日本固有種のヤンバルクイナという鳥をご存知でしょうか。

近年発見されたこの鳥、かなりメディアを騒がせていましたが、実は絶滅の危機にある絶滅危惧種だというは知っていましたか?

今回はそんなヤンバルクイナについてのお話です。

ヤンバルクイナの特徴

ヤンバルクイナはツル目クイナ科ヤンバルクイナ属に分類される鳥類です。

日本の固有種で沖縄縞北部の村に分布しています。

 

1981年に新種として名づけられた学問上では比較的新しい鳥ですが、地元の人からは以前からアガチやアガチャと呼ばれて知られていた鳥ということもわかっています。

全長は35㎝、翼長15~16㎝、翼開帳48~50㎝。体重は340~430gで上面の羽衣は暗オリーブ褐色、顔やのどの羽衣は黒色です。

耳孔を覆う羽毛から頸部にかけては白い筋模様が入り、眼先に白い斑点が入っています。

 

頸部から腹部にかけての下面の羽衣は黒く、白い横縞が入っています。

尾羽基部の下面を覆う羽毛は黒褐色で、下尾筒の羽先は黄褐色がかった白色です。

体重と比較すると翼の面積は小型で、翼を動かす筋肉も貧弱です。

 

虹彩は赤く、嘴の色は赤で太く、先端が白くなっています。

後肢は発達して太く、後肢の色彩は赤いのが特徴です。

卵は直径5㎝で短径3.5㎝、幼鳥は虹彩や嘴が褐色で後肢は黄褐色です。

ヤンバルクイナの生態

ヤンバルクイナは平地から標高500m以下にある主に下生えが繁茂した常緑広葉樹林に生息します。

リュウキュウマツ林や採草地・海岸付近の民家周辺などで見られることもあり、夜間になると樹上で休みますが、これは蛇を避けるためだと考えられています。

 

ほとんど飛翔することはできませんが、樹上6mの高さにいた個体がほぼ羽ばたかずに45度の角度で滑空した観察例もあります。

薄明薄暮時に鳴き声を挙げて縄張りが隣接する個体同士で互いにアピールします。

 

食性は雑食で様々なものを食べることがわかっていますが、まだ対象個体数が少ない為はっきりとしたことはわかっていません。

繁殖様式は卵生でシダ植物や低木・草本が繁茂した地表に枯れ葉などを組み合わせた皿状の巣を作り、3から5個の卵を産みます。

ヤンバルクイナの絶滅危機の理由

1996~2001年に行われたプレイバック法による生態調査では10年前に行った調査より、分布域が25%減少しているという結果が得られ、マングースの北上とヤンバルクイナの分布の南限の北上図が極めて似ていることから、ヤンバルクイナ減少の主な要因はマングースではないかと考えられています。

 

また、人間の開発による森林伐採、農地開発、林道やダム建設による生息地の破壊や分断、交通事故、側溝へのヒナの滑落による衰弱死などの他にも人為的に移入された猫や犬、フイリマングースなどによって捕食されていて、それらの要因も明らかに加担しています。

 

更に、近年増加したハシブトガラスや新たに移入されたタイワンスジオなどによる影響も懸念されています。

交通事故による脂肪例は5~6月にかけて多く、これはヤンバルクイナの繁殖期と重複していることから、ヒナに餌を与えるために活発に活動していたり、側溝に落ちたヒナの周りで警戒している親鳥が車にひかれたりするためだと考えられています。

 

1995年から2014年にかけての調査では交通事故確認件数が312件でそのうちの75件が5月、63件が6月とまさに44%が5~6月に集中していることがわかり、現在も年々増加傾向にあるのだとか。

 

2000年からは沖縄県による罠を用いたマングースやネコの駆除、捕獲が勧められていますが、完全駆除のめどは立っておらず厳しい状況。

ヤンバルクイナが安心して生きていける環境が出来るのはまだ当分先の事のようです。

(ライター ナオ)