よく見るとちょっとおしゃれなムクドリ。

くちばしと脚が綺麗なオレンジ色をしていて、まるでポイントに色を使ったオシャレの上級者のようです。

ムクドリの特徴と生態

ムクドリはスズメ目ムクドリ科に分類される1種です。

全長は24㎝ほどで、およそスズメとハトの中間くらいの大きさです。

尾羽を加えるとヒヨドリよりも一回り小さく、全体的に茶褐色をしています。

特にオスは胸や腹、背中が黒っぽい色をしていて、オスとメスは色の違いで見分けることが出来ます。

 

中国、モンゴル、ロシア東南部、朝鮮半島、日本に分布していて、日本国内のほぼ全域に分布している

留鳥です。

 

北部のものは冬には南部に移動し、低地の平野や低山地にかけて広く生息し、都市部などの人家付近や田畑などでも良くみられます。

食性は雑食で、植物の種子や果実、蒸しの幼虫などを好んで食べ、地面に降りて歩き、虫の幼虫などを好んで食べます。

 

木の枝に留まってカキなどの熟した身をついばむ様子も観察されていて、椋の木を好んで食べるために椋鳥と呼ばれるようになりました。

ムクドリの天敵は猛禽類です。特に大きなタカなどがムクドリを狙います。

また、野良猫やカラスなどもムクドリを狙い、特に巣立ったばかりのムクドリは狙われやすい存在です。

ムクドリの巣作りと巣立ち

ムクドリの繁殖期は春から夏で、つがいで分担して木の枝や藁などを使って木の洞や人家の軒先などの穴に巣を作ります。

巣が出来上がるとすぐに産卵し、1~2週間ほどで孵化します。

その後1か月間、両親共に子育てを行い、とくに育雛期には両親が揃って出かけ、食料を探して仲良さそうに歩き回ります。

 

繁殖期は巣で寝ますが、1ヵ月後にヒナが巣立つと親も子も再び巣に戻ってくることはありません。

巣立ちは、ヒナが突然巣から飛び立てるようになるわけではありません。巣立ちの時期を迎えると、ヒナは巣から飛び降り、親鳥に見守られながら地上で、飛ぶための筋肉をつけていきます。

 

飛べるようになると親子で巣のあった場所を飛び立ち、その後親子は他のムクドリたちと群れを作って、夜はねぐらに集まって寝るようになります。

冬には数万羽の大群で行動することもあり、糞や鳴き声などの被害があちこちで報告されています。

 

一度作った巣には再び同じムクドリが戻ってくる習性もあります。

家の軒下に巣を作られると巣立ちの時期まで思わず見守ってしまうのが人情。

1ヵ月間我慢してくださいね。

ムクドリと人間の関係

有名な作曲家のモーツァルトはムクドリをペットとして飼っていたそうです。

日本語の方言では実に多くのムクドリの呼び名があり、モクドリ、モク、モンズ、サクラモズ、ツグミ、ヤマスズメ、ナンブスズメなど様々です。

文学の中にもムクドリは多く登場し、冬の季語としても定められています。

江戸時代には冬になったら集団で出稼ぎにやってくる奥羽や信濃の出稼ぎ者のことをやかましい田舎者集団という意味で「椋鳥」などという呼び方をしていました。

日本では広く生息しているために、野鳥観察の分野では大きさを表現するための物差し鳥としても利用されています。

ムクドリは害鳥?益鳥?

ムクドリは農作物に害を及ぼす虫を沢山食べる存在として益鳥とされていて、害虫を駆除するための費用がムクドリの存在で百万円は浮くと言われ、「農林鳥」と称えられていたこともあったのだそう。

 

しかし、生息環境が破壊され、ムクドリたちが都市に適応するようになると鳴き声や騒音被害、糞害などが問題になり、1994年からは狩猟鳥に指定されています。

捕獲したムクドリの鳴き声を収録し、大音量で流すなどの方法で一時的にムクドリを追い払うなどの対策をとっているが、全体の生息数を減らすわけではないので、現在も色々な対策が試されています。

(ライター ナオ)