あなたは「ヨタカ」という鳥を知っていますか?
名前からは、「夜に活動する鷹か?」というイメージを受けますね。
果たして、ヨタカとはいったいどんな鳥なのか。
今回はヨタカの生態や鳴き声などについて調べてみました。
ヨタカってどんな鳥?
ヨタカはユーラシア大陸の温帯から亜熱帯にかけて、広く分布している鳥。
渡り鳥で、日本には夏にやってきます。
夏は日本、ロシア、ミャンマー、ネパール、朝鮮半島などで繁殖し、冬になるとインド、インドネシア、フィリピンなどの暖かい地方で越冬。
ただし、南アジアに生息するものは、留鳥として一年を通してほぼ同じ場所で暮らしているそうです。
大きさは約29cm。
見た目はとてもユニークで、口は幅広く耳元までありますが、鋭く前に突き出てはいません。
これはヨタカが変わった狩りの仕方をするため。
ヨタカの主食は昆虫なのですが、この大きな口を目一杯開いて飛行することで、偶然口の中に飛び込んできた虫を食すのです。
確かに、これなら労力も集中力もいらないから楽そうですね。
ただ、そんなに効率的に虫が口の中に飛び込んでくるものなのか?というのは疑問ですが。
体色は茶色と白のまだら模様で、これは保護色の役割をしています。
口が大きいせいか、頭少々大きく全体的にふっくらしており、一見するとフクロウのように見えることも。
名前に「タカ」がついているので、同じ猛禽類の仲間で、そのせいで似ているのでは?と思われるかもしれませんね。
しかし、じつはヨタカはタカの仲間でもフクロウの仲間でもなく、それどころか猛禽類でもありません。
「ヨタカ(夜鷹)」という名前は、「夜に活動する鷹のような鳥」というところから名付けられました。
オーストラリアでは大きな口から、「フロッグマウス(蛙の口)」と呼ばれることもあるそうです。
ヨタカの鳴き声
ヨタカの鳴き声は「キョキョキョキョ」という単調なもの。
その鳴き声から「キュウリキザミ」「ナマスタタキ」「ナマスキザミ」などと呼ばれることもあります。
確かにキュウリやなますを切る時のキュッキュッとした音に似ているような…似ていないような。
本当にそう聞こえたとしても、ちょっとネーミングセンスが悪すぎではないでしょうかね。
ヨタカの巣はどこ?
鳥と言えば大抵は木の上、または草むらなどに巣を作って卵を産み、子育てをします。
しかしヨタカは世にも珍しい、「巣を作らない鳥」なんです。
巣が無くてどこに卵を産んで、どうやって子供を育てるのか疑問ですよね。
ヨタカは草の生えた地面に無造作に卵を産みます。
卵は白色なので地面の上ではとても目立ちますし、すぐに敵に狙われてしまいそうですね。
それではどうやって卵やヒナを守るのかというと、常に親が上に覆いかぶさって守るのです。
ヨタカの羽の色は保護色で、草むらの中にいると背景に溶け込んでどこにいるのかわかりません。
両親が交代で卵やヒナに覆いかぶさり、カモフラージュして外敵から身を守り、それでも敵が近づいてきたときには大きな口を開けて威嚇。
木の上などに巣を作れば安全なのに、なぜヨタカは巣を作らないのか。
普通に考えれば、巣がある方がメリットばかりのように思えますよね?
しかし、巣がないというのは裏を返せば「いつでも移動できてどこでも育てられる」ということ。
海外では、卵やヒナを口にくわえて移動するヨタカの姿も報告されているそうです。
危なくなったらすぐ逃げられる。
確かに巣が無くて身軽な方が、場合によっては危険を回避しやすいのかもしれません。
ヨタカについてのまとめ
宮沢賢治の童話「よだかの星」にも登場するヨタカ。
作中では醜い鳥だと迫害されてしまいます。
しかし最近では、大きな目とクチバシというぬいぐるみのようにデフォルメされた見た目が、キモカワイイと人気です。
夜行性なので実際に姿を見かける機会がほぼないのが残念ですが…。
(ライター もんぷち)