アトリはとても小さい鳥です。シベリア方面から越冬の為日本にやってくる渡り鳥です。俳句の世界では秋の季語になっています。

アトリの外見の特徴

体長はスズメより少し大きい16程。

頭は黒っぽく、腰のあたりは白でところどころ明るいオレンジ色をしています。

アトリのオスは頭が黒っぽくカラフルです。

羽は黒交じりの白。夏になると茶系になります。

全体的に丸みのある小鳥といった印象です。

アトリの日本での生態

スズメ目アトリ科アトリ属のアトリ。

アトリ科の鳥は世界中に多く生息し亜種もいるようですが、日本で越冬するアトリは一種のみのようです。

ユーラシア大陸で繁殖し、冬はアジアや朝鮮半島などで越冬します。

 

アトリが国内で見られるのは初秋から早春まで。山地に群れで棲みます。

昼行性で夜間は休んでいます。

 

食性は雑食です。

木の実や植物の種子などを食べて冬を越します。

春になると山の方から少し出てきて、農地や河原で見かけることもあります。

渡鳥など鳥いろいろ

渡り鳥とは、繁殖する地域とそれ以外の時期を過ごす地域が離れている鳥のこと。

同じ季節に同じ地域に生息しているスズメなどは留鳥(リュウチョウ)だそう。

 

また、国内で季節によって生息地域を変える種は漂鳥(ヒョウチョウ)と呼ばれます。ホトトギスなどがそうです。

いつもと違う鳥を見たり聞いたことがない鳴き声を聴くと、何となく季節が変わった感じがするのは、このような渡り鳥たちの存在が生活の中に存在するからかも知れませんね。

アトリの面白い名前の由来

アトリの名前の由来は「A 鳥(TORI)」であるはずがなく、諸説あります。

漢字で書くと「?子鳥」です。ちょっと読めないですね。名前の由来については万葉に起源を求めるのが風流です。

 

「国廻るあとりかまけり行き廻り帰り来までに斎ひて待たね」「あとり(アトリ)かま(カモ)けり(ケリという鳥)、あとりかまけり、というのが全て鳥の名前になっています。

国を廻り巡って(防人の歌のようですね)ちゃんと帰るから、いろいろちゃんとしててね、というような意味の歌だと思われますが、あとりかまけり、のところが面白いですね。斎ひて(いはひて)というのは、心身を清めての意。

 

「花鶏(カケイ)」と言われる事もあります。

こちらは中国由来の漢語がそのまま輸入されたようです。

 

現代の中国では「燕雀」だそう。

見た感じは地味ですが、アトリの姿は寂寞とした冬の風景に滲むひとつの温もりのように見えます。

アトリの独特な鳴き声

鳴き声に特徴があるアトリ。

スズメより速い声ですね。

 

キュイキュイと鳴き急ぐように聴こえます。

体が小さいのでひとつの鳥から出てくる声は小さいのですが、群れで行動する為、全体としてはけっこうなボリュームになります。

大群とそうでない時がある

アトリは年によって数が様々です。

大群だったり、そうでもなかったり、数は年によってまちまちです。

 

その理由は、越冬以前の土地の餌の状態が良くなかったため、繁殖がうまくすすまなかったのではないかと考えられています。

あまりに大群になると空が真っ黒に埋め尽くされることがあり、新聞やニュースで伝えられることがあります。

 

比較的西日本で越冬する年が多いアトリですが、北海道地方に飛来することもあるようですよ。

ナナカマドなどの赤い実を啄んでいるようです。

アトリのまとめ

渡り鳥というと比較的大きい鳥をイメージしていましたが、アトリは小型です。

体が小さいと越冬の道中、命を落とすものも少なくはない事が考えられます。

 

それでもアトリは毎年律儀に日本へやってきます。

冬の枯れ枝からスズメと違うような鳴き声が聞こえたら、それはアトリかも知れませんね。

(ライター おもち)