毎年若葉の季節になると、季節の便りの様にツバメたちの巣作りが始まります。

「あ~もうツバメの季節か・・・」と時の流れの速さを感じる時期でもあります。

ツバメの生態

ツバメは主に北半球に生息している野鳥です。日本全土でその姿を見ることができます。

日本にいるツバメの多くは台湾やフィリピン、ボルネオ島などで冬を越し、春になると日本に渡ってきます。中日本や西日本ではそのまま日本で冬を越すツバメもいて、越冬ツバメと呼ばれています。

飛翔しながら昆虫を捕食したり、水面を跳びながら水を飲むという技を持っています。

産卵時期は4~7月。一度に3~7個の卵を産みます。主にメスが2週間ほど抱卵します。その後20日ほど育雛をし、巣立っていきますが、巣立ちの確率は50%ほどしかないのだとか。

日本では益鳥として大切にされてきた

ツバメは、穀物を食べず害虫を食べるので、古くから日本の水稲栽培では益鳥として大切にされてきました。

農村部を中心に、ツバメを殺したり、ツバメの巣やヒナにイタズラをするといったことを、慣習的に禁じて大切に扱ってきたのです。

江戸時代には、ツバメの糞(ふん)は雑草の駆除に役立つと考えられていました。

 

また、ツバメは農作物の生育に一番大切な時期に、東南アジアから渡ってきます。

そして、大量に発生する人間や作物に害を与える昆虫(ガ、ウンカ、ユスリカ、シロアリなど)を1日に数百匹も食べます。食べまくりです。

というわけで、人間の近くに巣を作り、そのまわりを飛びながら農耕地の害虫を捕食するツバメは、益鳥として大切にされてきたのです。

※益鳥とは、作物や樹木の害虫を捕食するために、直接間接に人間に益するとみなされる鳥類のこと。《引用:広辞苑》

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ツバメの巣が縁起が良いと言われる理由

ツバメは、人通りの多い場所に巣を作る習性があります。

特に家の玄関に作ることが多く、それはヘビなどの天敵から身を護るためだといわれています。

人間がたくさんいれば、ほかの動物にツバメの巣を狙われることもないだろうという理屈です。

 

ツバメの巣が縁起が良いと言われる理由のひとつに、『商売繁盛のシンボル』であることがあげられます。

それは、①人通りが多い建物→②お客さんがよく出入りをする場所→③商売が繁盛しているお店という連想で、実際、ツバメの巣は、商売をやっている人からは今でも繁栄している家や店の象徴として喜ばれています。

また、ツバメの巣のある家は、古くから安全であると認知されています。

これはツバメが清潔で火事にならない家に巣を作るからで、そのような家は散財をすることもなく、また病人も出さず、そしてその結果、繁栄することが多いので、ツバメの巣は安全で運気の良い家の象徴としてもみられてきました。

 

上述のように、家にツバメの巣があることは『縁起の良いこと』として、日本各地で認知されてきたようです。

日本各地の言い伝え

  • ツバメが巣をかける家は縁起が良い。(千葉、新潟、愛媛、宮崎など)
  • ツバメが巣をかける家は吉事がある。(茨城、愛知、香川)
  • ツバメが巣をかける家は病人が出ない。(栃木、千葉)
  • ツバメが三度巣をかけると千万長者になる。(愛知)
  • ツバメの巣が多いほど、その家は繁昌する。(栃木)
  • ツバメが家の中や座敷に巣をかけると最高にめでたい。(宮城、石川、福岡など)
  • ツバメが自在カギに巣をかけると金持ちになる。(長野)
  • ツバメは衰える家には巣をつくらない。(山形)
  • ツバメは火事を出す家には巣づくりしない。(秋田、山形、愛知、山口など)
  • ツバメは田の神様を負うてくる。(広島)
  • ツバメが家の軒に巣をかけると豊作。かけぬと不作。(長野)

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風水や夢占いのツバメ

風水では古くから鳥の巣作りは幸運の証とされてきました。

夢占いの世界でも、ツバメに関する占いは色々とあります。

例えば、ツバメが空を飛ぶ夢を見たら、それは恋愛や愛情運が上昇している証拠、ツバメが自分の方に飛んでくる夢を見たら、懐かしい人との再会があるかもしれません。

また、ツバメが肩に止まる夢は、頼りになる協力者や守ってくれる人が現れる暗示で、電線に止まっているツバメの夢は会いたい異性に会える予感だそう。

他にも軒先で巣作りしているツバメの夢は恋や愛が充実している証等々。

とにかく夢にツバメが出てきたら、何かいいことが起こるか、実際起こっているということのようです。

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ツバメの種類

ツバメは、スズメ目ツバメ科に分類される鳥類です。

古くは『ツバクラメ』、または『ツバクロ」と呼ばれました。

ツバメは空中で旋回をおこなうほどの飛翔力があります。

ツバメの巣の材材に泥を用いる種は、巣材を集める際に地表に降りることもありますが、しかし一生のほとんどを空ですごします。

食性は動物食で、主に昆虫を食べます。

多くの場合は、飛翔しながら口を大きく開けて、飛行している獲物を捕食します。

 

日本にいるツバメ科の鳥は、以下の5種類です。

主な越冬地は、台湾、フィリピン、ボルネオ島北部、マレー半島、ジャワ島です。

  • ・ツバメ:全長は約17センチ、翼開長は約32センチ。背は光沢のある藍黒色で、ノドと額が赤くなっています。腹は白く、胸に黒い横帯があります。尾は長くて切れこみの深い二股状で、この尾のかたちをツバメにちなんで『燕尾(えんび)形』といいます。翼が大きく、飛行に適した細長い体型です。脚は短く歩行には不向きで、巣材の泥を求めるとき以外は、地面に降りることは滅多にありません。
  • ・イワツバメ:頭、背中、尾が黒く、腹部は白くなっています。ツバメよりひとまわり小さく、ノドは赤くありません。
  • ・コシアカツバメ:頭、背中、尾は黒く、腰は赤色をしています。腹部は赤っぽく黒い斑点が縦に入っています。ツバメよりも少し大きめで尾も長くなっています。
  • ・ショウドウツバメ:頭、背中、尾にかけて茶色っぽい色をしています。腹部は白く、胸にT字状の帯があるのが特徴です。ツバメより小さく、尾の切れこみも目立ちません。
  • ・リュウキュウツバメ:頭、背中、尾は黒っぽく、腹部は茶色がかっています。ノドは赤です。

日本では奄美大島以南の南西諸島で見ることができます。渡りはしません。

ツバメの巣の特長

ツバメの巣の材料は、泥と枯れ草に唾液を混ぜたものです。

お椀のかたちをしていて、垂直な壁に作られることが多いのですが、電線のコードの上などに作ることもあります。

近年は、道路が舗装されており、河川もコンクリートの護岸が多く、泥が集めにくくなっているので、約半数のツバメが前年の巣を補修して再利用しているといわれています。

 

また、雄雌共同で巣作りをします。

新たにツバメの巣を作る場合は、巣材を集めた後に8日くらいで外装ができあがり、その後、産座に羽毛など敷いて完成となります。大きさは外径12~15センチ、内径6~12センチ、深さ1.5~3.6センチほどです。

ツバメたちの天敵

縁起の良いと言われるツバメですから、もし条件が許すのならば、ヒナが巣立つまで、温かく見守ってあげたいものですが、ツバメの巣には実は危険がいっぱいなんです。

まず、天敵!

ツバメの雛たちにとって最大の天敵はカラスと蛇です。

カラスたちはホバリングができないので、下からジャンプして、くちばしで巣を壊し、中の雛を狙います。蛇はどこでもするするっと昇っていきますから、あらゆるものを伝って巣まで近づいてきます。

そんな天敵からツバメの巣を守るためにはいろいろな対策が必要のようです。

カラス避けとしてはカラスが近づくのをためらうような糸を巣の周りに張り巡らせておくというのが効果的です。

 

また、蛇に関しては蛇が伝いやすいものを撤去したり、柱などはビニールで3面を覆ってしまうと、巻き付きながら登ることが困難になります。防護ネットなども販売されています。

木酢液などのヘビの嫌がるにおいを撒いておくのも効果的。

糞の処理をしてツバメの存在に気付かせないというのも良い方法です。

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もしもツバメの巣が落ちてしまったら

天敵から守っても、もしかしたらツバメの巣が落ちてしまうかもしれません。

そんな時はどうしたらよいのでしょう。

野鳥は人が飼育することは禁じられているので、一時的に保護するという観点からいうと、結論は親鳥が再び子育てできるようにサポートするということ。

巣が落ちてしまうと親ツバメたちは童謡し、子育てを放棄してしまうかもしれません。

ヒナは四六時中エサを食べていないとすぐに弱ってしまうので、早急な応急処置が必要になってきます。

カップ麺の容器やざるなどを使って、巣の元あった場所に同じように巣のようなものを設置してあげるのが最も良い方法です。

 

壊れてしまった巣の残骸もその中に入れると良いでしょう。

容器があまり深すぎないように注意し、親鳥たちが再び戻ってきて子育てし始めるのを待ちます。

一時的なエサとしてはハエや蛾、ミミズなどの生きた虫をスポイトなどを使って、喉の奥の方まで入れてあげるのが良さそう。

ヒナは喉の奥を刺激されることによって、楽に食事ができるのだそうです。

ちなみに健康に良いほうのツバメの巣は……

中華料理の高級食材として有名な『ツバメの巣』ですが、こちらはアナツバメの巣で、残念ながら日本にいるツバメとは別の鳥の巣になります。

 

アナツバメはアマツバメ目アマツバメ科アナツバメ類、全長10~15センチの小型の鳥類です。南アジアや東南アジア、熱帯太平洋、オーストラリア北部の海岸や島に分布。

最大の生息地は、ボルネオの大鍾乳洞群地帯です。

 

アナツバメは、羽毛など空中で得られる浮遊物を飛翔しながら集めて巣材とします。

これを唾液腺から分泌される粘着質の分泌物で固めて、いわゆる『ツバメの巣』を作るのです。

そのアナツバメのうち、ジャワアナツバメとオオアナツバメの巣は、空中から集めた巣材をわずかしか使いません。

巣のほとんどが唾液腺の分泌物でできており、中華料理の高級食材として利用されています。

ちなみに『ツバメの巣』の成分は、水溶性タンパク質が60%、多種のアミノ酸(シアル酸)と水分が10%、他に繊維質、炭水化物と少量の脂質、さらにはカルシウム、ビタミンB1、カリウム、リン、ヨウ素などのミネラルも含まれており、児童の発育を助長し、病後と産後の回復をはやめる働きがあると言われています。



ツバメの巣は美容にも

中華料理の食材としてだけでなく、ツバメの巣の成分は化粧品や石鹸、サプリメントなど幅広く利用されています。

肌に良いと言われる成分はシアル酸で、これはローヤルゼリー等にも含まれている成分です。

ツバメの巣にはローヤルゼリーの200倍ものシアル酸が含まれているのだとか。

シアル酸は肌を若返らせるアンチエイジング効果が期待できると考えられていて、たっぷりとツバメエキス成分を含んだフェイスマスクは疲れたお肌にはぴったり。

お肌の乾燥が気になる方は石鹸や美容液なども試す価値ありかも!?

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ツバメの巣は縁起が良いというより、ご褒美なのかも

ツバメが家やお店に巣を作るのは、偶然ではなく、それなりの根拠があるようです。

ツバメは、清潔で火事を出さなそうな家や、まわりの人たちから認められて賑わっている家やお店に巣を作ります。

ですから、『ツバメの巣が縁起が良い』という言い伝えは、ツバメが巣を作ると繁盛する、というよりも、すでに繁盛しているから巣が作られるというニュアンスを含んだものなのです。

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ツバメの巣対策

いいことばかりを書いてきたツバメですが、そうは言っても玄関先に巣をつくられるのはかなわなない…という方も沢山いらっしゃるはず。

そんな時はしっかりと対策をとりましょう。

まず、巣はあってもいいけど糞が気になるという方。

段ボールや空トレイなどで糞うけを作りましょう。巣の真下に巣よりも大きめのトレイやうけざらを

設置すれば、床に落ちて汚い思いをすることはありません。

 

それも嫌で、そもそも作って欲しくないという人は最初からつばめが近寄らないような環境を作りましょう。

アルミホイルを細長く切ったものをひらひらとなびかせておいたり、黒のゴミ袋を棒の先端につけてなびかせておいたりすると、ツバメたちは警戒して近寄らないようです。

 

知らない間に巣ができてたけど、なくしたい!という方は違う場所に移動させるという方法もあるようです。

その場合はできるだけ近くに、巣が壊れた時と同じくトレイやザルを補強として設置。

あまり成功例は内容ですが、もしかしたらうまくいくかもしれません。

 

以上、燕に関するエトセトラでした。

しばらくの時期、ツバメたちとの生活を楽しんで見るのはいかがでしょうか?

(ライター ジュン)

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