アザミウマという小さい害虫をご存知でしょうか?
今回はアザミウマについて詳しくお話します。
アザミウマの特徴
アザミウマはアザミウマ目に属する昆虫の総称で、微小で細い体型の昆虫。
翅は膜質でなく、棒状の本体に細かい房状の毛が羽毛のように密生しています。
細長い体で頭部は長く、アザミウマのウマはその様子からきていると言われています。
肢は短く、運動はあまり活発ではありません。
翅は棒状のものの周囲に一面に細かい毛が生えていて、体長は1㎜程度です。
飛翔力は乏しく、風にのって遠くへ移動します。
口器は左右対称のパーツが円錐状に組み合わさっていて吸汁用に特殊化しています。
植物を食害する種が多く、それらはいずれも植物に穴を開けて、内容物をすいとる接食方法を行います。
花粉や菌類の胞子の細胞壁に穴を開けて中身を吸い取る種類もいます。
アザミウマの生活史
アザミウマは不完全変態で幼虫は成虫に似た姿をしています。
成虫になる前になると摂食行動をとらず、行動も鈍くなって蛹になる時期が1~2期ありますが、この時期の形は幼虫の同じ。
成虫の形態も単に幼虫に翅をつけただけのように見えますが、実際は多くの細胞に変化が起こっており、幼虫から成虫に変化すると様々な器官の新生が起こっています。
単為生殖も行い、受精せずに発生すればオスになり、受精するとメスになるというハチ目と同様の性質を持ちます。
アザミウマと人間のかかわり
アザミウマは植物を食害する種類が目立ち、農作物を加害する種類は農業害虫とされています。
条件が合うと大発生することも多く、特に近年は温室の重要な害虫になっています。
しかし一方で他の昆虫やダニを捕食する種もあり、農業害虫となるダニ捕食者は益虫とされて天敵としての研究が進められています。
アザミウマの被害
アザミウマの被害は野菜だけでなく、草花、果樹、花木等多岐にわたります。
花の被害が目立ち、葉や果物にも被害を及ぼし、植物に針を突き刺して内部の汁を吸い取り、被害を受けた部分は葉緑素や色素が抜けてシミのように変色し、その後絣上に広がっていいます。
放っておくと新芽が変形したり、実が大きくなりすぎたり、花が咲かなくなったりといった症状が現れます。
また、ウイルス病の媒介になることもあり、黄化えそ病などを引き起こします。
トマトやオクラなどに見られる白ぶくれ症はアザミウマが花の中の子房に産卵することで発生します。
アザミウマが発生しやすいのは4~10月で、雨が少なく、高温で乾燥している時期に繁殖しやすくなり、は8月頃から被害が目立つようになります。
アザミウマの発生原因と予防
アザミウマは周辺に雑草が多いようなところに発生します。天敵となる虫の少ない窒素過多の所や、咲き終わった花なども発生減になります。
アザミウマの発生を防ぐためには、これらの要因をなくすことが大事で、雑草を綺麗に駆除し、落ちた花がらは摘み取るようにします。
また、反射藻苦手ですので、植物などを植える時にはシルバーマットなどを歯っておくと効果があるでしょう。
外からの侵入を防ぐには防虫ネットが有効です。アザミウマは小さいので網目が0.4~1㎜位のものを選ぶようにします。
また、黄色や青色に引き寄せられる習性があるので、株の周りに黄色や青の粘着トラップを設置すると薬剤だけに頼らない害虫対策ができます。
天敵を使った駆除方法もあり、ハナカメムシ類やカブリダニはアザミウマの幼虫を食べます。中には生物農薬として実用化されているものもあるのでそちらの利用もおすすめです。
農薬を使った駆除
アザミウマの対策として市販の農薬を使って駆除したい場合はオルトラン粒剤やオルトラン水和剤なども効き目が期待できますが、新しい品種のミナミキイロアザミウマの場合はこれらの薬剤は効きません。その場合はベストガード粒剤やモスピラン粒剤なども有効です。
(ライター ナオ)