アザミウマは、園芸をやっている人や農家の方々にはお馴染みの害虫です。
とはいっても、昆虫図鑑にはまず載っていません。
いわゆるマイナーな昆虫です。
この記事ではそんなアザミウマの生態と天敵、そして駆除方法を紹介いたします。
アザミウマの生態
アザミウマは、アザミウマ目に属する昆虫の総称です。原生種は5000種ほどで、スリップスとも呼ばれます。
日本には350種ほどいて野菜や花などに被害を及ぼします。細長い昆虫で、頭部も長い種が多いことから「ウマ」の名をつけられたと言われています。
足は短く運動はあまり得意ではありません。ハネは棒状のものの周囲に、長い毛が生えた状態です。
アザミウマ目の旧名である「総翅目」はこのことに由来します。アザミウマは5000種ほどいますが、その多くは1ミリ以下です。
飛翔力がとぼしく風に乗って遠くに移動します。アザミウマのうち植物食の種は、植物の表皮に穴を開けて、その下の柔組織の内容物を吸いとります。
また、花粉や菌類の胞子に穴を開けて、中身を吸い取る種も多く存在します。
アザミウマの被害
アザミウマには植物を食害する種が目立ち、そのなかでも農作物を加害する種は、特に農業害虫とされます。
これらの種は、条件が合うとしばしば大発生し、特に近年は温室の重要な害虫となっています。
アザミウマに花が被害を受けると、花の色が褐色になります。
また、しみができることや、かすれ状の色抜けなどがおこることもあります。
つぼみが被害を受けることもあり、その場合は花が咲きません。
アザミウマには、葉を食害する種もいます。
この場合も花と同じように色の変化があり、それと同時に葉の端が丸まります。
そして次第に植物の生育が悪くなり、実の不結実がおこります。
野菜であれば、収穫量の低下や価値の低下がおこります。
また、アザミウマの一部には、ウイルスを媒介する種があることが分かっています。
ちなみに、ウイルスにかかってしまった植物を治す薬はありません。
アザミウマの駆除方法
アザミウマは小さくて数が増えやすい害虫です。
そんなアザミウマには、効果が長期間にわたる『浸透移行性の殺虫剤』がよいでしょう。
殺虫剤が根から吸収されて、葉裏や新芽、花粉のなかなどに染みわたります。
薬液がかかりにくい場所にいる害虫に高い効果を発揮するでしょう。
お買い得セット 殺虫・殺菌剤 ベニカXファインスプレー 1000mL 浸透移行性剤 速効&持続 3個 新品価格 |
粒剤を土にばらまくのも有効です。アザミウマには、オルトラン粒剤やオルトラン水和剤などがよく効きます。
しかし、新種のミナミキイロアザミウマにはそれほど効果が期待できません。
ベストガード粒剤や、モスピラン粒剤などのほうがよいでしょう。
アザミウマの天敵
アザミウマの駆除には、薬剤のほか、天敵も非常に有効です。
ハナカメムシ類やカブリダニなどは、アザミウマ類の幼虫をよく食べます。
なかには、生物農薬として実用化されている種もあるので、薬剤との組みあわせを試してみるのもよいでしょう。
なお、天敵が好む植物を近くに植えるという『バンカープランツ』という対処法もあります。
バンカープランツ
天敵を増やしたり温存する作物・植物のこと。
バンカーは「銀行」の意味で、天敵を畑の銀行に貯金しておき、作物に害虫が発生したときにはいつでもこの銀行から天敵を払い戻せるようにするわけだ。《引用:現代農業用語集 ルーラル電子図書館》 ”
つまりアザミウマの天敵が好む植物を近くに植えて、アザミウマを退治してもらうのです。アザミウマの天敵が好む植物は以下の通りです。
- マリーゴールド……ヒメハナカメムシが好む
- バジル、ランタナ……ヒメハナカメムシとクロヒョウタンカスミカメが好む
- ゴマ……タバコカスミカメが好む
以上、アザミウマの生態と天敵、そして駆除方法でしたがいかがでしたか?
筆者は園芸の経験がまったくないのですが、調べているうちにバラの栽培に興味がわきました(バラはアザミウマの好物です)。
まずはバラ園の偵察からはじめてみようと思います。
(ライター ジュン)