ハリセンボンとフグ、確かに似ているような気がしますが、その違いは一体どこにあるのでしょう?
ハリセンボンの生態
ハリセンボンはフグ目ハリセンボン科に分類され、体長は40㎝ほど。
他にハリセンボン科に分類される魚として、日本に生息するのはハリセンボン、ネズミフグ、ヒトヅラハリセンボン、イシガキフグなどが挙げられます
日本では津軽海峡以南の日本海、相模湾以南の太平洋岸、琉球列島に生息しています。
世界では熱帯から温帯の海域に幅広く分布していて、6属20種が存在しています。
体表にはウロコが変化したと言われる無数の棘があり、これが名前のハリセンボンの由来にもなっているのですが、実際の棘は千本もなく、300~400本程度だそう。
腹ビレがなく、皮膚が厚く、敵に襲われると水や空気を吸い込んで体を大きく膨らませ、威嚇します。
1秒間で2倍ほどの大きさに膨らむことができるのだとか。ちなみに戻るときには2~3秒ほどかかります。
肉食性で貝や甲殻類、ウニなのでの底性生物を捕食。上下にある1対の歯でバリバリと噛み砕きます。
自然界において、ハリセンボンには天敵がいないのだそう。
もちろん、それは棘のお陰のようで、間違ってハリセンボンを食べたサメが、棘によって死んでしまった例もあるのだとか。
フグと違い毒はありまんが卵巣には毒がふくまれているようなので、この部分は食用にしない方がよいでしょう。
毒がないので、調理師免許を持っていなくても調理することが可能です。
沖縄では食用として一般的に食べられており、皮を剥ぎ、ぶつ切りにして水から煮だしてきもを入れアバサー汁として親しまれているよう。
筋肉が少なく、美味しいのだとか。
フグの生態
フグ目フグ科に分類される魚で、全世界の熱帯から温帯地域に生息しています。
沿岸性の魚ですが、中国のメフグという種類は淡水域に生息しています。
体は丸みを帯びていて、肉食性です。
上下に2本ずつの歯があります。
群れをつくる種類は少なく、単独で泳いでいます。
フグは多くの種類で内臓、皮膚、血液や筋肉にテトロドトキシンという毒性の物質が含まれています。
この毒はもともとフグが持っているのではなく、エサを摂取する際に取り込まれると考えられています。
一般的に毒のある生物は飼育するとエサなどの違いから毒性が失われるものも多いのですが、フグの場合は養殖場のフグも毒性を持つものがいるようです。
天然のフグは種類によって毒化する部位が異なったり、季節によって毒の量が変わったりするので、
時に雑種などが存在すると、プロの猟師でもその毒の見極めに苦労するようです。
東北から茨城の海岸ではショウサイフグが、日本海ではゴマフグが一般的です。
フグの場合も敵の攻撃をうけると水や空気を体いっぱいに含んで、体を膨らませ、相手を威嚇する行為をします。
高級食材として養殖も盛んなフグ。フグ刺しや鍋としてしむことが一般的です。
天然ものの漁獲量が最も多いのが福岡県。山口県が次に続きます。
養殖では長崎、熊本、香川と続きます。
2002年には初めて中国から輸入されまたが、毒が処理しきれてなかったり、粗雑な扱いで問題視されているようです。
フグとハリセンボンの違いについてのまとめ
フグには毒があるが、ハリセンボンには毒がない(卵巣には毒があると言われている)
ハリセンボンもフグも敵から襲われそうになると体に水や空気を含んで2倍に膨らむ。
フグは上下に2本ずつの歯があり、ハリセンボンには1本ずつ歯がある。
フグもハリセンボンも食用として食べられるが、フグの方が高級食材として扱われる。
フグは種類によって毒化する場所が違ったり、季節によって毒量もかわる。
(ライター ナオ)