「タンチョウ(丹頂鶴)」は日本の有名な民話「鶴の恩返し」のモデルとなった種類の鶴です…というよりも、日本で昔から「鶴」と呼ばれている鳥は、ほとんどの場合がこの「タンチョウ」を指している事が多いようです。
正確には九州や中国地方などの温暖な地域には、冬になると越冬の為に大陸から「ナベヅル」「マナヅル」飛来してきますし、「クロヅル」「アネハヅル」「ソデグロヅル」「カナダヅル」なども飛来する事があります。
その中でもタンチョウは、丹頂という名前の通り(丹は赤、頂は頭を意味する)、頭のてっぺんの赤い模様と細いクチバシ、長い脚に、白と黒に絶妙に色分けされた流線型のスタイリッシュな胴体を持つ事で、かつての日本では最も美しく、そして馴染みのある鳥とされてきました。
日本のタンチョウは渡り鳥ではない
湿地帯を主な棲息域としているタンチョウは、明治以降の急速な開発によって、その棲息幾を奪われ、一時は絶滅したと考えられていましたが、1924年に北海道の釧路湿原で再発見されています。
現在では天然記念物に指定され、若干は生息数を増やしており、2000年には740羽の生息が確認されています。
鶴と言えば渡り鳥というイメージが強く、かつてのタンチョウは冬になると関東地方にも飛来する事があり、江戸時代には幕府によって手厚く保護され、飛来地には野犬が立ち入る事が出来ないように、番犬が置かれることもありました。
しかしながら、現在北海道に生息するタンチョウは、冬になっても関東に渡る事はく、北海道で冬を過ごします。
その一方でユーラシア大陸に生息するタンチョウは、夏に中国北東部で繁殖し、冬になると朝鮮半島や長江下流に南下して越冬を行います。
良く見かける鶴に似た鳥
鶴は日本では滅多に見る事が出来ない鳥になってしまっていますが、動物園などでは別として、時々家の近くで「鶴を見かけた」と言う人がいます。
郊外でも比較的普通に見られる鳥で、鶴に近い大きさでクチバシが尖っている鳥は、ズバリ「コウノトリ」です。
確かに長い脚と尖ったクチバシ、そして白と黒ツートンカラー、確かにコウノトリはタンチョウに良く似た特徴を持っていますね。
実は私の家族もコウノトリを見て「鶴だ!」言っていた事がありますが、コウノトリはタンチョウほど大きくもスマートでも首が長くもありません。
江戸時代の絵画にも、木の枝にとまっているタンチョウが描かれているものがありますが、これはコウノトリを決して木の枝にとまる事はないタンチョウと勘違いして書かれたものだと言われています。
似ている事は間違いありませんが、この美しさを目に焼き付ければ、二度とコウノトリをタンチョウを見まがう事はないでしょう。
動物園では普段何気なしに見ているタンチョウですが、野生のタンチョウはこれほどにも優雅で美しい鳥なのです。
(ライター まるお)