カナカナカナカナ~~~~と涼し気に優し気に鳴く夏の蝉、ヒグラシ。
蒸し暑い夏の夕暮れ時、まるで一日の暑さと疲れを癒してくれるかのような彼らの鳴き声は、体にしみわたります。
ヒグラシの特徴と生態
ヒグラシはオスで28~38㎜、メスは21~25㎜程の体長です。
オスの腹部分は太く、メスはよりも明らかにでっぷりとしています。
これはオスの腹腔内にある共鳴室が空洞になっているためで、その透明度は光が当たると透けて見えるほど。
ここで大きな鳴き声を響かせることによって、オスはメスにアピールするというわけです。
色は赤褐色、複眼付近と背面中央部分は緑色をしていますが、色には個体差があり、山間部に生息するヒグラシの体色は黒っぽいと言われています。
ヒグラシは北海道南部から奄美大島にかけて生息しています。
日本以外では中国大陸にも分布が確認できていますが、なぜか朝鮮半島にはいないのだとか。
平地や山間部、九州南部では標高の高い山地に生息しています。
蝉は幼虫時代が長く、地上に成虫として存在してからは、その寿命は2週間ほどなどと言われていますが、ヒグラシに関して言えば、幼虫時代はミンミンゼミやアブラゼミのように6~7年はないそうです。
比較的早めに成虫として地上に出てくるようです。
卵は40日ほどで孵化し、一年目の冬は幼虫の状態で越します。羽化は長雨が続き、比較的湿度のある夜の時間帯に行われます。
好条件の揃わない日が続いた後は、森や林の木、一斉にヒグラシの抜け殻が引っかかっていたりします。
ヒグラシの鳴き声
オスは繁殖期になると「カナカナカナ~~」と表現される声で鳴き、メスを呼びます。
他にも「キキキキキ~」や「ケケケケケケ~」とも表現されていますが、一般的には「カナカナカナ~」で別名をカナカナゼミとも言われているほど。
8月~9月にかけて鳴き声は最盛期になります。
ヒグラシの鳴き声には癒しの効果のある「f/1ゆらぎ」というものが入っているらしく、これはモーツアルトの音楽や、電車の揺れ、ヒーリング音楽など
にも共通するものらしい。
どおりで、子供の頃のヒグラシの声を聞きながらのお昼寝は最高だったわけです。
ヒグラシの名前の由来
ヒグラシは暑さのピークをちょっとすぎた時間帯から鳴き始めます。
それは2時過ぎから4時にかけてで、日が暮れ始める前の時間帯。
日の暮れを意味する「ヒグラシ」はそこからついた名前のようです。
ヒグラシと人間の暮らし
ヒグラシは短歌の世界では秋の季語として使われています。
実際は梅雨真っ盛りの6月下旬から7月にかけて、他のセミよりも早い時期に鳴きだすのですが、9月中旬ころまで鳴いているので、ちょっと涼しくなった秋を思わせる単語として使われているようです。
朝や夕方に響き渡る、清涼感のある鳴き声は日本を代表する美しい虫の声として取り上げられることも多いようですが、実際にヒグラシの鳴く真下でその声を聞くと、それは情緒とは全く無縁の大音量スピーカーのようで、「カナカナカナ」の音も、騒音に聞こえるほど。
「虫の声 遠くにありて 情緒あり」といったところでしょうか・・・(お粗末)
ヒグラシのまとめ
ヒグラシは日没前後に鳴き、癒しの効果があります。
日本を代表する綺麗な虫の声にも選ばれているので、疲れた時に効くとその効果は絶大です。
ただし、近くて聞いた場合にはかなりのボリュームなので、ヒグラシのイメージが変わってしまうことも!!
ヒグラシの透明感のある綺麗な緑色の体は近くで見ても綺麗です。
皆さんもこの夏、暑い日にはヒグラシの鳴き声で癒されてみませんか?
近くに林や木がないという方は、YouTubeなどでもアップされていますので、ぜひそちらを!
(ライター ナオ)