スズメのように小さくて丸い、人懐っこさも持ち合わせているイワヒバリ。
「可愛らしさ」に派手な色は必要ないということを実感させてくれる鳥です。
イワヒバリって?
イワヒバリは「スズメ目 イワヒバリ科 イワヒバリ属」に分類される日本では北海道と本州中部以北に生息している鳥です。
体長は18㎝前後、体重は32~46㎏。岩場や残雪のある場所、草地などを歩き回っていることが多く、樹木に止まっていることはほとんどありません。
全体的に灰色で咽頭部に白い斑点があるのが特徴。下半身は赤褐色でオスもメスも同じ色合いをしています。
イワヒバリは何をたべてるの?
イワヒバリは普段は昆虫を捕食して食べています。
冬になり、昆虫たちの姿が見えなくなると植物の種子をとって食べますが、登山客の残していった残飯などをあさることもあります。
イワヒバリの繁殖
イワヒバリは高い山地の岩の隙間などにお椀状の巣をつくり、そこで卵を産みます。
この鳥たちの特徴は繁殖期にオスメス数羽の集団をつくって行動しているということ。
交尾はその中の数羽のオスとメスが行う多夫多妻であるということ。そして、何より、一般的にはオスの行う求愛行動をメスが行うということです。
この時の鳴き声は「チョッチョッチョリリリリ」
時には飛翔しながらさえずることもあるようです。
繁殖期になるとメスのさえずりが頻繁になります。
もちろん、メスだけでなくオスからのアピールもあるようなのですが、メスが積極的にアピールし、さえずるのは鳥の中では珍しいと言えるでしょう。
繁殖期は6~7月で、一回の産卵で3~4個の卵を産みます。
巣には複数のオスたちが飛んできて、抱卵もオスメス両方が行います。
一つの集団の中で、オスたちは複数のメスのもとに通い、子育てを手伝いますが、通うオスの数にはメスのランクが関係しているようです。
集団の中ではメスのランク付けがされていて、上位のメスの巣ほど、通ってくるオスは多いのだとか。
中には子育てに協力してもらえず、餓死してしまう雛もいるのだそう・・・・何とも残酷な話。
抱卵後13~14日で孵化し、ヒナは16日後には巣立っていきます。
登山客に人気のイワヒバリ
高山が好きなイワヒバリですから、当然登山客たちはイワヒバリ達にお目にかかる機会も多いようです。
警戒心がなく、人のすぐそばまでよってきたりするので、とても可愛がられて人気があります。
冬になると今度は低地に降りてきてエサを探します。
この時に白い雪の上でちょこちょことしている姿はまた可愛らしく愛嬌があります。
繁殖期には集団でいるイワヒバリですが、冬になるとその集団は解散され、一羽での単独行動が多くなります。
雪の上で、たった一羽で落ちた木の実などを探す様子はなおさら可愛らしく映ります。
イワヒバリとカヤクグリ
カヤクグリはイワヒバリとよく間違えられる鳥です。
カヤクグリはイワヒバリよりも一回り小さく、日本では全土、九州にも生息しています。
全体が赤茶色で、岩場などに棲んでいますが、めったに人前に現れるようなことはありません。
主に林の中に生息していて、イワヒバリと同じくお椀上の巣をつくりますが、作る場所は樹上で、1mほどの高さの位置に作ることが多いようです。
多夫多妻や一妻二夫という説がありますが、カヤクグリは集団の中でオスに順位があるようです。
カヤクグリの場合もメスが求愛行動をするらしく、そのさえずりは「チーチーリリリリ」。
さえずりと比較される地鳴きは「ツリリリリ」でヤマヒバリの鳴き方に似ています。
まとめ
オオルリやコルリ、アカゲラのように派手な色合いで目を惹く鳥たちも沢山いますが、
自然に同化してしまうような地味な色をしたイワヒバリやカヤクグリだってなかなか可愛いものです。
いや、むしろ素朴な中にこそ生き物の「可愛らしさ」はあるのかも。