フトツノザメというサメをご存知ですか?
それほど多くの所で見られるサメではありませんが、徐々に明らかになってきている深海のサメ、フトツノザメについて詳しくお話しします。
フトツノザメの特徴
フトツノザメはツノザメ目ツノザメ科フトツノザメ属に分類される深海のサメ。
体長は80~150㎝で生息水深は50~320mと言われています。
日本海域を含む西太平洋、オーストラリア南部、東太平洋、カリブ海北部、アフリカ大陸沿岸、インド洋など分布はまばらに広がっていて、地域ごとに種群として分かれているのではないかと考えられています。
第一背ビレと第二背ビレの前方に鋭利な角を持っていることが名前の由来になっていて、その角には猛毒があると言われています。
緑色に反射する大きな目があり、引き上げられると目がグリーンに光り、どこか神秘的です。
フトツノザメの生態
フトツノザメはしばしば大きな群れを作ります。
水深や緯度でいくつかの性別の集団が見られ、卵胎生で2年間に妊娠期間を経て、1匹当匹あたり2~15匹の仔ザメを出産するといわれていますが、雌のサイズや地域で出産数は異なるようです。
性成熟はオスが4~11歳、メスが15~20歳となり、個体群によって異なるようです。
硬骨魚類や無脊椎動物を捕食し、普段は大人しいフトツノザメですが、捕食する時は獰猛な一面をのぞかせ、対象となる魚の頸を振って噛みちぎるなどします。
また、敵に襲われそうになった時も身体を曲げながら角を使って相手を刺そうとします。
食用としてのフトツノザメ
サメは特有のアンモニア臭を持っていて、あまり食用として好まれる魚ではありませんが、ツノザメの仲間にはそのアンモニア臭がありません。
そのため、身はお刺身やお寿司で食べられたり、練り物として加工されたりしているようです。
比較的高値で取引され、味は淡泊で上品なのだとか。
フトツノザメが見られる水族館
フトツノザメは日本に色々な水族館で観ることができます。
しかし、飼育が難しく、突然体調を崩して死んでしまうこともあるようなので、フトツノザメを見に行く時には事前に確認した方が良さそう。
2016年3月には新江ノ島水族館でフトツノザメが公開されています。
タカアシガニの長い脚の隙間を泳いでいる様子などが紹介されていますが、最近の情報はないので、こちらも確認が必要。
沼津深海水族館では2017年9月にフトツノザメが入荷されています。
かなり情報は新しいですが、公式のブログには短い展示になる場合もあると書かれていますので、こちらも見に行く前には事前に確認が必要です。
深海のサメ
フトツノザメと同じ深海域に生息しているサメの幾種類かをご紹介します。
メガマウスは水深10~300mの水域に生息しているサメです。
名前のように身体に比較して巨大な口を持っています。全長5mに対して1m程度の口幅を持ち、口を開けて主にプランクトンや小型の深海の生物を捕食します。
種類は発光性の小エビの種類やクラゲ、無脊椎動物などで、1976年にハワイ近海で発見されました。
日本では静岡県浜松市の砂浜に1個体が打ち上げられ、地震を予兆するサメなどと言われています。
イズハナトラザメの生息水深は100~200m。
静岡県下田市白浜の沖合で初めて見つかり、1992年に新種として登録されました。
全長が20~40㎝アリ、日本各地で見られるトラザメとは違う種類のサメです。
カスザメは水深20~200mの水域に生息し、全長が2mほどにもなるエイのようなサメです。
昼間はあまり動かず海底に潜んでいて、餌が捕食出来る範囲に近づくと一気に飲みこむという習性があります。
オロシザメは1985年に初めて北半球で発見されたサメで、全長は最大65㎝と言われています。
肌がおろし金状であることからこの名前がついたと言われています。
まるでブタのような噴水孔が特徴的です。
(ライター ナオ)