カラスと言えば、真っ黒で大きな鋭いクチバシが怖い、鳴き声がうるさい、生ごみなどを荒らす嫌われ者というイメージがありますね。
私は以前、家庭菜園をカラスに荒らされて、悔しい思いをしたことがあります…。
それ以来カラスはあまり好きではありません。
どちらかというと敵です。
しかし、そんなカラスの嫌なイメージとは正反対のカラスがいます。
それが「ホシラガラス」。
名前からしてなんだか綺麗そうな感じがしますね。
今回はこのホシガラスについて、詳しく見ていきたいと思います。
ホシガラスってどんな鳥?
ホシガラスは四国以北の標高の高い地域に生息しています。
登山が趣味だという人なら、一回や二回は遭遇したことがあるのではないでしょうか。
私達の良く知るカラスとは違い、黒褐色の羽に白い斑点のような模様があるのが特徴です。
これが星空のように見えることから、ホシガラスという名前が付けられました。
カラスは鋭く怖い顔をしているというイメージがありますが、ホシガラスはどことなくスズメに似たかわいらしい表情をしています。
頭の部分はこげ茶色で模様が無く、ベレー帽をかぶっているように見えるのもスズメと似ていますね。
そのせいか比較物のない写真で見ると小さい鳥のように見えますが、実際は全長約32~37cm、翼を広げると約55cmと、ハトよりも大きな鳥です。
メスのほうが若干小柄なのですが、個体差もあるので見分けは難しいですね。
カラスよりも少し高く濁った「ガァーガァー」という声で鳴きますが、時には猫のように「みゃー」と鳴くこともあるそうです。
通常の「ガァーガァー」という鳴き声を聞いていると、なんだか動物園に来たような気持ちになってくる…。
(私だけかもしれませんが。)
記憶力の悪いことを「鳥頭」などと言ったりしますが、ホシガラスは記憶力の優れた鳥としても有名です。
ホシガラスは森林の様々な場所に木の実などの餌を隠しておくのですが、確かに並大抵の記憶力ではどこに隠したのか忘れてしまいますよね。
私は自分の家の中という狭い範囲の中ですら、どこにあるのか分からないものがたくさんあるというのに…。
ホシガラスは森の再生係
ホシガラスは雑食で木の実や昆虫、鳥のヒナや卵などを餌としていますが、その中でも特に大好物なのが松の実です。
秋になると、餌が少なくなる冬に備えてホシガラスは土の中や木の穴の中など、様々な場所に木の実を隠して貯蔵しておきます。
また、日本に生息する大多数の鳥は餌が豊富になる春から初夏にかけて繁殖するのですが、ホシガラスは彼らよりも少し早い時期に繁殖期を迎えます。
秋に貯めておいた餌を使って、子育てをするのです。
とても計画的ですね。
こうして貯蔵された木の実の食べ残しや食べ忘れたものが、後に発芽し木となり、森を作っていくのです。
このおかげで、災害や人間による伐採などで失われた森林が再生するケースもあります。
実際に、スイスでは人間の伐採により失われてしまった森が、ホシガラスの埋めた木の実により再生したという話が残っているのです。
見方を変えれば、ホシガラスは自分たちの食料となる木の実をつける木を、自ら植えているようなものですね。
とても良いサイクルです。
人間も、森林を伐採して消費するばかりではなく、植樹などをして自分たちが消費する分くらいは自らの手で育てるべきだと思います。
ホシガラス まとめ
カラスも、人間に害のあるものばかりではないことが分かりましたね。
むしろ人間が破壊した自然を、ホシガラスが尻拭いをして再生させてくれているのです。
人間もホシガラスのように、自然とうまく共生していける方法を見つけなくてはいけませんね。
(ライター名 もんぷち)