カラスと言えば黒くて怖い、というイメージが強いですよね。
しかし、同じカラス科の仲間の中には、とても美しい鳥もいるのです。
それが「オナガ」。
とてもカラスの仲間とは思えない見た目なんですが、中にはカラスとの類似点も…。
今回はそんなオナガの生態や鳴き声などについて、詳しくまとめてみました。
オナガってどんな鳥?
オナガはユーラシア大陸の東西両端に生息している鳥です。
東側はロシア東部、中国東部、日本などで、西側はイベリア半島の一部。
それぞれの地域に広く分布しているわけではなく、いずれも局所的・飛び地状に生息しています。
留鳥であり、日本にも一年を通して生息していますが、その生息域は年々減少。
以前は本州全土と九州で確認されていましたが、1980年代以降は西日本での生息は確認されず、現在では福井県以東と神奈川県以北で観察されるのみとなっています。
このままでは絶滅するのでは?…と思いきや、じつは分布域は狭まっているものの、残された個体群は増加の傾向にあるんだとか。
平地から低山地の森林や竹林を好みますが、生粋の自然林には棲んでいません。
ある程度人の手の入った里山、果樹園、または住宅地の近くなどに棲んでいます。
10数羽から30羽ちょっとの群れをつくりますが、それ以上の数になると二つの群れに分かれるそうです。
全長は34~39cmほどで、数字だけで見ると結構大きな鳥のように思えますね。
しかし、名前から想像がつくかと思いますが、オナガはとても尾の長い鳥です。
尾羽は20cm以上もあるので、尾を含まないとそれほど大きくありません。
頭部のは濃紺、胸と腹が灰色、畳んだ状態の翼は青灰色。
長い尾もきれいな青灰色で、控えめでシックなカラーリングがとても美しいですね。
カラスの仲間なだけあって、生態はカラスに近いものがあります。
まず食性は雑食で、木の実、果実、昆虫などを主食としており、一部は貯蓄する習性も。
知能も高く、外敵に対しては仲間で協力して撃退することもあります。
群れの結束はとても強く、前述のように敵を追い払うのに協力をすることもあれば、他のつがいのヒナの世話を焼いたりもするそうです。
オナガの鳴き声
見た目があんなに繊細で美しいのだから、鳴き声もさぞ美しいのだろう…と期待しているあなた。
残念ですが、オナガはやはりカラスの仲間、鳴き声もカラスにそっくりです。
「あの美しい鳥のどこからそんな声が?」と疑ってしまうほど、「ギューイギューイ」「ギーギー」など濁った鳴き声なんですよ。
ただしこれは警戒音声であり、警戒心が強いオナガは敵に対する威嚇なども活発なので、「オナガの鳴き声=濁った声」という印象が強くなってしまったのです。
繁殖期のつがい同士では「ピューイピューイ」ととても可愛らしい声で鳴きます。
バードウォッチャーに人気の鳥ですが、上でも述べたように観測できる場所は限られています。
なぜ西日本から姿を消してしまったのかは不明なんだとか。
市街地の近くに生息する鳥なので、森林の開発などが大きな原因というわけでもなく…。
一部では他の鳥との生存競争に負けたのではという説や、カッコウの托卵対象にされたため数が減ったのではとも言われています。
ただ、生息しているところではよく見かけることができるとのことなので、オナガの姿を見てみたいという人は東日本まで出向いてみましょう。
オナガについてのまとめ
私自身西日本に住んでいるので、オナガを身近なところで見ることはできません。
いなくなった原因がわからないんじゃあ改善のしようもないので、西日本でオナガが見られる日は来ないかもしれませんね…。
もしオナガの気が変わったら、ぜひ西日本にも再び棲み付いて欲しいです。
(ライター もんぷち)