私の棲んでいる北海道ではあまり聞かない話ですが、東京や埼玉の都会では15~16年前から蝉が夜鳴いているのだそう・・・・夜泣き!!??
いえいえ、それにはちゃんと理由があるようです。
蝉の生態
世界中で蝉の種類は3000種類といわれています。
そのうち、日本で確認されているのは30種類ほど。
多くの生物たちに共通するように、蝉の鳴き声もまた繁殖のためにオスが自分をアピールするもので、夏場に聞こえるあの鳴き声は愛の賛歌。
その愛の賛歌に惹かれてやってきたメスたちはオスと樹皮の上で交尾をし、その後、枝や木の割れ目など、他の生物に見つからないような場所に産卵します。
冬を木で超えた卵たちは、翌年の春に孵化し、一度の脱皮をしたのち地中へとまっしぐらに向かっていきます。
そして、土の下で長い長い幼虫時代を送ることになるのです。
一生のうちの大半を幼虫として地中で過ごすことが知られる蝉たち。
夏の夕暮れ時を象徴するかのようなツクツクボウシは1~2年ほどを土の中で過ごします。
ミーンミーンと鳴く日本の夏の代表ともいえるミンミンゼミは2~4年ほどを過ごし、世界では珍しい部類に入るアブラゼミは6年ほどを過ごすといわれています。
しかし、世界を見渡すと、アメリカには17年セミという、その名の通り17年間も幼虫として過ごすセミもいるのだとか・・・・。
幼虫の間、彼らは師管といわれる木の細胞中にある管を流れる液を栄養源としています。
光合成によってつくられた栄養分がたっぷりと流れる樹液から生命維持に必要なアミノ酸などの栄養を補給しているのです。
強力なあごで細い根っこなどにかみつき、チュウチュウと吸っている様は成虫になっても変わらないセミの食事方法です。
土の中で4~5回ほどの脱皮を繰り返す幼虫の間の天敵はモグラやケラ、ゴミムシや菌類などの生息域を同じく地中にする生き物たちです。
この生き物たちの餌食にならなかった運のよい幼虫たちだけが地上の表舞台へと這い上がっていけるのです。
セミらしい風貌になってきた5~6齢の蝉の幼虫は、温かくなってこれから夏に向かう頃の日没時期に羽化をします。
一本の木で同時に何匹もの蝉が羽化をすることもあったりして、樹液が吸いやすくてセミたちが生き延びるのに最適な木というのがあるのかもしれません。
羽化したばかりの蝉は鳴くことも飛ぶこともできず、数時間たって体が乾いてくると、いわゆる私たちが目にする成虫の蝉らしい活動が出来るようになります。
セミの一生はドラマティックに語られることが多いようです。
長い地中時代に比べ、地上に上がってきて羽化したあと、成虫でいられるのはたったの一週間だとか・・。
確かに実際に短い蝉の成虫時代なのですが、一週間というのはドラマティックなストーリーが先行しすぎてしまっているようです。
一週間しか生きられないというのは、捕獲して家の虫かごで飼ってしまった場合のことで、それはいわゆる樹液を与えない「餓死」が原因と考えられます。
自然界で樹液を吸いながら、なおかつ鳥などの天敵にも食われずに生き延びたとしたら、その寿命は一カ月ほどなのです。
なぜ蝉が夜鳴くの?
蝉は光と温度を感知するセンサーを持っていて、もちろん繁殖のために鳴くのも、そのセンサーで感知しながら、ということになるわけですが、夜、蝉が鳴くと言われている東京や埼玉では夜でもネオンが煌めき、夏場にはヒートアイランド化によって夜もなかなか気温が下がりません。
蝉が良く鳴く気温というのは24~26℃だそうで、それが都会では夜、ということになってしまっているからなのだとか。
また、カメムシの子孫である蝉は、もともとがカメムシと同じ夜行性だったとも言われています。
熱帯から各地に拡散した時に寒冷地適応する為、一時的に!?昼間鳴くようになってしまったのだとか。
ちなみに夜に鳴いているのが確認されたのはニイニイゼミとアブラゼミ。クマゼミやツクツクボウシはまだ未確認なのだとか。
蝉が夜鳴くのまとめ
生きものたちは皆、与えられた環境でそこに適応しながら生きていくのに必死。
夜に繁殖を行えば、敵も少なく、実はとても効率的なのかもしれません。これからはどんどん蝉が増えて、公害になるかも!!!!??
(ライター ナオ)