深海とは水深20㎜以上の海域のことを言います。

そこは光合成に必要な太陽光が届かないので高水圧、低水温、暗黒、低酸素状態等、表層とは違う過酷な環境条件です。

そんな条件の中、生息しているエビたちがいます。

深海に生息するエビについてまとめてみました。

サクラエビ

サクラエビは私たちにとっても馴染みの深いエビに一種。

サクラエビ科に分類される小型のエビの一種です。

 

日本では駿河湾および近接の東京湾・相模灘に分布していますが漁獲の対象となっているのは駿河湾のみです。

成体は体長40㎜前後、体は透明ですが甲に赤い色素を多く保持し、成体は透き通ったピンク色をしています。

桜エビの和名はここに由来します。

 

2対の触角のうち、第2触覚は体長以上の長さがありますが、額角は短く、5対の歩脚のうち、第2・3歩脚が鋏脚になっていて、体には160個の発光期間が並んでいます。

産卵期は夏、メスは交尾後に1700~2300個程度の卵を海中に放出し、寿命は15ヵ月ほど。

孵化後1年で成熟し、産卵後2~3か月で死ぬとされています。

シラエビ

シラエビはオキエビ科に属するエビの一種で、サクラエビと同様深海に生息する小型種です。

日本の固有種で、日本海側では富山湾、太平洋側では遠州灘、駿河湾、相模湾に分布していますが食用として商業漁獲されているのは富山湾のみです。

シラエビの他にシロエビやベッコウエビ、ヒラタエビなどの別名もあります。

 

体長は50~80㎜、サクラエビよりも大きく、左右に平たい体型をして、触角はありませんが複眼の後ろには小さな棘があります。

尾の上にも小さな棘があり、体色は無色透明でわずかにピンクがかっています。

 

死ぬと乳白色になり、和名はこの体色に由来しています。

サクラエビと似ていますが、違っているのはメスが卵を腹足に付着させて保護すること。

ホッコクアカエビ

ホッコクアカエビはタラバエビ科に分類されるエビの一種で、北太平洋の深海に生息していて、重要な食用種として漁獲されています。

別名は甘えび、ナンバンエビなどで、体長は12㎝程。和名の通り全身がピンク色~赤橙色をしています。

 

島根県以北の日本海沿岸から宮城県沖以北の太平洋、オホーツク海、ベーリング海、カナダ西岸までの北太平洋に広く分布。日本海は南限に当たります。

日本近海では水深200~600mほどの深海砂泥底に生息し、生息至適水温は0~8℃。下限水温は-1.6℃で、高緯度海域においては100m程度の水深にも分布しています。

食性は肉食、小型の貝類や甲殻類、多毛類などを捕食します。

 

天敵は人間の他にも頭足類、タラ、アコウダイ、サメなどの肉食魚が挙げられます。

7歳ぐらいの時にメスは10ヵ月間抱卵し、その後水深200~300mほどの所まで移動して抱卵します。5~6歳くらいまではオスで、その後メスに性転換するという雄性先熟の性質を持ち、寿命は11年程。

産卵は生涯3回以上と考えられていて、生息海域の水温が高いほど成長は早いと言われています。

アカザエビ

アカザエビはエビ目ザリガニ下目アカザエビ科に分類されるエビの一種で、日本近海の深海に生息しています。

鋏脚が細長いことから料理店などではテナガエビと呼ばれています。

 

全身とても硬い殻に覆われ、複眼は黒い球形。

額角と複眼の横には鋭い棘があります。

麻美肢は長くてガッシリしていますが、歩脚はあまり強靭ではありません。

 

両脇には複雑な彫刻のような模様があり、体色は全身が橙色~ピンク色で、植物のアカザを思わせることからこの和名があります。

繁殖期は秋、交尾後はメスが2~3㎜程の卵を400~1500個ほど産卵し、腹足に抱えて孵化するまで保護します。

カイコウオオソコエビ

現在発見されているエビの中では最も深い水域に生息していると言われるエビ。

その震度は10920mと言われ、深海というより超深海の更に深い水深で生息しているということがわかっています。

そのほかのエビ

小笠原群島周辺の深海域において、これまで全く知られていなかった水産資源として様々な種類のエビが見つかっています。

例えばサガミアカザエビ、マルゴシミノエビ、スズキアカスジエビなど。

(ライター ナオ)