タコは、頭足綱・鞘形亜綱・八腕形上目・タコ目に分類される動物の総称です。

当記事ではタコの心臓に注目してみました。

タコの生態

タコは、海洋棲の軟体動物で、主に岩礁や砂地で活動しています。

淡水に棲息する種は知られていません。

タコは、複数の吸盤がついた8本の触腕を特徴とします。

タコ足、8本足などと言いますが、学術書などでは腕や触腕と表現されます。

ちなみに英語では、腕(arm)です。

 

頭のように見える丸く大きな部位は、実際には胴体です。

タコの本当の頭は、触腕の基部に位置した、眼や口が集まっている部分です。

 

ようするに頭から足(触腕)が生えています。

タコの柔軟な体は、実はほとんどが筋肉です。

 

体のなかで固い部分は、脳を包む軟骨と、クチバシのみ。そのため非常にせまい場所を通り抜けることができたりします。

ペットとして飼育する場合は、気をつけてください。

 

生態ピラミッドでのタコの位置は、おおむね中間位の捕食者です。

タコの天敵としてもっとも有名なのは、おそらくウツボですが、実はサメやタイもタコを好んで食します。

 

しかし、一方的なものではなく、大型のタコが小型のサメを捕食することも稀にあるようです。

一方、タコは甲殻類や二枚貝にとっての天敵です。それらを好んで捕食する傾向があります。

そして、ほぼすべてのタコは毒を持っています。

 

その毒は人間には無害ですが、ただし、ヒョウモンダコだけは例外です。

テトロドトキシンという猛毒を持っていて、人間でも噛まれると命を落とすことがあります。

なお、解毒剤は見つかっていません。

タコの知能

タコは高い知能を持っており、もっとも賢い無脊椎動物だといわれています。

かたちを認識することや、問題を学習し解決することができます。

 

たとえば、ガラスびんに入った餌を視覚で認識し、ビンの蓋をねじってエサを取ることができます。

といっても、本能でそうしているわけではありません。

タコは、ほかのタコの成功例を見て学習するんです。

 

成功例を目撃したときは、いっさい試行錯誤をすることなく、すんなりビンのフタ開けてしまいます。

逆に成功例を見せない場合は、いろいろと試行錯誤をした後に、正解を探りあてます。

 

こうした実験から、タコは思考能力があると推定されています。

また身を守るために保護色に変色し、地形に合わせて体形を変えます。

 

このことだけなら知能の高さとは関係性がないのですが、実はタコは、その色やかたちを2年ほど記憶できるんです。

もしかしたら筆者より記憶力が良いかもしれません。……。

タコの脳は9つ?

タコの動作の多くは、大脳ではなく末梢神経によって導かれています。

すなわち、8本の触腕1つ1つにそれぞれ固有の脊髄がある状態です。

 

つまり、タコの大脳は全体的な指示のみを与えるだけで、細かいことは、それぞれの触腕が計算します。

ようするに、大脳が1つと、触腕に従属的な脳が8つあるのです。

 

非常に効率的で柔軟な命令系統なので、ロボットの設計分野から注目されています。

その仕組みをロボットに取り入れれば複雑な動きもシンプルに処理できるようです。

タコの心臓の特徴について

タコには、心臓が全部で3つあります。

いわゆる普通の心臓(体心臓)が1つとエラ心臓と呼ばれる器官が2つです。

 

左右のエラの根本に、それぞれ1個ずつ補助の心臓を持っています。

1つの体心臓が全身に血液を送り、2つのエラ心臓がエラのなかの血液を循環させます。

 

これはタコの体のほとんどが筋肉でできているため、血液の循環が1つの心臓では追いつかないからだといわれています。

ちなみに、エラ心臓の心拍数は、1分間に30~40回くらいといわれています。

 

さらに脱線すると、タコの血液の色は青色です。

血液が銅(ヘモシアニン)を媒介として、酸素を運んでいるからです。

ついでにいうと、イカの心臓も3つです。

タコのまとめ

以上、タコについていかがでしたか?

タコの心臓は、私たちが持つ心臓とほぼ同じ機能の体心臓と、その補助をするエラ心臓の2種類です。

 

エラ心臓は2つありますから、タコは全部で3つの心臓を持っていることになります。

たこ焼きや刺身、たこワサなど、日本人には馴染みの深いタコですが、しかし、知れば知るほど不気味な生き物ですよね。

(ライター ジュン)