大きなくちばしを持ち、動かないでじーーっと何かを考えるように立ちすくむハシビロコウ。
宮崎駿の映画、風の谷のナウシカにでてくるトリウマのカイとクウを思わせるような顔つき。
ハシビロコウって?
ハシビロコウは南アフリカの南スーダンからザンビアにかけての湿地帯に生息している大型の鳥です。
体長は110~140㎝ほど。大型のものだと152㎝のものもいるそう。羽を広げた時には230~260㎝ほどにもなり、飛んでいる姿はど迫力の一言です。
体重は4~7kほどで、オスの方がメスよりも大きいのが特徴です。
絶滅寸前のハシビロコウ
ハシビロコウは国際的な自然保護団体のICUNで絶滅危惧種に指定されています。
1997年時点では1500羽ほど確認されていたハシビロコウは近年では500~800羽ほどしか生存していないといわれ、その主な原因は生息域の破壊によるものと考えられています。
ハシビロコウの特徴
大きな体のハシビロコウですが、普段エサをとる以外は動かないでじっとしていることが多く、まるで銅像の様に固まっています。5~6時間の間、じっと身動きしないこともあるのだとか。
実はその行動は、エサをとるために身を潜める為なのだそうですが、青みがっかかった灰色の体と巨大なくちばしでじっと立っている姿は、まるで古代からそこにずっと静止しているかのようで、さながら本物の銅像のようです。
ちなみに、大きなくちばしは淡黄色で、日本名は「くちばしの広いコウノトリ」という意味があるのだそう。
ハシビロコウの生態
エサは主に魚類や両生類、爬虫類などで、大型のハイギョなどが水面に酸素を吸いに出てきたところを大きなくちばしで捕まえ、丸のみします。
ハイギョの他にもティラピアやナマズ、ナイルオオトカゲ、水棲のヘビワニの子供などを食します。
子育ては一羽のメス鳥が一羽の雛しか飼育しないことでも有名です。
たとえ2羽の雛がかえったとしても、大きい方しか育てずに、小さい方は餓死していくのだとか…一見残酷そうに聞こえますが、種として生き残るための苦肉の策なのだろうということが想像できます。
ハシビロコウは飛べるの?
大きな体でじっとして動かないハシビロコウですが、立派な翼を持っていて、長い距離を飛ぶこともできます。
ただ、めったに長距離を飛ぶことはなく、よほどの危険を感じた時などは100mほど飛ぶようです。
羽ばたきは1分間に150回ほどで、鳥の中ではゆっくりとした羽ばたきです。
ハシビロコウの飼育
ハシビロコウはデリケートな鳥で、飼育下の年数を重ねるほど攻撃的になるそうで、未だ人工的な繁殖には成功例がない鳥です。
同じ飼育小屋に2羽を入れておくと、互いに攻撃することもあるそうで、ガラス越しでもお互いを威嚇してガラスをつついて叩き破ってしまうことも!!
年齢を重ねたハシビロコウは目の色が徐々に金色から青色に変わり、存在感が増します。
日本で飼育されたハシビロコウの最年長記録は2013年の時点で43歳。
鳥としてはかなりの長生き。さすが生きた銅像!無駄なエネルギーは消費しないをいうわけです。
ハシビロコウが見られる動物園
日本では4か所ほどハシビロコウを飼育している動物園があります。
東日本では、千葉市動物園、上野動物園、伊豆シャボテン園、そして唯一西日本では高知県のいち動物園があります。
ハシビロコウは鳴くことはしませんがくちばし同士を合わせてカチカチと音を鳴らすクラッタリングという動作をして、仲間に合図を送ります。
攻撃的な一面がある反面、とても礼儀正しい鳥としても有名で、親近感を持つ相手には首を大きく振り、お辞儀のようなしぐさをして愛情を表現します。
あんな大きな図体をしていながらツンデレな奴なんですね~~。
動物園に出向いたら、そんな可愛らしいハシビロコウの姿も見ることができるかもしれませんよ。
(ライター ナオ)