コクゾウムシという名前を聞いたことがない方でも、「米食い虫」という異名には耳馴染みがあるのではないでしょうか。
今回は、米食い虫ことコクゾウムシの生態と退治の方法について、みなさんにご紹介していきます。
コクゾウムシってどんな虫?
コクゾウムシはコウチュウ目オサゾウムシ科に属しています。
コクゾウムシは漢字で「穀象虫」と表します。
その名のとおり穀物、特にイネ科の植物を食害することから、世界中で害虫として忌み嫌われています。
コクゾウムシの成虫の生態
コクゾウムシの成虫は全長が2.0~3.5mmと、ゾウムシの中でもかなり小ぶりです。
その体は細長い楕円形で、赤褐色から黒褐色の体色をしています。
米や麦、トウモロコシなどの穀物を広く食害しますが、米食い虫の異名のとおり、お米がなによりの大好物だそうです。
お米が大好きだなんて、まるでわたしたち日本人のようですね。
コクゾウムシの幼虫の生態
コクゾウムシの幼虫は全長が約2.0mm前後と、米粒と比べると小さいのですが、成虫と違って白い体色をしているため、お米の中に紛れていても気づかれにくい姿をしています。
水に浮く性質があるため、お米を研ぐときに注意していれば、お米と一緒に炊いてしまうという事態を防ぐことができますが、仮に食べてしまっても体に害はありませんので、それほど気にする必要はないでしょう。
コクゾウムシの近縁種
コクゾウムシと同じように穀物を食害するゾウムシの仲間に、ココクゾウムシとグラナリアコクゾウがあります。
ココクゾウムシは、その名のとおり、全長2.0~3.0mm前後とコクゾウムシと比べるとやや小ぶりです。
大きさ以外はコクゾウムシと殆ど見分けがつかない似通った外見をしていますが、飛翔能力を有さない点がコクゾウムシと大きく異なっています
コクゾウムシと同じように、害虫としてここ日本を含む世界中で広く知られています。
グラナリアコクゾウは全長が2.5~4.0mmと、コクゾウムシの仲間の中ではやや大きい部類だといえます。
ココクゾウムシと同じように、飛翔能力はありません。
世界中に広く分布していますが、日本における生息状況は詳しくわかっていないそうです。
コクゾウムシと人間との関わり
前述したように、コクゾウムシは穀物を食害することから、世界中で害虫として駆除の対象となっています。
穀物の生産者は勿論、優れた飛翔能力と小さく細長い体で家庭の中に侵入することも多いため、一般家庭にある米びつの中に発生することも少なくありません。
コクゾウムシを退治する方法
発生してしまったコクゾウムシをお米の中から取り除くには、新聞紙などの上に薄く広げたお米を陰干しするという方法が有効です。
数時間も放置しておけば、コクゾウムシは勝手に逃げていきます。
直射日光に晒すと効果はより大きくなるのですが、肝心なお米の風味を損なってしまう恐れもありますので、十分にお気をつけください。
コクゾウムシの発生を予防する
コクゾウムシの発生を予防するためには、そもそもコクゾウムシの侵入を防ぐ必要があります。
米びつを冷蔵庫で保存するか、お米をタッパーなど密閉できる容器に入れて保管することで、コクゾウムシの侵入を防ぐことができます。
また、米びつに乾燥させた唐辛子や生わさび、にんにくを入れておくことでもコクゾウムシの発生を予防できます。
勿論、市販されている米びつ用の防虫剤も効果抜群です。
コクゾウムシを飼ってみる
コクゾウムシの飼育は非常に容易です。
採取したコクゾウムシを餌となる米粒と一緒に容器に入れておくだけ。
コクゾウムシは小さな隙間からも脱出することがあるので、飼育容器はタッパーの蓋に針などで空気穴を開けたものを用いるとよいでしょう。
複数匹を同じ容器で飼育していると勝手に繁殖してしまいますので、脱走にはくれぐれも注意してください。
害虫と忌み嫌われる生き物も、その生態を観察していると様々な魅力があることに気がつきます。
みなさんもコクゾウムシを見つけた際には、数匹採取して飼育してみては如何でしょうか。
タッパーという小さな世界の中で、生命の神秘をみることができるかもしれませんよ。
(ライター:國谷正明)