海にはほんとうにたくさんの生物が生息していますね。
そのなかには特徴的な外見を持っているものもたくさんいます。
そのなかのひとつが「オオサルパ」です。
このオオサルパは、ガラス細工のようにとっ~てもクリアな体を持っているのが最大の特徴である生物なんです。このオオサルパとはいったいどんな生き物なんでしょうか?
オオサルバは生殖方法がとってもユニーク
オオサルパは尾索動物(びさくどうぶつ)のタリア網・サルパ目・サルパ科に属している、ホヤの仲間の浮遊生物です。
無性世代は単独個体で、有性世代は連鎖個体で世代交代をしています。
これはかなり変わっていますよね。
なんと、生殖の方法が一世代ごとに交互に変わるというからおどろきです。
鎖を構成している個体は芽生個虫と呼ばれ、浮いているときや食事のときも繋がったままで
す。それぞれの芽生個虫は有性生殖をします。
芽生個虫は隣接的な雌雄同体となり、最初に雌に成熟し、鎖の中で古い個体から生み出された雄性配偶子によって受精します。
胚が親の体壁に付着して、成長した卵生個虫は芽生個虫から放出されて、単体の無性生殖段階に戻るといった形式になっているんです。
これはめずらしいですね。
このような世代交代によって、世代毎の時間が短くなるので、単独段階の個体と集合の段階の個体が海中に存在します。
食べ物となる植物プランクトンが多い場所では、、速い生殖によって短期間で繁栄して、ほとんどの植物プランクトンを食べるんだそうです。
サルパは、海洋学の上でも重要な生物とされています。
サルパの糞や死骸が炭素となって海底に沈むことで、海の生物ポンプ(生物海洋学で海洋表層~海洋内部へと生物学的に炭素を送る経路のこと)の効果となり、海中の炭素サイクル・気候変動に影響を与えているんだそうです。
透明でぷるぷるという、最高に独特な形状
体長は12センチ~30センチで、特徴的なのがやはりこのボディの色です。
すんごくクリアーですね!
見た目そのままに手にもつとぷろぷるとした寒天のようだというからそのまんまですね。
透明のゼラチン質の中に本体があり、前端に入水の孔,後端・後背面に出水の孔が開いています。
どこに住んでいるのかというと、南極海の深海に大きな群れを作っていたり、赤道下・温帯・冷帯の海面近くなどにも見られています。
つい最近、アメリカ東海岸で謎のゼリー玉が大量に漂着されているのが発見されました。
そうです、これがサルパです。
これは、風向きとか海流が変化したために起こるという、定期的に起こる現象なんだそうです。
温暖化する地球環境の救世主かも!?
ところでこのサルパ、温暖化対策の救世主かもしれないという話があります。
最近は植物プランクトンが海中に大発生して問題となっています。
そう、サルパはこの植物プランクトンが大好物なんですね。
サルパが気候変動対策の切り札になります。
サルパという生物は、「炭素を容器に詰めて海底に沈めている」ということで、大気中の二酸化炭素量を
調節する方法のひとつとも言われているのです。
繁殖力が旺盛なサルパも、大気中に増加している二酸化炭素をすべてを消化してくれることはないでしょうが、今後はこのサルパが重要になるともされています。
サルパが食べているプランクトンは、甲殻類・カイアシ類が食べているプランクトンよりも小さいからです。
地球の温暖化によって、植物プランクトンはケイソウのような大きいものからピコプランクトンという小型のものへと変わっていくとされていて、海も温暖化するにつれて、小型植物プランクトンが主食なサルパが重要な存在になると考えられています 。
オオサルバは地球に優しくてキレイな生き物
透明で見た目がきれいなオオサルパは、生殖方法がとっても奇妙で温暖化対策の切り札にもなると
言われていてとても興味深い生物ですね!
今後は、浜辺に打ち上げられたこの透明なぷにぷにを目にする機会が増えるかもしれませんね。
(ライター:nabex)
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