丸いフォルムと短い足、よちよち歩きがかわいいペンギンは子どもから大人まで大人気の動物です。
コミカルな動きや水の中を気持ちよく泳ぐ姿に何とも癒されるので、私も水族館へ行くと、ペンギンの展示の前でついつい見入ってしまいます。
飛べない鳥としても有名ですが、一方で泳ぎが得意な鳥でもあります。
ペンギンの泳ぎの特徴やその速さなどについてまとめてみました。
ペンギンは飛ぶように泳ぐ
ペンギンは空を飛べませんが、海中を飛ぶように泳ぐことができます。
特徴的なのが翼の形です。
ペンギンの翼は泳ぎやすいように魚のヒレに似た形をしていてフリッパーと呼ばれています。
フリッパーは、水を切るだけでなくスクリューの役割も持っています。
水中で羽ばたくようにフリッパーを上下に動かすことによって、体がぶれずに、矢のようなスピードで泳ぐことができるのです。
空飛ぶ鳥は体に対して大きな翼を持っています。
それに対して、フリッパーの大きさは、体に比べて小さくできています。それは、水の抵抗を減らすためであり、スムーズに泳ぐには理想的な大きさです。
体の形も水の抵抗を受けにくいラグビーボールのような形に進化しました。
ペンギンは、流体力学に則った水の抵抗を最小限に抑えるのに理想的な体の形なのです。
また、空を飛ぶ鳥は、骨密度が低いなどできるだけ体を軽く、飛びやすいように進化しています。
しかし、体が軽いと海を泳ぐペンギンにとっては、体が浮くというデメリットになってしまいます。
そのため、ペンギンの骨密度は高く進化しました。
泳ぐことに特化するように進化した結果、泳ぐ速度は時速7~8Km、魚を追いかけるときなど12~20km以上出ることもあります。
動きが遅いイメージのあるペンギンですが、水中を自由自在に飛び回っているのです。
白黒模様にも秘密がある
ペンギンはお腹が白く、羽や背中が黒く、タキシードを着たような色をしています。
このような色合いになったのは、もちろん理由があります。
泳いでいるときに、天敵や魚に見つからないよう上から見ると海底の色に溶け込み、下から見ると海面の光で見えにくいようにするためです。
空飛ぶペンギン
イルカ泳ぎのとき
イルカ泳ぎとは、海面から飛び出したり、海中に潜ったりを繰り返しながら泳いでいく方法で、「ポーポイジング」ともいいます。
ペンギンは、鳥なので空気中の酸素によって呼吸します。
高速遊泳中は息継ぎのために海面に飛び出す必要があり、「イルカ泳ぎ」をします。このとき、周囲に捕食者がいるかも探ったりしています。
海から上陸するとき
陸地または氷床に帰ってきたときは、海中から勢いよく飛び上がって陸に上がります。
このとき、一瞬ですが、空中を飛ぶのです。
海中で天敵に追われたときも陸地へジャンプして逃げます。
このときの速度は、”1秒以内”に遊泳速度が0から秒速7mにも達するといわれています。
空よりも海を選んだペンギン
多くの鳥が、空を飛ぶように進化しましたが、ペンギンは泳ぎに特化した珍しい鳥です。
ペンギンが生きる場所を、海に選んだことには、生息している地域が大きく関係しています。
野生のペンギンが分布しているのは南半球です。
陸地が多い北半球とは異なり、南半球は海が大部分を占めています。
なので、陸地で暮らすにはライバルや天敵がたくさんいます。
そこで、目を付けたのが南極です。南極は周囲を海に囲まれているので、キツネやシロクマのような天敵がいません。
そこで、気候は厳しくても、安全な場所である南極を中心に分布していきました。
陸上に天敵がいなかったので、飛ぶことはさほど重要ではありませんでした。
逆に、餌をたくさん獲るために、海中を自由自在に泳ぐことが必要だったのです。
可愛らしいペンギンの姿には、南極で生き抜くためのたくさんの知恵がつまっていました。
ライター:さくら