アザラシは水陸両生の水中哺乳類です。

氷の上を歩くより水中を泳ぐ方が得意であり、水中にいる時の生態は実ははっきりしていません。

水族館ではよく飼育されていますが、寿命はどれくらいなのでしょうか?

アザラシの種類

アザラシは食肉目鰭脚類(ききゃくるい)アザラシ科の生物です。

アザラシの種類を大きく分けると、北半球の冷たい海に生息するゼニガタアザラシたちと、南方の海にも生息するモンクアザラシの仲間に分かれています。更に、ゼニガタアザラシにはゼニガタアザラシ、ズキンアザラシ、アゴヒゲアザラシというアザラシがおり、ゼニガタアザラシにはワモンアザラシ、バイカルアザラシ、ハイイロアザラシがいます。

これらのワモンアザラシたちは他のアザラシたちより体が小さいのが特徴です。

バイカルアザラシは、アザラシの仲間で唯一淡水であるバイカル湖に生息しています。

 

モンクアザラシにはモンクアザラシ、ゾウアザラシ、カニクイアザラシがいます。

他、ヒョウアザラシ、ウェッデルアザラシなどがいます。

 

鰭脚類にはアザラシの他、アシカ科やセイウチ科などがいます。

もともと陸上の哺乳類が海に戻ったタイプの生物とされ、その祖先は2種に分かれるという考えが主流のようでしたが、最近になって鰭脚類たちはひとつの祖先をもつのではないか、という考えも出てきています。

アザラシの生態

呼吸は時折海から顔をあげて、鼻の孔から酸素を取り入れています。

食性はおおむね肉食とみられ、魚などをたべているようです。

 

嗅覚も発達しており、匂いには敏感なようです。

耳としては穴だけがあり、外耳はありません。

 

アザラシは後ろ脚をくねらせて泳ぎます。

アザラシは基本的に単独で行動する生物のようですが、繁殖期と休息時は違うようです。

 

休息時には陸にあがったり、氷の上で群れのように固まっています。

天敵が来た場合、すぐに逃げられるように、氷の割れ目などの近くに固まっています。

 

最近になってバイカルアザラシの研究が進み、アザラシたちは水中でも休息を取っているらしい事が分かったそうです。

アザラシの体の大きさは種類によって幅があります。

 

体長はオスの方が大きく、2mほど、体重は1,5kgほどです。

一番体の小さなワモンアザラシは70kgほどですが、大型で南極に棲むミナミゾウアザラシは3500kgを超える事もあります。

 

ミナミゾウアザラシは一夫多妻制を取り入れておりハーレムを作りますが、大型種であることもあってその様子はグロテスクにも見えてしまいますね。

繁殖は主に陸地で行い、一生に25頭ほど出産するようです。

日本近海のアザラシ

基本的に冷たい海に生息するアザラシたちですが、日本近海では北海道が南限のようです。

特にゼニガタアザラシは、道東から千島列島付近に定住しているとみられています。

天敵のような生物がいないからでしょうか。

 

ゼニガタアザラシという名前は、古銭のかたちの模様のように見えることからつけられたようですが、アニメ「ルパン三世」の登場人物である、銭形警部の苗字はゼニガタアザラシからつけらました。

作者のモンキー・パンチ氏は北海道出身ですが、故郷である霧多布岬にゼニガタアザラシが生息していたため、そこからつけたそうです。

 

設定としては銭形平次の子孫という事ですが、追っているはずのルパンと妙に親しげであり、とっつぁんなどと気安く呼ばれています。

アニメのルパン三世に使われている楽曲は、歌謡曲っぽさもありつつおしゃれです。

 

他に、日本近海で見られるのはゴマフアザラシなどです。

繁殖期である3月から5月にはオホーツクの海でできた流氷に乗っています。

 

ゴマフアザラシの赤ちゃんは真っ白でふわふわしています。

氷の上で見つからないようにする為の保護色だそうです。

アザラシの寿命など

種類によりばらつきがありますが、アザラシの寿命はだいたい30年前後だそうです。

ワモンアザラシは40年生きる事もあるようですね。

 

ワモンアザラシは海に棲む哺乳類の中で唯一、氷の裂け目などに育児室のようなものをつくることで知られています。

育児はおおよそ2か月程で、北極圏に生息しています。

 

稀に南下し、紋別でみられる事もあるそうです。

最高齢として、ゴマフアザラシが34年生きたという記録もあるようです。

アザラシについて

アザラシは厚い皮下脂肪を持つ事で知られています。

低温の海を長距離遊泳していると考えられる事から、スタミナも必要でしょう。

 

また、漁の網を破ったり魚を食べたりする事から、漁業への被害も深刻です。

その為、生態の詳しい研究が必要なようです。

 

アザラシたちは用心深い性格のようであり、同じ鰭脚科のアシカたちとはだいぶ違い、なかなか生態が明らかにならない部分が多くあります。

箱根園水族館では、淡水に棲むバイカルアザラシの飼育が始まっています。

立地も芦ノ湖近くで駒ケ岳のロープウェーもありますし、紅葉も見られるかも知れません。

観光によさそうですね。

(ライター:おもち)