本棚から古い本を引っ張り出したときに、なにやら白っぽい小さい虫がうごめいていたということはありませんか。
この虫はダニのようにも見えますが、本好きの虫、チャタテムシの可能性が強いと思われます。
チャタテムシとはどんな虫なのでしょうか。
またチャタテムシが本から出てきたときにはどう対処すればいいかを調べます。
チャタテムシとは?
チャタテムシは世界中に生息しており、3,000以上もの種が記録されています。
屋内に見られるチャタテムシには翅がなく、体長は1ミリ程度。
カビ、穀類などをエサとし、また本などの糊も好物であるためか本好きのムシと知られています。
気温25~29度、湿度75%以上の高温多湿を好み、風呂場などの水回りや気密性の高い書庫や押入れなどで大発生することもあります。
チャタテムシは蛹の段階を経ずに成虫になる不完全変態で、基本的に単独生活です。
一般に雌雄で交尾したあと産卵しますが、ヒラタチャタテはもっぱら単為生殖によって繁殖するのでオスはいません。
1匹のチャタテムシは生涯100~200個の卵を産み、産みつけられた卵は10~20日で孵化し、4日ほどで産卵可能になります。条件がよければ5ヶ月くらい生きられます。
チャタテムシの害
チャタテムシの害としては食害があり、米やそうめんなど穀類が好物で、米びつや包装袋の中に混入することもあります。
チャタテムシそのものには毒性はありません。しかし、チャタテムシを好んでエサにするのがツノダニで、ツノダニは人間を刺し、さらにその死骸が乾燥して粒子になるとアレルギー源になることもあるので厄介です。
チャタテムシは、ホコリがたまりやすく湿気を含みやすい本棚や積みっぱなしのダンボールなどに大発生し、古書などの糊も食べるので図書館や博物館などの文化財にとっても油断のならない害虫です。
チャタテムシの名前の由来
和名のチャタテムシ(茶立虫)は、スカシチャタテが夜中に茶せんで茶をたてるときの音に似ているのにちなんで命名されたものです。
小林一茶の俳句に「有明や虫も寝あきて茶をたてる」とありますが、この虫はチャタテムシのことです。
さらに、英名のbooklouse(本ジラミ)は古書でよく見かけることに由来します。
三大本好き虫
本につく虫として代表的なものは3種類あります。
3種とも、虫自体は人体に直接害を及ぼすことはありませんが、ダニの発生やアレルギーの原因につながることもあるので、なかなか厄介です。
チャタテムシ(茶立虫)
よくダニと間違えられることがあり、多湿で薄暗い場所を好み、カビやホコリなどを食べる雑食性。
シミ(紙魚)
体長は1センチほどで平べったく、3本の長い尾と触角が特徴的。魚のようにクネクネと素早く動き、寿命も7~8年と長生き。
シバンムシ(死番虫)
表面をかじるシミと違い、掘るように食害するので、古い本などにトンネル状の細い穴がついているのはシバンムシの喰い跡です。
体長は2~3ミリほどで、コロンとした黒い粒状の形をしています。
チャタテムシとダニとの違い
ダニも高温多湿の環境を好み、梅雨や夏に大発生します。人間のフケ・垢などなんでも食べて繁殖し、しかも人を刺して痒みや発疹を生じさせたり、そのフンや死骸はアレルゲンになったりする害虫です。
ただ、大きさ的には、肉眼でとらえにくいものがほとんどで、家の中で見られる一番大きなダニのイエダニの大きさも0.7~1ミリ未満です。
本棚や畳の隙間などで見られる1ミリ程度で、比較的頭が大きく見える虫はチャタテムシである可能性が強いでしょう。
チャタテムシの予防方法
チャタテムシは、高温多湿の環境を好むので、そういった環境をつくらないことが大切です。
水回り、押入れ、書庫など、できるだけ換気をし湿気がこもらないようにします。
さらにはカビ発生のもとになるホコリをためないようにこまめに掃除をするようにしましょう。
本からチャタテムシが出てきたら?
じめじめが続く梅雨時などは換気をするのがむずかしいですよね。チャタテムシが発生してしまったらどうしたらいいでしょう。
掃除機で吸ってしまうことを考えがちですが、掃除機の排気口から外に出てしまうので、粘着性のコロコロで取り除くほうが効果的です。
大発生してしまったら、バルサンなどの燻煙式の殺虫剤を使うとよいでしょう。
ただし卵の状態では駆除することができないので、次の孵化する時期1週間~10日くらいあとで再度使用するようにします。
博物館でのチャタテムシの退治方法
大事な文化遺産を保管している博物館では、環境汚染の観点から薬剤に頼らない駆除や発生防止をめざしています。
博物館などで行っているチャタテムシの駆除方法を紹介しましょう。
通常、チャタテムシなどの虫は70度に30分以上いると生きることはできません。
黒いビニール袋に本を入れて口を輪ゴムで縛り、さらに透明な袋に入れて輪ゴムで縛り二重にします。
それを晴れた日に屋外に一日放置すると、ビニール袋の中は70度を超え、虫やカビは死に絶えます。
さらに、本棚は消毒用アルコールで拭くようにします。
まとめ
チャタテムシの名前の由来は、夜中に茶せんでお茶をたてる音からなんですね。
昔話に出てくる小豆洗いなどの妖怪のモデルになったともいわれているそうです。
本からチャタテムシが出てきたら換気をし、ホコリやカビがたまらないようにしっかり掃除をするようにしましょう。
(ライター sensyu-k)