日本人にとっては最も身近な野鳥、スズメ。
舌切り雀のお話は子供たちが一度は聞いたことがある民話のひとつです。
そんなスズメですが、人間になつくことはあるのでしょうか?
スズメの生態
スズメはスズメ目スズメ科スズメ属に分類される鳥類の1種です。
全長は14~15㎝ほどで、体重は18~27g、オスとメスは同じ色をしています。
普段は可愛らしくチュンチュンと鳴いていますが、縄張りを主張するときなどはジュクジュクという濁ったような鳴き声を出すこともあります。
日本には多くの地域で留鳥として存在していますが、一部の地域では旅鳥として存在します。
2008年には1800万羽程度が確認されていて、この数は1990年の調査に比べるとほぼ半数で、ここ20年ほどでは大幅に減少しています。
この理由としてはスズメの好むお米の収穫がそれまでの天日干しから大規模なコンバインでの収穫に変わり、エサである米を摂取しにくくなったことが考えられるといわれています。
食べ物は雑食性。イネ科が中心で、植物の種子や虫を食べる他、都市部に生息するスズメは桜の花の蜜やパン屑、生ごみなどを食べています。この何でも食べる習性によってスズメはここまで繁殖してきたと考えられています。
繁殖時期は3~8月、年に2回程度の繁殖時期があり、天敵を避けるためにわざと人間の近くで繁殖行動をとるという報告もあります。
毎日一つずつ卵を産み、一回の産卵で4~8個の卵を育てるといわれていますが、9~10個観察された場所もあるとか。
親鳥は14日間卵を抱卵し、雛が孵化するとすぐに巣立っていきます。
しかし、ヒナたちが無事巣立つ確率は非常に低く、多くても10個、少なければ4個の卵が孵化したとしてもせいぜい巣立ちを迎えるのは1羽だと言われています。
野生の状態では多くの雛たちが寒さや天敵にやられ、生き延びることが出来ないというわけです。運よく、冬を越せた鳥たちも寿命は1年半ほど。
天敵はモズやカラス、猛禽類、ネコ等。時には爬虫類もスズメを襲うようです。
スズメは見た目に寄らず大食漢で、3時間何も食べないと弱ってしまい、そんなところをネコやイタチに襲われてしまいます。
野生のスズメの飼育
日本野鳥の会などでは、基本的に野鳥を人間が飼育するべきではないとして、スズメの雛を見つけても、2~3時間ほどはその場で親スズメが来るのを見守りましょうと言っています。
実際、スズメの飼育は他のインコやシジュウカラなどと違って飼育するには面倒な点が多いようです。
例えば、とても飛翔力のあるスズメは、かご内で飛び回り自分自身の体を傷つけてしまう場合が多くあります。
また、糞も多いので掃除が毎日で大変だったり、砂浴びという羽や皮膚を綺麗にする行動を頻繁にとるので、周りに砂が飛び散ってしまうのも大きな難点です。
スズメは人間になつく?
野生のスズメは上手に長い期間飼っていると、非常に人に懐きます。
きちんと人を見分ける能力もあります。お世話してくれるいつもの人と突発的に外からの来た人を区別することもできます。そうなってくるとちょっと可愛いですよね。
雛の頃から世話をすると本当に家族のように肩にのったり、すっかり安心しきってちょこちょこと所かまわず歩き回ったりします。
ポシェットなどを飼い主さんが肩からかけていると、そのポシェットの中などに入ってくることもあるようです。
バランスの良いエサやかご内の清潔感、また、スズメを飼ったことのある知り合いは、エサと糞の時間帯を大体把握して、それ以外の時に空間内を自由に飛び回らせていました。
そんな風に手間をかけて可愛がってあげると、10年ほどは生きるようです。
(ライター ナオ)