考えられています。
そこで、モズたちはとった獲物をどうするか??
木の枝や格子鉄線などのとがったところに半殺しのまま串刺しにするんです。
そう、まるで焼き鳥のように・・・・。
その姿は結構グロテスクな光景で、枝の先でぴくぴくとハチやカエルが動いていることもあります。
この行為は「はやにえ」と呼ばれていますが、何のために行っているかには色々な説があるようです。
モズの「はやにえ」の理由
一つは先に書いたように、エサを完全に死なせてから食べるため。
一度串に刺して動けなくしてから、肉を引きちぎって食べるという賢い方法です。
しかし、確かに串刺しにしたエサを食べていることもあるのですが、実はモズは串刺しにしたままエサを放置し、忘れてしまうことも多く、そのまま他の鳥にそのエサを食べられることもしばしばなのだとか。
現在、有力な説としては、エサを突き刺すことで自分の縄張りを主張しているのだという説。
これは本能に従って行われる行為で、空腹や満腹は関係なく、動いているものを見るとハンティングし、その強さを周りに誇示するために突き刺す――――という、人間に例えて言うなら、お金持ちの男性が高級ブランドの新商品を次々と買って、身に着け、自分を誇示するということ!!???
確かに、モズのくちばしを見れば、ハンティングが本能と言われても納得がいくわけで、単なる可愛い鳥では内容です。
モズの本当の鳴き声
モズの普段の地鳴きは実に地味な「チチチチチ」というちょっとかすれた感じの、だみ声。
11月頃になわばりを主張するために出す激しい地鳴きは高鳴きとも言われています。
まとめ
色合いも地味で、声色も地味、となれば後は実力で勝負!?といったところなのでしょうか。
他の鳥の声色を真似したり、はやにえ行動をとるモズの姿はとても風変わりに移ります。
でも、そんな行動の全てが、モズという鳥たちが生き延びるために選択してきた道なのだと思うと、敬意を評さずにはいられません。
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