アカハラは、大型のツグミ属の鳥類で、日本では多くの人々に親しまれてきました。

おそらくアカハラの名前は知らなくとも、その鳴き声は聞いたことがあることだと思います。

当記事では、そんな身近なアカハラをあらためて紹介します。

アカハラとは

アカハラは、赤腹という漢字をあてる、スズメ目ツグミ科ツグミ属に分類される鳥類です。古くは、茶鶫(チャジナイ)と呼ばれていました。

この鶫という漢字は、ツグミとも読み、ツグミという名の鳥がアカハラとはまた別にいます。

とはいえ、アカハラもツグミも、同じスズメ目ツグミ科ツグミ属。

茶色いツグミ「茶鶫(チャジナイ)」が、アカハラといった感じでしょうか。

 

ちなみに、眉茶鶇(マミチャジナイ)という鳥もいます。

こちらも同じスズメ目ツグミ科ツグミ属です。

 

さらには、シロハラという鳥もいます。

お察しの通り、このシロハラは、白いお腹をしたスズメ目ツグミ科ツグミ属の鳥類です。

アカハラはツグミのなかでは大きいとはいっても、どの鳥も小さめなので、上述の鳥たちを見分けるのは、熟練を要することでしょう。

アカハラと人間との関り

アカハラは、本州中部以北のやや高い山地や、東北、北海道の明るい林で繁殖をします。

とくに高原や別荘地など、開けた場所を好むので、観光地で鳴き声を耳にする機会が多い鳥です。

おそらくアカハラと知らずその鳴き声を聞いた人は多いと思います。

 

アカハラは、冬期になると本州中部以西に移動します。

平地や山地の低木、ヤブなどで越冬をするので、市街地の公園などで見かけることもあるでしょう。

 

ただ、やや暗い場所を好むため、鳴き声は聞こえても、姿を見るのは難しいかもしれません。

越冬地には、海外から渡来してくる個体がいることも確認されています。

アカハラの生態

アカハラは、全長およそ24センチ。

胸から脇腹にかけて赤茶色の羽毛でおおわれており、これが名前の由来になっています。

 

腹の真ん中から尾羽の付け根にかけての下面は白く、頭部は暗褐色で、顔やノドは黒ずんでいます。

オスの頭部は黒みが強く、メスはノドが白い傾向にあります。

 

また、アカハラの生息地は、中華人民共和国南部と台湾、日本、フィリピン北部です。

夏季に日本で繁殖して、冬季になると中華人民共和国南部や、フィリピン北部へ南下して越冬します。

 

ちなみに、このアカハラには、オオアカハラという亜種がいます。

千島列島で繁殖する亜種で、冬鳥として渡来します。

アカハラのオスは、この亜種オオアカハラと比べて全体的に黒い傾向にあります。

亜種とは?

亜種……生物分類上の一階級。

種の下の階級。

 

種として独立させるほど大きくはないが、変種とするには相違点の多い一群の生物に用いる。

例えば、北海道のキタキツネはキツネの亜種である。ただし、種と亜種とを分ける明確な基準はない。

《引用:大辞林・三省堂》

 

なお、アカハラの食性は、動物食傾向の強い雑食性です。

おもにミミズや昆虫などを食べますが、果実も食べます。

 

地上を跳ね歩いては立ち止まり、落ち葉をかき分けてを繰り返し、ミミズなどを捕らえるという捕食行動をするのです。

ちなみに繁殖形態は卵生です。

山地の森林(北海道や東北地方では平地でも)に巣を作って卵を産みます。

アカハラの鳴き声

アカハラの鳴き声は、「シー」、または「ツイー」、「キョキョキョ」などと力強いです。ちなみに飛びながら鳴くことが多いです。

アカハラのさえずりは、「キョロン、キョロン、ツイー」、あるいは「キャラン、キャラン、チリ……」などと表現されることが多いです。

これはアカハラが2拍半、3節のリズムを繰り返して鳴くからです。

 

澄んだよく響く鳴き声を、遠くまで響かせています。

アカハラは早朝には、木の梢など目立つところでよく鳴きます。

 

春には越冬地でも、さえずりを聞くことがあります。

このような鳴きかたをするわけですから、その鳴き声を人間に聞かれることが多いのです。

アカハラのまとめ

アカハラの鳴き声はいかがでしたか?

筆者はこの記事が縁で、アカハラという鳥をくわしく知ったのですが、しかし、その鳴き声は以前から聞いて知っておりました。

みなさんもきっと馴染みのある鳥だと思います。

(ライター ジュン)