田んぼや川などでよく見かけるタニシ。
小さい頃捕まえて遊んだことがあるという人も多いのではないでしょうか。
今回はそんなタニシの生態や寿命、食べられるのかどうかなど、様々な雑学についてまとめていきたいと思います。
タニシの生態
タニシは南極圏・北極圏以外の各大陸とその周辺地域の淡水域に広く生息している巻貝です。
大きさは1㎝~8㎝、大抵の種は5㎝以下ですが、淡水性の巻貝の中では大型な部類に入る種も含まれています。
8㎝という数字だけ聞くとそんなに大きくないな、と思ってしまうかもしれませんが、実際に8㎝もあるタニシを見たらその大きさにびっくりしますよ。
非常に生命力が強いのに加えて、その食性から極端に環境が変わる場所や汚染された場所でも生きていくことができます。
餌は物の表面に発生したコケや藻を削って食べたり、水底に沈んでいる沈殿物を食べたり、巣中に漂う懸濁物を鰓で集めて食べたり…。
どんな環境でも何かしらの方法で餌を得ることができるので、水田のような環境変化の激しい場所でも生息できるのです。
藻や沈殿物を食べて水を綺麗にしてくれることから、アクアリウムを美しく保つために重宝されることも。
水草などにくっついていた卵が孵化して、意図せず水槽の中にタニシが繁殖してしまった…ということもあるようですが。
寒い冬の間は泥の中で越冬し、暖かい春になると泥の上へと出てきます。
繁殖は「卵胎生」で、卵を直接産み落とすのではなく、お腹の中で孵化させてから小さな稚貝を産むのです。
よく田んぼ脇の側溝などにピンクの卵がくっついていることがありますが、あれが「タニシの卵だ」と思っている人も多いのではないでしょうか。
じつはあのピンクの卵、「スクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)」と呼ばれるものの卵なんです。
こんな名前ですが、じつはタニシの仲間ではなく全く別の巻貝です。
タニシの寿命は約5年ほど。
生命力の強い貝なので、丁寧な飼育をすればもっと長生きするかもしれません。
タニシは食べられる?
タニシは巻貝の仲間ですから、サザエなどのように食べることができても不思議ではありませんね。
実際のところ、食べることはできるのでしょうか?
その答えは「YES」。
日本のみならず、世界各地で食用として食べられているのです。
現在の国内ではあまり一般的な食材とは言えませんが、昔は庶民の食卓では定番の食材だったようです。
現在でも郷土料理として欠かせない食材となっている地域もあるんだとか。
調理法はまず泥をしっかりと吐かせてから、煮物や味噌汁、串焼きや和え物にして食します。
巻貝なだけあって味は美味しく、「北大路魯山人」の好物だったことでも有名。
ただし、一つ必ず気を付けなければならないのが、「しっかりと十分に火を通すこと」です。
タニシには寄生虫が潜んでいることがあり、十分に火が通っていないものを食すと、最悪の場合死に至ることもあります。
北大路魯山人も、タニシの寄生虫が原因で死んだとも言われているんですよ…。
飼育できるの?
食用としてはもちろん、飼育するのもタニシの楽しみ方の一つ。
前述したように水槽を綺麗に保つ働きをしてくれるので、メダカや金魚などの淡水魚と一緒に飼うのもおすすめです。
「メダカなどの小魚を食べてしまわないか?」という質問をよく見かけますが、タニシが小魚を食べることは基本的にありません。
かなり衰弱していて底に沈んでしまったものや、既に死んでしまったものを食べることはありますが、生きているものを積極的に捕まえて食べる、ということはないので安心してください。
しかし、もしも自分で採集してきて飼育する場合には気を付けてください。
間違えてタニシではない他の貝を採ってきてしまったら、爆発的に増えたり、水槽の中や側面に卵を産み付けられてしまう場合もあります。
「タニシは全て貝殻が右巻き」など、他の貝と見分けるポイントはいくつかあるので、しっかりと確認してから捕まえましょう。
タニシについてのまとめ
とても身近な生き物だと思っていたタニシですが、知らないこともたくさんあったのではないでしょうか。
飼育してみるも良し、食べてみるも良し。(ただし加熱だけはしっかりと!)
童心に帰ってタニシを捕まえてみてはいかがでしょう。
(ライター もんぷち)