セスジツユムシという名前を聞いたことがありますか?

ツユムシの仲間ですが、中身はちょっとツユムシとは違います。

 

トノサマバッタやショウリョウバッタのようなかっこよさも特になく、スイッチョンやコオロギのようにメインボーカルとしての独特の歌声を持ち合わせているわけでもない昆虫、ツユムシの仲間たち。

でも、夏の野原を盛り上げる一員であることだけは確かなわけで・・・

セスジツユムシの生態

セスジツユムシは体長13~22mmほどの大きさ。翅を拡げた時には33~47㎜ほどになります。

北海道には生息していませんが、本州、四国、九州など日本の幅広い地域に生息しています。

背中に一本筋が通っているのが特徴です。色は緑色と茶色がいますが、オスとメスというわけではないそうです。

夜行性なので昼間は葉っぱの上などでじっと身を固めて静止しています。

 

静止時のスタイルは独特で、触角と前足を前の方に出して、中脚と後ろ足を少し開き気味にした、まるでリラックスしているかのような姿勢です。(敵は沢山いるんですがね・・・)

 

ちなみに、虫取りをしたことがある人ならだれでも経験したことがあるだろう、昆虫の茶色いツユ。

虫を捕るときにちょっと力を入れてしまうと、口から茶色い液体を吐き出しますよね?

もちろん、セスジツユムシも同じです。敵から身を守るために未消化の液を口から出します。

触るときには優しく出来るだけ刺激を与えないのがポイントです。

セスジツユムシとツユムシの違い

ツユムシという名前は「露を飲んで生きているかのようなか弱い感じ」からついたといわれています。

しかし、そうはいっても、ツユムシはれっきとした肉食で、小昆虫などを捕食しているので、実際はそれほどか弱いわけではなさそうです。

 

一方、セスジツユムシは、見た目はツユムシよりがっしりとしていて、強そうなのですが。ツユムシという名前がふさわしい草食系。

肉食系のカマキリやオオカマキリなどに捕食されてしまうこともあるほどなんです。

 

そんなか弱いセスジツユムシの生き残り作戦といえば・・エサの種類の幅広さでしょうか。

彼らのエサの対象の幅は広く、蔓性の植物の他、熟しかけの果実やキク科やマメ科、癖の強いシソ科の植物まで至ります。

 

ツユムシよりもかなりの自由度で、これはどんな環境のもとでも生きていけるということかもしれませんね。

草食系のたくましい生き残り方はセスジツユムシにあり!!??

私たち人間も、ちょっと見習わなきゃいけません(!?)

セスジツユムシの鳴き方と夏の夜

セスジツユムシのオスはチチチチチ‥‥から始まり、徐々にアップテンポのジュキ―ジュキ―という鳴き方に変わっていきます。

他にも鳴き方の種類は色々あると考えられていて、それは詳しく研究はされていませんが恋歌だったり、敵を撃退する鳴き声だったり・・・?

メスは基本チチチチチ・・・・と鳴きます。

地味は地味なりにちゃんと鳴き方があるということです。

 

セスジツユムシの鳴き声は、秋の王道、スイーーチョンなどと比べると、かなり地味で、一匹では、確かにメインボーカルをはることはできません。

でも、田舎に行くと事情は違ってきます。

辺り一面が野原や田んぼのような場所では、夏の夜になると、この地味な鳴き声の大合唱が始まります。それは、とても聴きごたえのあるもので、時にはうるさいぐらいの音として、辺り一帯に響き渡ります。

都会で生まれ育って、虫の声になじみのない人なら、一度虫たちの夜の合唱を気にしてしまうと、賑やかすぎて眠れなくなってしまうかもしれませんね。

カエルと虫との大合唱・・・・とにかく田舎の夏の夜は意外に賑やかなんですョ。

 

逆に田舎から都会に行くと、一日に何度も響くパトカーや消防車、救急車などの音が強烈です。

虫の声が生き物の賛歌だとすると、パトカーや救急車の音は人間達の悲鳴でしょうか・・・

(ライター ナオ)

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