角のようで角ではない、おかしな角をもった昆虫「ツノゼミ」。
見れば見るほど気持ち悪いヤツから、見惚れちゃうほどかっこいいヤツまで、たくさんの種類がいます。
謎だらけの生き物と言われている「ツノゼミ」について詳しくご紹介していきたいと思います。
「ツノゼミ」とは?
「ツノゼミ」とは、カメムシ目 同翅亜目 ツノゼミ科に属する蝉やヨコバイに似た昆虫です。
“角の生えた蝉”ということで、「ツノゼミ」と言います。
今のところ世界では、約600属3200種いることが解っていて、日本では16種ほど確認されています。
世界では中南米やメキシコなどの熱帯雨林で、日本では日本全域の山地の樹の葉に見られます。
ツノゼミは幼虫も成虫も、樹の葉の上で生活します。
「ツノゼミ」の形態
ツノゼミの多くは、体長5~10mm程ですが、種類によっては1mmの小さいものから、25mmの大きいものまでいます。
ボディカラーも種類で様々です。
世界の熱帯地域に見られるツノゼミは、色々なボディーカラーで、様々な形をしています。
日本で見られるツノゼミの多くは、黒っぽいボディーカラーで、小さな蝉のような形をしています。
派手派手で奇抜なツノゼミもいれば、地味ーなツノゼミもいます。
たくさんの形のツノゼミがいますが、どのツノゼミも共通していることは、
頭は垂直で扁平であること。
顔は下を向いていること。
眼は左右に離れて2つあること。
はっきりとした翅があること。
触角は針のようで短いということです。
「ツノゼミ」の角
ツノゼミの角は、鬼が持っている角の形ではありません。
ツノゼミの種類によって、色々な形があります。
ブーメラン、リーゼント、アンテナ、ブドウ、帽子、剣、枝、動物の角、錨など、たくさんあるんです。
ツノゼミの角と呼ばれるものは頭から生えているように見えますが、実は、お腹から角と呼ばれるものが生えています。
生物学でこの角は、”ヘルメット”と呼ばれています。
「ツノゼミ」はモノマネ王!?
ツノゼミの種類によって色々な角を持っているのには、訳があるようです。
ツノゼミが生きていくために、身を守るために、色々なものにモノマネをしていると言われています。
ボディーカラーがツノゼミの種類によって違うのもその理由です。
ボディーカラーは緑で、角は黒色をした”アリツノゼミ”は、体の緑色が植物と一体化して、角の黒がアリに見え、敵からはアリが立って威嚇しているように見えるんです。
“メキシコエボシツノゼミ”の角は丸くて、黄色地に黒の模様があり、てんとう虫に見えます。
三角帽子のような形をしている”バラノトゲツノゼミ”は、集団で集まると、トゲトゲの枝のように見えます。
イモ虫の糞に見える”ムシノフンツノゼミ”などもいるんですよ。
その他にも滴る水滴や枯葉、ハチやハエ、蝶々など、色々なもののモノマネをして、天敵から身を守っています。
「ツノゼミ」とアリは仲良し♪
ツノゼミは、ツムギアリなどのアリと共生しています。
持ちつ持たれつの関係です。
ツノゼミはお尻からアリが大好物の甘い排出物を出します。
その排出物をアリにあげる代わりに、アリに守ってもらっているんです。
アリだけではなく、ツノゼミと共生するハチもいます。
虫も人間も、助け合いの心はとても大切にしたいですね。
「ツノゼミ」に害はあるの?
ツノゼミは基本的に害はありません。
人間に対しても無害です。
ですが、植物の組織を破壊して植物の成長を妨げるツノゼミや、りんごなどの果樹を食するツノゼミは、
植物や果物に被害が及ぶ為、害虫扱いされて駆除されます。
ツノゼミはまだまだ謎だらけの生物で、現在でも研究が進められています。
宇宙人のような奇妙な生き物、「ツノゼミ」の世界はとても奥が深いのです。
(ライター 雲呑)