みなさん、ユスリカってご存知ですか?
川や池の近くを自転車で走っていると、小さな虫の大群に突っ込んでしまうことがありますよね。
私も学生時代、何度も目や口に入って嫌な思いをしたことがあります。
それこそが、ユスリカの正体なのです。
本当にうっとうしくてイライラしてしまいますよね。
そんなユスリカですが、実は益虫でもあるんです。
詳しく生態を知ることで、ちょっとはそのイライラが抑えられるかもしれませんよ。
ユスリカの一生
ユスリカは川や池などの淡水の中で生まれ、成虫になると陸へ上がり、水辺の近くで「蚊柱」と呼ばれる大群を作ります。
かなりの数がいますが、実はその中でメスはたった一匹だけなんです。
あとは全部オス。
とんでもない逆ハーレムですね。
しかしそんなに浮かれた話しではありません。
実はユスリカは、交尾して産卵を終えるとすぐに死んでしまうのです。
成虫は口がなく消化器官も退化しており、餌を食べることなく、数日から長くても一週間のうちには死ぬのです。
そのために、蚊柱を形成して効率よくオスとメスが出会えるようにしているのですね。
そう考えると、なんだか蚊柱を見ると少し悲しい気持ちになりませんか?
あの中にいるすべてのユスリカが、もう何も口にすることすらなく、例外なくあと少しで死んでしまうんです。
ユスリカが与える悪影響
そんな少し可哀相なユスリカですが、やはり人間の暮らしに悪影響を及ぼす面があります。
まずよく勘違いされるのですが、「蚊」に似ていても刺して血を吸うことはありません。
しかし、川の富栄養化により大量発生が起きると、洗濯物に張り付いたり網戸にびっしり張り付いたりして、洗濯物を干せない、窓も開けられないなんてことになりとても迷惑です。
払い落とすつもりで軽く触ったら、潰れてしまって体液がついてしまったりなんてこともありますね。
最初に述べたように、水辺の近くを歩いたり自転車で走ったりすると、口や目の中に入って痛い思いをすることもあります。
また、ユスリカが原因となるアレルギーも存在します。
直接目や口に入ることで炎症を起こしたり、ユスリカの死骸が風化した粒子が人間の呼吸器などに影響を及ぼしたりするのです。
蚊柱に突っ込んでしまった時には、目や口に入らないように気を付けてください。
入ってしまった場合は、できるだけ速やかに洗い流しましょう。
ユスリカは水辺の清掃係
普段の生活では鬱陶しいばかりのユスリカですが、実は人間の暮らしに良い影響も与えているのです。
それは水質や土質の改善。
ユスリカの幼虫であるアカムシは、水底に沈んでいる動物の死骸や腐敗物、泥などの有機物を食べながら成長します。
これらを糞=「バクテリアが分解しやすい形」として排出することで、水質浄化の役割に一役買っているのです。
また、富栄養化による大量のリンや窒素を取り込んで成長し、成虫として地上へ飛び立っていくことで、水質の改善が行われるのです。
スリカの発生は水質を判断する上での一つの指標となっています。
大量発生が起きる場合は富栄養化など水質の汚染が進んでいる可能性が高いですし、逆に一匹もユスリカが発生しないのはきれいすぎる以外に「汚すぎる」場合もあります。
このように、一概に鬱陶しい害虫だと切り捨ててはしまえない一面を持っているのです。
良い面も悪い面もひっくるめて「ユスリカ」
どうでしたか?
ユスリカの切ない一生、そして水質改善という益虫としての役割。
もう蚊柱に突っ込んでしまっても、前ほどはイライラしないのではないでしょうか。
ユスリカだって一生懸命生きているのですから、悪い面だけを見て忌み嫌うのではなく、なるべく良い面を見て共生していけたらと思いませんか。
(ライター もんぷち)