カンムリワシは日本にも生息している珍しい猛禽類です。

あなたはこの鳥の存在を知っていましたか?

カンムリワシって?

カンムリワシはタカ目タカ科カンムリワシ属に分類される猛禽類。

インド、インドネシア、スリランカ、タイ、ベトナムに生息していて、日本では石垣島や西表島、八重山諸島、与那国島の湿地帯や水田、マングローブ林に生息しています。

 

それぞれの地域で個体群ごと22亜種に分けられ、日本でも日本亜種として分類され、八重山諸島が北限になります。

体長は55㎝、翼を広げた時の大きさは110㎝、体重は800gほどです。

 

全身が褐色で翼や腹面には白い斑点がついています。尾羽は白く、先端部分の羽毛は黒色をしています。

風切り羽には羽毛がびっしりと密集しており、飛ぶときの羽音はほとんどしないのだそう。

 

幼鳥では、胸から腹にかけての羽毛や肩羽が白色で、フワフワとした可愛らしい姿をしています。

動物食で、両生類、爬虫類、甲殻類、昆虫などを捕食しますが、特にヘビが好物のようです。

 

南西諸島にはトビが生息していないため、とびと同じような生態系の地位を獲得しているようです。

電柱や樹上から獲物を通るのを見て、襲い掛かりますが、タカ類の多くが直接足で鷲掴みするのに対し、カンムリワシは一度獲物の横に立ってから攻撃をする習性があり、獲物に逃げられることも多い様です。

 

繁殖期は1月で、2~3月になるとカンムリワシは営巣を始めます。

イタジイ、リュウキュウマツ、カジュマルなどの木が営巣に選ばれるようです。

 

主にオスが枝を運び、メスが巣を整えます。一度の産卵で生む卵は1個。

35日間抱卵しますが、メスのみが抱卵し、オスは狩りに徹します。孵化から60日後に巣立ち、翌年の春に独立しますが成鳥になるのには2年かかると言われています。

カンムリワシの名前の由来

カンムリワシは興奮すると後頭部の羽毛が冠のように立ち上がり、このことから名前がついたと言われています。

日本での繁殖

日本ではカンムリワシの繁殖は行われていない、と言われていましたが、1981年に八重山での繁殖が確認されたのだそうです。

カンムリワシは絶滅危惧種?

カンムリワシは日本で1977年に国の特別天然記念物に指定されています。

また、絶滅危惧種IA類に分類され、非常に絶滅が恐れられている鳥です。

 

生息地の石垣島などでは、開発が進み、カンムリワシが車にひかれて死んだ小動物などを狙って道路に降り立つようになりました。

この時に交通事故にあってしまうカンムリワシが増加し、問題になっています。

 

特に冬場のエサの少ない時や、雨上がりの日などは注意が必要のようです。

国は1992年にカンムリワシの保護を目的として、西表島に鳥獣保護区を設けるなどして対策を練っています。

 

2012年の調査では石垣島に110羽、西表島に78羽という調査結果が出ていて、これは6年前の調査に比べ、増えているという結果のようなのですが、実際の所は調査を行う日の天候などで誤差があるため、大きな増減は考えにくいという結論に達しているようです。

具志堅用高とカンムリワシ?

沖縄県出身のプロボクサー、具志堅用高のニックネームはカンムリワシだったのだそう。

そういわれると、あのパンチパーマはどこか冠を思わせるような、させないような・・・・。

カンムリワシのまとめ

カンムリワシは日本では南西諸島などに生息する珍しい猛禽類。

興奮すると頭頂部の毛が逆立ち、まるで冠のように見えることからこの名前がついた。

 

日本には200羽弱しかおらず、絶滅危惧種にしてされ、国の特別天然記念物にも指定されている。

開発に伴う生息域の減少や、交通事故により死亡例は後を絶たない。

西表島にはカンムリワシの保護を目的とした鳥獣保護区を設定している。

(ライター ナオ)