冷たい海の中を、フワフワと漂う「流氷の天使」、クリオネ。
その小さく可愛らしい姿から、一躍人気者となりました。
しかしそんなクリオネ、一体どんな生き物なのか?寿命はどのくらいなのか?など、知らないことがたくさんあります。
そこで今回は、クリオネについていろいろなことを調べてまとめてみました。
クリオネの生態
半透明の体で、翼のようなパーツをフワフワと動かしながら水中を漂うクリオネですが、一体何の仲間なのかというと…
「巻貝」の仲間。
どう見ても巻貝には見えない!という声が聞こえてきそうですが、和名は「ハダカカメガイ」と言い、れっきとした貝の仲間なのです。
その証拠に、クリオネの幼生はちゃんと貝殻があるんですよ。
成長するに従い、皆さんの良く知る姿へと変化していくのです。
寿命は2~3年ほど。
短いと思われるかもしれませんが、クリオネは繁殖も成長も早いので、本人たちにとってはそう短い寿命というわけではないのです。
生殖の約4時間後には産卵、卵は3~4日ほどで孵化し、約1年後には成熟。
クリオネは雌雄両性で、お互いにお腹をくっつけた時に片方はメス、もう片方はオスとなります。
体長2~3cmという小さなクリオネたちが広い海の中で効率よく繁殖するには、雌雄両性というのはとても便利な仕組みですね。
「天使」や「妖精」の名をほしいままにしているクリオネですが、じつは食性は肉食。
しかも餌を捕食する瞬間は天使とは程遠い悪魔のような姿になるんです。
餌となるのは「ミジンウキマイマイ」という浮遊性の巻貝のみ。
それ以外のものは食べません。
ミジンウキマイマイを見つけると、頭にある角のようなものの間から、「バッカルコーン」と呼ばれる触手を何本も伸ばし、獲物の養分を吸い取っていくのです…。
可愛らしい姿からは想像ができない、恐ろしい姿。
一生に一度しか餌を食べない、という説もありますが、まだまだそのあたりも謎に包まれているようです。
クリオネの飼育について
なんだか水族館などでしか飼育ができない特別な生き物、というイメージの強いクリオネですが、じつは一般家庭でも飼育することは可能です。
入手方法はペットショップなどが一般的かと思いきや、スーパーや鮮魚店、パチンコの景品で手に入ることもあるんだとか…。
ネットショップでも購入できるお店があるようです。
しかも価格は1匹1000円程度と思ったよりも安い。
ただし、クリオネは餌である「ミジンウキマイマイ」を確保することが困難です。
ミジンウキマイマイ自体まだまだ謎に包まれた貝であり、水族館など飼育のプロでも餌を与えることは難しいと言います。
しかし、クリオネは絶食に強い生き物ですので、何も食べない状態でも半年から1年ほど飼育することが可能。
ちょっと可哀そうな気もしますね…。
飼育のポイントは、まず1~2週間に一度は、海水を入れ替えること。
海水を定期的に確保できる環境でないと、飼育は難しいかもしれません。
人工海水という手もありますが、クリオネは海中のプランクトンやバクテリアを餌にしているという説もあるため、それらが多く含まれた天然海水の方が、クリオネが長生きできる確率が高まるそうです。
そしてもう一つ、水温を0~5℃に保つことが大切です。
密閉容器に入れて、冷蔵庫で飼育するのが一番いいでしょう。
温度が上がりすぎると死んでしまうので、鑑賞する際は数分から長くても10分ほどで冷蔵庫の中に戻してあげてください。
クリオネについてのまとめ
まだまだ多くの謎に包まれているクリオネ。
飼育するのも楽しそうですが、餌の確保ができない状態では1年ほどの飼育が限界です。
きちんと2~3年ある寿命を全うさせてあげられるような、飼育方法が見つかればいいのに、と思います。
(ライター もんぷち)