サラサヤンマは綺麗な名前がついていますね。
更紗はインドが起源の伝統的な布地のひとつです。
サラサトンボの胸部の側面の黄色と黒の模様からそう名付けられたと言われています。
サラサトンボはどんなトンボで、どのように見分ければ良いのでしょうか。
サラサヤンマは小型のヤンマ
サラサヤンマはヤンマ科ヤンマ属のトンボの中では小型です。
全長はオスで68mm、腹長は49mm、後翅長は40mmほどです。
メスはそれより更に小さいです。
ヤンマ科の他のトンボたちは全長70mm~90mmくらいなのでヤンマとは思えないくらい小さい体です。
それでも腹部の第1節と2節が発達しており、3節にはくびれがあります。成体が見られるのは4月~7月です。
林道があるような場所や丘陵地を好み、水辺の近くよりも木立の周辺を飛んでいる事が多いようです。
サラサヤンマの生息地は一応北海道から九州、南西諸島まで含まれますが、サラサヤンマは局所的に生息しているとされ、見つけるのが難しいヤンマ科のトンボです。
サラサヤンマのヤゴの秘密
秘密を持たない生物はいないのかも知れません。サラサヤンマにも秘密があります。
ヤゴの姿かたちが変わっている事です。
もともとヤゴという生物自体がちょっと変わっていますね。
サラサヤンマは成体になるとあまり水辺にいませんが、卵は湿った木の葉が堆積した低地など比較的水分があるところに産卵されるようです。
サラサヤンマは木が好きなようで産卵場所に木の枝の下などのわりと乾燥した場所を選ぶ事もあり、生物なので当然と言えば当然ですが、行動があまり読めないのです。
そのため、サラサヤンマのヤゴはいるところにはいるようなのですが見つけにくいと言われています。
ヤゴでいる期間は1~3年ほどとされています。サラサヤンマのヤゴの大きさは30mm程度です。
赤茶色や黒っぽい体色で体には毛が生えています。オニヤンマのヤゴのようにどっしりした形ではなく、長い体です。
サラサヤンマのヤゴは全体に茶系で眼も黒いのですが、羽化が近づくと眼が金色になります。
肉食であるヤゴとしては珍しいのですが、個体が密集しても共食いはしないと言われています。
サラサヤンマは木の枝などにとまって羽化します。背面にのけぞるような恰好の倒垂型です。
サラサヤンマの翅の特徴
全体に黒と緑っぽい黄色の体色です。複眼はグリーンで、左右がくっついているのがサラサヤンマの特徴です。
サラサヤンマの翅脈の特徴は翅の付け根にある中室と呼ばれる部位に模様がない事です。
この中室には模様が入っているヤンマが多いようですが、サラサヤンマは小型で翅も大きくありません。
翅脈もすっきりしているように見えます。
サラサヤンマが飛ぶ化石と呼ばれるのは、トンボ類から早期に分化した種のトンボだと考えらえているからです。
その為、トンボの初期の姿を残しているのではないかと言われています。
昆虫の仲間は体を小さくさせる方向に進化したようなので、太古のトンボ類は巨大だとされています。
また、トンボ類の翅の見事な仕組みの一部は家電などにも利用されています。
サラサヤンマのホバリング
サラサヤンマの特徴は飛行の仕方にもあります。
トンボは様々な飛び方をするので、あれは何をしているのだろう、と思った事があるかも知れません。
サラサヤンマはよくホバリングをします。
主にサラサヤンマのオスが縄張りを見張る時などに見られます。
ホバリングは空中に静止したように飛んでいる状態で他にもホバリングができる昆虫はいますね。
サラサヤンマのホバリングは羽ばたきの回数が極めて多いようで、写真に撮ろうとシャッタースピードを限界まで上げても翅は写りにくく写真は暗くなる程、サラサヤンマは懸命に翅を羽ばたかせています。トンボはあまり羽ばたかないで急に旋回したりと器用な飛び方をする事もあります。
サラサヤンマは木の近くにいるかも知れない
サラサヤンマは見つけにくいトンボです。ヤゴの時代に見つかりにくい事も一因のようです。
ヤンマですが小型で、成体の姿を現すのは4月下旬から7月頃までです。
林のような場所でホバリングしている鳥ではない生物がいれば、サラサヤンマかも知れません。
サラサヤンマは水辺ではないようなところに出現する小型なトンボです。
(ライター:おもち)