みなさんはエトピリカという鳥を知っていますか?

名前は聞いたことがあっても、どんな鳥なのか具体的に知っている人は少ないのではないでしょうか。

某ヴァイオリニストの曲でこの鳥の名前が題名になっている曲があるので、そちらを思い浮かべる人も多いかもしれませんね。

 

私は初めてこの名前を聞いた時、妖精みたいな華奢で美しい羽を持った鳥を思い浮かべました。

果たして、その実際の姿とは?

エトピリカってどんな鳥?

エトピリカは、チドリ目ウミスズメ科の海鳥です。

北太平洋沿岸の亜寒帯地域から、東は北米、西は北海道(北海道東部の島々)まで生息しています。

見た目は黒い体に白い顔、オレンジの嘴と、アマゾンにでもいそうな風貌をしていますが、日本にも生息しているんです。

日本の鳥って控えめな見た目の種類が多いから、ちょっと意外ですよね。

 

一年の大半は外洋で過ごし、繁殖期になると天敵の少ない断崖に群れで巣(コロニー)を作ります。

海鳥なだけあって、飛行だけではなく水中も得意で、水深10メートルまで潜って小魚やエビなどを捕食します。

水中を潜っている姿はどことなくペンギンに似ているかもしれません。

そういえばペンギンだって海鳥なんだから、似ていても不思議ではないのかも。

 エトピリカの衣替え

エトピリカは40cmほどの体長で、とても個性的な外見をしており、「花魁鳥」とも呼ばれています。

その中でも特に目立つのが、何と言っても鮮やかなオレンジ色に輝く嘴。

「エトピリカ」という名前、外国語に聞こえるかもしれませんが、実はこれ日本語なんです。

正確にはアイヌ語で、「エト(嘴)ピリカ(美しい)」という意味なんだそうです。

とっても素敵な響きですね!

 

さて、その名の通りその美しい嘴はエトピリカのトレードマーク。

しかしこの美しい嘴、実は繁殖期だけのものなんです。

繁殖期に入ると、嘴の表面組織が角質化していき、嘴の形を変えていきます。

それは人間の爪やシカの角のような死んだ細胞であり、繁殖期が終わるとポロッと取れてしまうんです。

嘴が取れるなんて結構衝撃的ですよね…。

嘴全体が取れるわけではないですが、それでもビックリです。

 

そして変化するのは嘴だけではありません。

あのドーランを塗ったような真っ白な顔も冬には黒くなり、頭の飾り羽もなくなってしまい、ものすごく地味~な見た目になってしまいます。

夏と冬でこんなに風貌が変化する鳥も珍しいですよね。

 

 エトピリカのそっくりさんを発見!

とても個性的な外見のエトピリカですが、実はとてもソックリな鳥が存在します。

それは同じ海鳥である「ツノメドリ」。

本当にパッと見は「どっちがどっちだ?」というほど似ています。

見分けるポイントは飾り羽と胸の色。

エトピリカは頭に飾り羽があり、顔だけが白いのに対し、ツノメドリは飾り羽が無く胸まで白いのが特徴です。

一度エトピリカとツノメドリを並べて観察してみたいものですね。

 

エトピリカ、絶滅の危機

外国では大規模なコロニーが確認されるなど、さほど希少な鳥ではありませんが、日本に限ってはその数を大幅に減少させており、絶滅が危ぶまれているんです。

数十年前までは数百羽のエトピリカが飛来してきていたのですが、数十羽にまで数を減らしており、環境省のレッドリストにもにも登録されています。

こんなに数が減ってしまった理由の一つは漁業用の定置網に引っかかってしまうこと。

そして外来種であるドブネズミが卵を食い荒らしてしまうことです。

ドブネズミに関しては2013年に駆除作戦が行われましたが、依然としてエトピリカの数は減少傾向にあると言います。

 

世界にはたくさんいるとは言っても、やはり日本に全くいなくなってしまうのは寂しいですね。

頑張って数を増やしていってほしいです。

(ライター名 もんぷち)
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