ヤマトヌマエビは、半透明の体色にややブルーが入っており黒っぽい斑点がある小さなエビです。

名前にヤマトとついていますが日本固有種ではなく、ヌマエビ科ですが沼にはいません。

 

最近は水槽の中で飼育すると苔を食べてくれる掃除屋さんとして、耳目を集めているようです。

寿命はどれくらいなのでしょうか。

ヤマトヌマエビの生態

ヤマトヌマエビは淡水に棲む甲殻類の一種です。

川エビ、と呼ばれる事もあります。

 

日本に生息しているヌマエビ科のエビは11種ほどです。

その中でヤマトヌマエビはヌマエビ属に属しており、最大の大きさのヌマエビです。

 

最大といっても、メスは4cm、オスは3cmです。

よく見ると体の斑点が、オスは点々、メスが線状になっているようですね。

インド洋など熱帯や亜熱帯に広く生息し、日本では四国や九州など千葉以南の主に温暖な地方に生息しています。

 

ヤマトヌマエビは河川の上流域に生息しています。

5月から8月にかけて産卵し、メスは約ひと月抱卵します。

孵化すると約1,5cmほどのゾエア幼生として海へ流れていきます。

 

海で9回の脱皮を経て稚エビとなると、河川へ遡上します。

遡上は晩夏から秋にかけて夜間行われます。

 

ヤマトヌマエビは小さな体ですが、ちょっとした岩などは乗り越える事ができるようです。

河川の流れや水流の速度などにより、遡上の方向や速度を決めているようでもあります。

 

遡上とは河川の流れに逆らって泳いでいく事ですが、魚類ならまだしもいかにもか弱そうなヤマトヌマエビが遡上を行うとは驚きのバイタリティですね。

ヤマトヌマエビは夜行性で昼間は岩陰などに隠れている為、野生下でその姿を見る事は難しいようです。

生態についてもわからない点が多く、特に海での成長期に関しては不明なようです。

両側回遊性について

ヤマトヌマエビのように、淡水に生息し海中で成長しまた河川へ戻ってくる性質の生物を両側回遊性といいます。

魚類ではアユなどがそうです。

 

回遊というと海の回遊魚としてマグロなどを連想しますが、回遊性にもいろいろな種類があり、ヤマトヌマエビのような甲殻類もいれば、貝類にも両側回遊性の生物がいます。

 

ヤマトヌマエビは小さいながらも、水分がある水槽のようなものであれば、1mほど登る事ができるようです。

その為、成体のヤマトヌマエビを飼育していると脱走してしまう事があるようですね。

海で成長した後は、行動力が大きく増しているのも特徴のようです。

 

ヤマトヌマエビは孵化後まもない、まだ海に行くにはか弱すぎるような姿で海へ流れていきます。

海水には甲殻類を強くさせる秘密でもあるのでしょうか。

ヤマトヌマエビの寿命

ヤマトヌマエビのメスの寿命は約3年、オスは長くて2年といわれています。

ヤマトヌマエビの役割

ヤマトヌマエビは、野生下においても重要な役割を担っています。

ヤマトヌマエビたちは雑食性なので、河川の石に付着した苔や有機物などをよく食べ河川の浄化に一役買っています。

 

川エビの多くは、河川を遡上する性質の魚類たちと同じようなルートをたどっているようです。

しかし、泳ぐことが得意な魚類にはできても、小さい川エビたちにとって、河川の上流付近につくられる構造物などが遡上の妨げとなってしまいその生息を脅かすこともあるようです。

 

魚類の餌にもなっている事から、ヤマトヌマエビたちが減少してしまうと河川は汚染され、アユなどの魚も河川に戻ってこなくなるかも知れません。

顕微鏡について

ヤマトヌマエビはとても小さいエビの為、水槽で飼育していてもルーペが必要になってくるくらいです。

体も透明ですしね。幼生時代なとは特に、肉眼で確認する事が難しいかも知れません。

 

顕微鏡が最初に発明されたのは1500年代のオランダだとされています。

それから約250年ほどを経て、目に見えない病原菌の観察ができるまでに精度が高まったようです。

 

現代の生物学の世界では電子顕微鏡がよく使われているようです。

名前の通り波長の短い電子線を使い、より対象物を拡大する事が可能になっているそうです。

 

電子顕微鏡は光学顕微鏡とは違い可視光線を使わない為、対象物の色はわかりません。

技術的には非常に高度で精密を極めているのは分かるのですが、色が分らないというのは不思議な感じもしますね。

光学顕微鏡と電子顕微鏡は、役割がちょっと違うような面もあるのでしょうか。

ヤマトヌマエビについて

地味な存在ながら綺麗な生物です。

往々にして目立つものに目が行きがちですが、気になる生物ですね。

ヤマトヌマエビのブルーの体色は、飼育し始めると薄くなってしまう傾向にあるようです。

 

ずいぶん前ですが、アユのつかみ取りをしたことがあります。

岩石だらけの浅瀬ではありましたが、河川の流れというものは浅くても足を取られる場合があります。

 

子供の手でアユを捕まえるのも大変ですが、捕まえ続けるのも大変です。結構重いですし、当然逃げようとします。

川遊びは楽しいですが、今思うと水の怖さを教えてくれるものでもあります。

当時はヤマトヌマエビの存在を知りませんでしたが、野生下でのヌマエビを見てみたい気がしますね。

(ライター:おもち)