ヒョウモンダコという名前のタコをご存じだろうか。
実はこのタコ、猛毒を持っているので注意が必要なんです!
ヒョウモンダコの生態
ヒョウモンダコはマダコ亜目、マダコ科、ヒョウモンダコ属に属する4種類のタコの総称。
日本ではそのうちの1種類をさしていいます。
小笠原諸島や南西諸島以南の太平洋からオーストラリアにかけての西太平洋の熱帯地域に生息していて、体長は10㎝程度の小型のタコです。
近年、温暖化の影響もあり、もともとの生息域が北上してきているようで、1999年には大阪湾での目撃があり、2009年には九州北部でも確認されています。
その他日本海側、浜名湖などでも目撃例があるようで、注意が必要です。
ヒョウモンダコは他のタコ類と同じく、体色を変化させ、周囲の岩や海藻にカモフラージュします。
刺激を受けると青い輪や線の模様のある明るい黄色に変化し、その模様がまるでヒョウ柄のようなことにから名前が付けられたそうです。
肉食性でカニやエビなどの甲殻類を捕食、捕まえられれば魚類なども捕食します。
自然下ではないようですが、飼育下では共食いも確認されています。
繁殖はメスが積極的で、オスの精子を体内に蓄えると一生に一度だけ、50個ほどの卵を産みます。
メスはその後飲まず食わずで6か月間、触手で卵を抱え、卵が孵化すると死んでいきます。
孵化した幼生は翌年には性成熟し、交尾ができるようになります。
唾液に毒が含まれ、そのためか吸盤の力は弱く、墨汁嚢は退化してしまっています。
泳ぎも不得意で海底をゆっくりと這う程度。
捕食するのに、他のタコたちにある様々な能力を捨て、毒を蓄えることを選んだ__ということのよう。
強い刺激を与えられると鮮やかな色に変化するのは有害を相手に知らせる警告色の役割をしていると言えます。
ヒョウモンダコの毒
ちっちゃいながら、ヒョウモンダコの毒性はかなりの強さだと言われています。
唾液に含まれるテトロドトキシンは猛毒として知られ、フグなどの毒と一緒。
猛毒と言われる青酸カリの850~1000倍の毒性と言われています。
人間が噛まれたりすると、呼吸困難や神経麻痺、死亡する可能性だってあります。
実際、オーストラリアではヒョウモンダコに噛まれて死亡した例があるそうです。
小さい子供たちは毒の周りも速いですので、十分に注意が必要です。
ヒョウモンダコの毒は敵から身を守るためというのはもちろんですが、捕食の時に使われます。
相手に向かって唾液を吐いたり、噛みついたりして麻痺させてから捕食するのですが、テトロドキシンは甲殻類とコウイカには効きません。
そのため、ヒョウモンダコはコウイカに簡単に捕食されてしまいます。
甲殻類の捕食にはハパロトキシンという違う種類の毒が作用していると考えられています。
唾液をあらかじめ海水中吐くことで、周囲にハパロトキシン成分を漂わせ、周辺に来た者の動きを鈍くして捕食するという作戦です。
ヒョウモンダコは食用になる?
ヒョウモンダコはフグと同じように、毒性を取り除けば普通に食べることが出来ます。
味は一般的なタコと同じだそうで、とりわけ美味しいということではないようです。
10㎝という大きさや毒性のことを考えると、危険のリスクを背負ってまで食べる価値のあるタコではないようです。
ヒョウモンダコのまとめ
ヒョウモンダコは南西諸島以南に生息しているが、温暖化など海水温の上昇で、北限は上がっていて、九州北部、大阪、浜名湖などでも確認されている。
小さいが、猛毒を持っていて、海水浴時には注意が必要。
特に小さい子供たちが噛まれないようにしなければならない。
ヒョウモンダコに噛まれたら、すぐに病院へ。
ヒョウモンダコのメスは一生に一度出産し、命を懸けて子供たちを孵化させる。
(ライター ナオ)