恒例となったまぎらわしい動物シリーズですが、呼び方でもおなじ生き物で違うというものがあります。

お寿司のネタとしておなじみの「エビ」には、「海老」「蝦」という呼び方があります。この違いってなんなのでしょうか?

エビの特徴は?

エビは、節足動物門/甲殻亜門/軟甲綱/十脚目のうちで、カニ下目とヤドカリ下目以外の種の総称です。

エビの体表は「キチン質」という殻で覆われており、頭胸部・腹部に分けられます。

頭部・胸部は頭胸甲で繋がっています。複眼の間には「額角(がっかく)」という尖っている角があって、これが種類を区別する特徴になっています。頭胸甲内にある歩脚付近に鰓があり、これで呼吸をしています。

 

ヤドカリ・カニは陸上で生活できるタイプもありますが、エビは乾燥している陸上で生きられる種類はいません。

たしかに、陸で生きているエビって想像できないですよねえ。

しかし、モエビ科の「キノボリエビ」は湿った陸で活動しています。これはレアですね。

 

頭胸部に13対から26本もの肢があって、前から2組の触角・大あご・2組の小あご・3組の顎脚・5組の歩脚となっています。

触角は辺りの様子を調べる器官で、大あご〜小あごは餌を食べる器官、顎脚はその餌を掴む器官、歩脚はもちろん歩くためにある器官です。

 

分類によって顎脚・歩脚の先が「鋏」になっていて、これを鋏脚(きょうきゃく)、鉗脚(かんきゃく)と呼んだりします。

有名なザリガニ・ロブスター等はこの鋏脚が特に発達していて、これによって敵に振りかざすことで威嚇したり、撃退することもあります。

 

お腹は6節で、それぞれが腹甲におおわれており、消化管を囲んでいる筋肉あります。

エビと言えばしっぽも特徴がありますね。エビのしっぽは「尾扇」という扇子に近い構造となっています。

敵に出くわしたときは腹部をグッと下に曲げて、後ろへ大きく飛び退くといった動作をしています。

卵から生まれるエビの子どもは、親とは違う体型で、「幼生」と呼ばれています。

この幼生はプランクトンのような感じで、脱皮をしながら変態して、小さいエビとなります。

ザリガニやミナミヌマエビ等、卵の中で変態して親と同じような体で生まれてくるタイプもあります。

歩行タイプか泳ぎタイプかで決まる

さて、問題の海老と蝦の違いについてです。まず、和語の「えび」というのは、実は「葡萄」やその色という意味がありました。

エビは葡萄の色と似ているので「えび」と呼ばれるようになりました。

 

現在でも、「葡萄色」は「えびいろ」とも読まれます。エビの漢字表記である「海老」「蛯」の字は、なんと曲がった腰・長い髭が老人をイメージしているものなんだそうです。また、漢字表記「鰕」「蝦」の字は、中国においてもエビに該当する漢字です。

 

イセエビ等の海の底を歩く大きいエビ類のことを「海老」か「蛯」等、サクラエビ等の海中を泳いでいる小さいエビを「蝦」か、「」あるいは「鰕」と漢字において表記するとされています。

つまり日本においては、曖昧なようですが正しくは歩行タイプのイセエビが「海老」、泳ぎタイプのクルマエビなど種類を「蝦」と書くということです。つまり、「伊勢海老」や「車蝦」とするべきなのです。

 

英語での呼び名は、大きさによって分けられていて、イセエビくらいのサイズは「lobster(ロブスター)」、クルマエビくらいの大きさでは「prawn(プローン)」、小さいエビでは「 shrimp(シュリンプ)」と呼んでいます。

エビの漢字表記は特に厳密さはないようです

「海老」と「蝦」の違いについてでした。
まあ、ややっこしいですねー。

 

パソコンのキーボードのタイピングでも、エビの選択肢には海老と蝦がでてきますね。

伊勢海老は歩行タイプだったんですね。画像を見ると、これはいかにも美味しそう。
高級料理って感じですね。

ライター名:nabex
任意ライター名:nabex