沖縄の海を彩るサンゴ礁。
色鮮やかなサンゴ礁は、エメラルドに輝く海と抜けるような青い空と相まって、私たちを開放的な気分にさせてくれます。
ところが!!そんなサンゴ礁が今、危機的状況にあるって知っていましたか?
オニヒトデの生態
オニヒトデはサンゴ礁に生息している体長15~30㎝ほどの大型のヒトデです。
日本では沖縄近海や徳島県付近の海などで確認されています。
腕と全身が棘で覆われていて、棘には毒性があります。
人が触ると激痛に襲われ、アナフィラキシーショックを起こし、死に至ることもあります。
オニヒトデは、ピピンナリア幼生の頃は植物性プランクトンを食べ、成長するとサンゴ礁に定着し、石灰藻や死体分解後の有機物、デトリタスを食べるようになります。
そして、更に成長すると石灰藻とデトリタスに加えてサンゴ礁を食べるようになります。
サンゴ礁を食べる時は口から胃を裏返しで押し付け、消化吸収します。
オニヒトデに食べられたサンゴは白くなり、ボロボロになります。
オニヒトデの寿命は6~8年ほどです。
オニヒトデとサンゴの関係
オニヒトデはサンゴにとって天敵ですが、通常は成長の早いサンゴから食べていくので、生態系保持には役立っていると考えられています。
つまり、通常の状態ではオニヒトデも沖縄のサンゴ礁の生態系の一部としての役割をちゃんと担っているということ。
しかし、最近問題になっているのはオニヒトデが大量発生するという事実。
この原因は自然の長期サイクルによるものという考え方と、人間の環境破壊という考え方がありますが、最近の有力な説は富栄養化によるプランクトンの増殖です。
エサとなるプランクトンが増殖することによって、オニヒトデは大量に発生し、サンゴ礁を荒す結果になってしまうのではないか、ということ。
オニヒトデの対策
サンゴ礁があってこその沖縄の海!?
サンゴ礁が壊滅してしまっては、生態系はもとより、経済的な面で言っても打撃が大きくなります。
オニヒトデの駆除に関しては過去に何度も実施されているようです。沖縄では現在まで1300万匹のオニヒトデの駆除が行われたのだとか。
しかし、オニヒトデを沖縄の海から完全に絶滅させるのは到底無理な話。
現在では状態の良いサンゴを保全するという方向で対策が進められています。
健全なサンゴを守ることで幼生を供給し、オニヒトデの勢いに負けないくらい、サンゴを増やしていこうとい計画。
もちろん、同時にオニヒトデの駆除も行われているようで、沖縄本土や宮古島、石垣島などでは駆除後のオニヒトデを有機肥料として農作物の栽培に役立ているようです。
オーストラリアには世界的にも有名なグリートバリアリーフと呼ばれるサンゴ礁の海が広がります。
この海のサンゴ礁も同じような状況にあるようで、オーストラリアの研究チームは無人でオニヒトデを駆除するCOTSBotを開発しています。
GPS機能を搭載したCOTSBotは、広大なサンゴ礁の中からオニヒトデを見つけ出し、毒針を持つアームで一刺しします。
これによってオニヒトデが死ぬという仕組み。
このロボットの実用が上手くいけば、今まで地道なダイバーたちの仕事だったオニヒトデ駆除の仕事を大幅に軽減できる、ということのようです。
オニヒトデのまとめ
オニヒトデは大型のヒトデで、全身に有毒の棘を持つ。
オニヒトデは成体になるとサンゴを捕食する。
オニヒトデの大量発生により、沖縄のサンゴ礁が壊滅的な状況にある。
サンゴ礁を守るために、オニヒトデの駆除が行われているが、同時にサンゴの保全も進められている。
オーストラリアでは無人のオニヒトデ駆除ロボットも開発されている。
ちなみに、万が一オニヒトデに素手で触ってしまった場合にはすぐに血液を吸引して、温めたり、温湿布をしたりすると良いですよ。
(ライター ナオ)