ヒヨドリは体長28cmほどのスズメより少し大きい野鳥です。

体の色はグレイッシュで顔のあたりに茶系の模様があります。

 

頭が白っぽい事から「白頭鳥」とされる事もあります。

目立つ鳥ではありませんが、尾羽が長く体は細く頭がボサボサしている事が多いので他の野鳥と判別しやすいでしょう。

ヒヨドリの特徴

ヒヨドリ科のヒヨドリ(hypsipetes amaurotis)の特徴はすぐれた飛翔力にあります。

体つきはスマートで飛ぶのに向いています。

飛び回る時は、風圧を避けるかのように羽をぴったりと体につけ流線形のような恰好になり、波打つように飛ぶ事もあります。

羽の長さは27cm程あるので羽を広げて飛ぶと、小型で細身の体ながら猛禽類を思わせます。

 

嘴はシャープで色々なものを捕らえるのに適しています。オスとメスに外見の違いはそれほどありません。

国内に棲息するヒヨドリたちは、北方地方に行くほど羽の色が白っぽいようです。

それらが亜種ではないかともいわれる事がありますが、ヒヨドリも他の野鳥たちと同じように好きなところへ飛んで行ってしまうので観測が難しいようです。

ヒヨドリの餌

ヒヨドリが具体的に何を餌にするのか?その問いに明確に答えるのは少し難しいかも知れません。

なぜかというと、ヒヨドリはその高い飛翔能力を存分に発揮し、その時に実っているものならほぼ何でも食べるようだからです。

また、ヒナの時期と成鳥になった時の餌は少し違うようですね。

ヒヨドリのヒナの餌

ヒヨドリの繁殖期は春から夏にかけてです。巣作りには様々なものが使用されます。

植物性のものも勿論、ビニールの紐のような人工物でも、どこからか見つけてきて使う事があるようです。

 

ヒヨドリの卵は30mmほどの白く斑点がある卵形の卵です。約2週間ほどで孵化し、10日前後で巣立ちます。

幼いヒヨドリに、母ヒヨドリと父ヒヨドリが交代で餌を運びます。

 

ヒナに与える餌は、ガなどの幼虫の芋虫、小型の昆虫、ミミズ、ガガンボなどの主に肉食質のものです。

卵から孵化したばかりのヒヨドリのヒナは羽も毛もなく、口だけを開けています。

 

たった10日ほどで巣立つようになるのですから、たくさんの餌と栄養が必要です。

幼鳥のヒヨドリの口角は黄色いことが特徴です。まだ羽毛が生えそろっていないヒヨドリはボサボサです。

 

水遊びが好きなので、余計にボロボロしてしまいます。それがまた可愛いのですが、成鳥になると羽が揃って生え体はより細くなり、嘴は黒くより細長くなります。

ヒヨドリの嘴

鋭い嘴をもつヒヨドリですが、嘴にも骨があります。

嘴の骨の周りはケラチンという物質で覆われており、血管や神経もあるようです。

 

嘴を怪我してしまうと捕食も困難になります。嘴付近のケガは致命傷ともいえるダメージをヒヨドリに与えるのです。

ヒヨドリの天敵は猛禽類やカラスなどです。

ヒヨドリの捕食

成鳥になったヒヨドリは、木に実った果実なども積極的に食べます。

バラ科のサクランボ、やリンゴ、柑橘類のミカン、花の蜜や花粉、または花や樹液なども食べます。

春先になると梅の木、ヤブツバキの花に嘴を突っ込み盛んに花粉や蜜を食べています。

雑食ですが、甘いものを好むようです。ミカンを枝に刺してくと食べに飛んでくる事があるようですが、嗅覚によって餌がある事を知るようです。

ヒヨドリは成鳥になると昆虫類などのたんぱく質は食べないようですが、繁殖期になるとわりと大型のコガネムシ類などを捕らえている姿も目撃されるようです。

ヒヨドリに必要な餌について

庭がある家では野鳥のために餌台を備えている場合もあるかと思います。

あるいは怪我をしたヒヨドリを発見し、保護するような事もあるかも知れませんね。

 

ヒヨドリは嗅覚が鋭く、時に他の鳥あまりこなくなるほどよく食べるようです。

あまりに食べるので嫌われ者の面もあるヒヨドリです。ヒヨドリは寒さが苦手です。

 

一応日本には全国に分布する留鳥として扱われていますが、気温が下がる頃にはより温暖な地域に移動する事も多くあります。

冬のヒヨドリは羽の隙間に空気をいれて寒さをしのいでいます。

 

ヒヨドリは野菜なども餌台に置くと食べるようです。

冬場は葉物野菜が高いですが、ヒヨドリはじめ鳥類の嘴や脚、また羽毛の軸の部位にはカルシウムの摂取やビタミン類なども必要です。

適度な日光浴も大切です。

ヒヨドリ越え

ヒヨドリというと、一の谷の合戦の「鵯越えの逆落とし」を思い出す人も多いのではないでしょうか。

戦国時代に起こったとされる日本の歴史の1ページですね。

 

鵯越えの逆落としは、馬では到底走る事が不可能と思われる絶壁を落ちるようになだれ込み攻め入ったとされる、いわば常識を逆手に取ったようなものとされます。

日本に棲息するヒヨドリたちは大陸から海を渡り絶壁を乗り越えやってきたと考えられるため、果敢な鳥であるとして「鵯越えの逆落とし」と言われるようになったのだそうです。

 

日本で普通に見る事ができるヒヨドリは、韓国など東アジアの一部に分布しています。

北半球のユーラシア大陸にはヒヨドリは棲息していないとされます。

 

世界的に見るとヒヨドリは意外に珍しい鳥の一種です。

鵯は晩秋や秋の季語です。冬が近づくと寒い山からヒヨドリたちが暖かい地域にやってくるからだそうです。

ヒヨドリは雑食です

日本には約550種もの野鳥が棲息しているとみられています。

ヒヨドリは小型ながら俊敏な野鳥の一種です。餌とするものは多様であり、雑食中の雑食といってもいいのでしょう。

 

ヒヨドリが自由に飛ぶ様をみるといかにも閉じ込められるのは嫌いそうです。

繁殖は難しそうですが、北海道の旭山動物園では平成5年に自然繁殖に成功したという例があります。

(ライター:おもち)