キリギリスとバッタ、似ていて区別がつかないという人も多いはず。

えっ??そんなの別にどっちでもいいけど・・なんて言わずにちょっとの間お付き合いください。

キリギリスとバッタの違い

キリギリスもバッタも同じバッタ目に属する昆虫です。

そこからバッタ亜目バッタ科とキリギリス亜目キリギリス科に分かれていて、バッタ亜目にはトノサマバッタやショウリョウバッタ、イナゴやオンブバッタ、ヒシバッタなどが含まれます。

一方キリギリス亜目の方にはキリギリス、ウマオイ、クツワムシ、ツユムシなどの童謡「蟲のこえ」でおなじみの昆虫たちが含まれます。

キリギリスとバッタの見た目の大きな違いは触覚の長さ。

 

キリギリスは体よりも長い触覚を持っていますが、バッタの触角は短く、その違いは一目見れば一目瞭然です。

体つきや色などは似ているところが多いため、両者を見分ける時はまず触角を見るのが良いでしょう。

また、後ろ脚の長さも、キリギリスの方が長く、バッタは短くなっています。

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他にはよく観察するとキリギリスの前脚には大きい棘が沢山あります。

バッタにも前脚にも棘はありますが、小さく量も少ない。

 

キリギリスはバッタよりも捕食性が強く、しっかりと獲物を押さえつけるための棘と言われています。

また、キリギリスのメスの産卵管はとても長く発達していますが、バッタにその特徴は見られません。

 

更にマニアックで、注意深く観察しなければわからない違いとしては、キリギリスは翅を左右でこすり合わせ、綺麗で複雑な音色を奏でるのに対し、バッタは上下の翅をこすり合わせたり、上の翅と脚を擦り合わせたりして音を出すため、キリギリスほどの綺麗な音色を発することが出来ません。

 

更に、もっともっとマニアックなところでいうと、耳に当たる器官がキリギリスは前脚についているのに対し、バッタは腹の裏面についています。

生息している場所も微妙に違っています。

 

キリギリスの仲間はバッタに比べて背丈の高い植物の中にいることが多く、ススキやセイタカアワダチソウなどがそれにあたります。

人間が近づいても、不用意に跳んで出てきたりすることもあまりありません。

 

一方バッタは公園など低めの草の中にいて、人が近づくと、跳び上がり逃げようとするので、すぐにどこにいるかがわかり、子供たちにさえも捕まってしまうのです。

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キリギリスとバッタと人間の関係

キリギリスは先述しましたが、昔から「綺麗な鳴き声」の代表として日本の秋の夜を彩る昆虫とされてきました。

 

 

江戸時代にはキリギリスの声を聴くためのギス籠と呼ばれる専用の籠も売られるなど、日本文化と切っても切れない関係にあります。

時代の変化と共に水槽の中で長く飼う技術も発達し、夏~秋にかけてたっぷりとスズムシやマツムシ、キリギリスの声を楽しめるようになりました。

 

一方バッタの方は子供たちが最初に昆虫に親しむには最高の存在で、誤って強く握ったりすると茶色い液を出して、それが手についた子供たちは臭い思いをする・・・という共通の体験を提供してくれる貴重な存在。

 

茶色い液の正体は内臓から逆流した未消化の液なのですが、そのことを知ったのは大人になってからのことです。(今の子供たちはみんな知っているのかな)

また、バッタ亜目のイナゴは現在でも長野県の一部で食用として食べられていて、イナゴの佃煮は農村地帯の貴重な蛋白源でした。

 

過去においてバッタは大量発生し、農産物を食い荒らしたという被害が報告されていますが、農薬や殺虫剤が出回った今日、少なくとも日本においてバッタの被害はないと言えます。

キリギリスの害もとくには報告されていないようです。

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キリギリスとバッタの違い

キリギリスの触角は長く、バッタの触覚は短い。

後ろ脚も同様にキリギリスは長く、バッタは短い。

 

前脚に棘が沢山ついているのがキリギリス、棘が発達していないのがバッタ。

キリギリスは綺麗な鳴き声をだすが、バッタは出さない。

 

バッタ亜目のイナゴは佃煮になるが、基本的にキリギリスは食用にはならない。

これからの時期、よく目にするようになるキリギリスとバッタ。

皆さんも興味がありましたら、草むらにちょっと足をかがめて観察してみてくださいね。

(ライター ナオ)

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