ゴンズイという魚を知っているだろうか?
実はこの魚、小さいながら、毒を持っていることでも有名なんです。
ゴンズイの生態
ゴンズイはナマズ目の海水魚。本州から沖縄にかけての浅場の岩礁や防波堤にいることが多く、特に稚魚は集団で団子状になり行動し、ゴンズイ玉とも言われています。
このゴンズイ玉と言われる集団は、ゴンズイが体から集合を合図したり、制御するフェロモンを発することで成り立っているのだそうです。
似ている種類に九州から沖縄にかけて生息しているミナミゴンズイと言われる魚もいます。
体長は10~20㎝、茶褐色の体に頭から尾にかけて2本の黄色い線が入っているのが特徴で、この模様は稚魚であるほど鮮やかです。
背ビレと胸ビレには毒があり、刺されると激痛が走ります。
捕食の際には優れた臭覚や聴覚、振動感知能力を生かしていてらしく、最近では好物のゴカイを捕食するのに、PHの変化を感じ取る能力を使っているという研究結果も報告されました。
これはゴンズイの新たな能力の発見で、触髭が、PHが0.1性下がったことに反応するということからわかりました。
潜んでいる生物の呼吸を敏感に感知する能力は市販のPHメーターにも引けを取らないのだとか。
もともと、ナマズの種類は体表に鱗がなく、体表全体に味蕾と言われる食べ物の味を感じるが器官が多数存在していることから、敏感な生物で、とても敏感な生物と言われていました。
まさに、体全体が味蕾と言っても過言ではない現象が、ゴンズイにも起こっているということのようです。
一方で気候が大きく変動する中、海水温の上昇により海水中の酸素濃度の変化が危惧されている近年、このようなゴンズイの優れた能力も妨げられる心配もあるようです。
夜行性で、しかも集団でいるため、夜に釣りに出かけると大量のゴンズイが釣れる場合もあるそう。
ゴンズイは釣り上げられた時に「ググッ」と鳴いたり、「ギギッ」と鳴いたりすることから、地方によってはギギやハゲギギやググという呼ばれ方もしています。
ゴンズイの毒性
ゴンズイは背びれと胸ビレに毒を持っています。
これに触ると激痛が走り、腫れることもありますが、大抵大事には至らないようです。
毒の成分はたんぱく質なので60℃以上の高温で変化し、毒性はなくなってしまいますが、死んだゴンズイにも毒は残っているので、調理などの時には注意が必要です。
毒針を抜いてしまえば、白身魚として美味しく食べることが出来ますが、一般的に流通することはなく、一部の地域で好んで食べられている程度のようです。
みそ汁やてんぷらなどはもちろん、生姜をたっぷりと入れた煮物なども美味しいのだとか。
兵庫県では煮つけ料理として一般的に食べられています。
ゴンズイの毒に触ってしまったら
ゴンズイの毒に触ってしまったら、まずは口などで毒成分を吸い出してしまうという方法が一般的と言われてきました。
また、火傷しない程度の温水(45~50℃)に患部を浸すと自然に毒が溶け出すという治療法も推奨されています。
最近では、入浴剤で痛みがとれるという報告もあり、科学的な解明はされていないものの、試してみる価値はあるようです。
ゴンズイのまとめ
ゴンズイはナマズ目に分類される海水魚で、体長は10~20㎝。
2本の黄色いラインが入った綺麗な魚で、稚魚程その模様は顕著に表れる。
背びれと胸びれに毒を持っていて、人間が触ると激痛がはしるが、その毒の程度はそれほど強くない。
毒の成分はたんぱく質なので、調理することによってその毒性は失われる。
餌になる生物のわずかな呼吸を感じ取り摂餌する能力を持っている。
ゴンズイの毒は患部を入浴剤につけることで痛みが和らぐ。
(ライター ナオ)