夏の夜の「スイーッチョン♪」という虫の声を聴いたことのある人は多いはず。
日本の夏の夜を象徴する虫の声です。
でも一体、すいっちょんという名前の虫はいるのでしょうか?
すいっちょんの正体
すいっちょんはその鳴き方からつけられた愛称で、正式にはウマオイという昆虫です。
その中のハヤシノウマオイという種類のことを皆すいっちょんと言っているんです。
夏に鳴く虫は色々な呼び方でちょっと混乱を招きますが、学問上で言うと、バッタ目、キリギリス科、ウマオイ亜科のハヤシノウマオイということになります。
日本では本州や四国、九州に生息していて、生息場所の違いから、ハヤシノウマオイとハタケノウマオイに分けられ、この2種類が代表的な種類になります。
ウマオイという名前は、すいっちょんの鳴き方が、まるで馬を追い立てる時の声のように、けたたましく聞こえることからつけられたといわれています。
すいっちょんの生態
すいっちょん(ウマオイ)は先にも書いたように、ハタケノウマオイとハヤシノウマオイに分けられ、それぞれが畑などの草むらと林の中を生息場所としています。
ハヤシノウマオイの方は6~10月によく見られ、ハタケノウマオイの方はシッチョンシッチョンと鳴き、8~10月頃に見られます。
どちらも肉食性で、小昆虫などを捕食しているほか、飼育しようとして狭い空間に入れておくと簡単に共食いをすることでも有名です。
もし、夜に近くであの「スイ~~~~ッチョン」を聞きたくて飼育しようとするならば、一匹だけで飼うことをオススメします。
飼育中はミルワームなどの人工の飼料を食べる他、カツオブシなども食べるようですが、音を出すのにかなりのエネルギーを使うのか、結構な大食漢だそうです。
死んだばかりの昆虫も喜んで食べたりするので、お金をかけたくない方はそちらでどうぞ。
ハヤシノウマオイは林のような環境を好むので、葉っぱなどで日陰を作ってあげると安心して鳴いてくれるようですよ。
クズの葉っぱなどは日陰ができやすくていいかもしれません。
スイッチョンと似た昆虫
すいっちょんと似た虫にクツワムシが挙げられます。
パッと見ただけでは区別をつけるのが難しいのですが、クツワムシはガチャガチャという鳴き声で鳴きます。
クズの葉っぱを好み、すいっちょんと同じく、肉食ではあるのですが、クズの葉っぱだけでも問題なく成長する昆虫です。
童謡に出てくる「すいっちょん」
懐かしい童謡、「虫の声」。私たちの世代には馴染み深い童謡ですが、この中にもすいっちょんは登場します。
ちょっと歌詞をおさらいしてみましょう。
「あれマツムシが鳴いている チンチロチンチロチンチロリン
あれスズムシも鳴いている リンリンリンリン リーンリン
秋の夜長を鳴き通す~ああおもしろい虫のこえ~♪
キリキリキリキリ コオロギや~
ガチャガチャガチャガチャ クツワムシ
あとからウマオイ おいついて~
チョンチョンチョンチョン スイッチョン
秋の夜長を 鳴き通す~ ああおもしろい 虫のこえ~♪」
この歌には5種類の夏の虫が登場していますが、トリを飾っているのがすいっちょん!
鳴くというか厳密には翅同士をこすり合わせて音を出しているわけですが、目的もなく鳴きはしないわけで・・・昆虫が鳴くのには3つの種類があるそうで、その鳴き声も微妙にちがっているらしい。
まずは「ひとり鳴き」。オス同士がお互いの位置確認やコミュニケーションを図るために鳴く鳴き方。
これが自然派生して「連れ鳴き」という虫たちの大合唱につながっていくのだそう。そして、メスを引き寄せる「さそい鳴き」。
最後はメスをとられないために鳴く、「おどし鳴き」だそうです。
ん~~~~実に理にかなっています。
関西人の夫に教えてあげたい!!と思うのは私だけでしょうか・・・
(ライター ナオ)
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