目が退化してしまった生物というのは世の中色々いるわけで・・・・。
ブラインドケープ・カラシンもそんな生物の一種。
ブラインドケープ・カラシンの特徴
ブラインドケープカラシンはカラシン目カラシン科に分類されるネオンテトラなどの熱帯魚の仲間、
原産はメキシコで1936年に中部メキシコの洞窟の中で発見されました。
メキシカンテトラが洞窟内で生息するうちに視覚を失って適応したものと考えられていて、稚魚の内は目が存在しますが、成長するにつれて2種間ほどで目の部分が皮膚で覆われるのだそう。
体長は8㎝程度、皮膚はメラニン色素がないために白っぽい色をしています
鰓の部分だけが赤くなっているのが特徴です。
耳の役割を果たす側線器官が発達していて、水圧や水流の変化、外敵などを捕らえ、岩にぶつからないように泳ぐことが出来ます。
また、臭覚も発達しているので、エサを見つけることも出来ます。
ブラインドケープ・カラシンの目が退化した理由!?
最近の研究で、ブラインドケープ・カラシンは体内時計を持っていないことがわかりました。
体内時計を持たないことで消費のエネルギーを一定にしているということのようです。
体内時計を放棄することで、生き延びるのに必要なエネルギーが、実に30%も少なくなるということが分かったというのだから、これは凄いことです。
また、ある研究では、目と脳の視覚にかかわる部位の酸素消費量を調べたところ、成長過程の若い個体で視覚を持っているものと、持たないものでは15%もエネルギーの消費が違うことが分かったそうです。
両方の結果でわかるのは、エサの少ない洞窟内で生き延びるため、ブラインドケープ・カラシンは必要のない色々な機能を放棄し、エネルギーの消費を抑えてきた、ということ。
確かに、人間も目をつぶって、食べ物と何かの攻撃にだけ反応していたら、それほどエネルギーは使わないで済むのかも!?
ブラインドケープ・カラシンの飼育
ブラインドケープ・カラシンは明るい場所でも生きていくことが出来ます。
飼育も比較的簡単で、熱帯魚と同じように飼育することが出来ますが、気性が荒い為、単独で飼うことをオススメします。
水温は23~26℃。
PHは7~7.5。エサはイトミミズやミジンコ、アカムシなどです。
数匹程度なら30㎝の水槽で十分、10匹くらい飼うなら45㎝以上の水槽がお勧めです!
一匹200~400円ほどで販売されていて、上手に飼えば5年は生きると言われています。
アルビノのように白く、目がない、一見不気味な雰囲気を醸し出す熱帯魚なので、観賞用として、というよりはどちらかというと、生態を観察して楽しむのが良いかも。
小型の熱帯魚と一緒なら複数飼いも出来るそうです。
個人的な興味としては、もともと暗い洞窟の中で生息することによって失われた目が、明るい場所でふんだんにエサが与えられる状態で飼育された場合、繁殖を繰り返したら、そのうち目はまた復活するのではないか?ということ。
5年間という寿命の中では難しいかもしれないけれど、代々水槽の中で繁殖を続けていけば、いずれ‥‥なんてことは起こらないのでしょうかね?
ブラインドケープ・カラシンのまとめ
ブラインドケープ・カラシンはメキシコ原産の熱帯魚。
洞窟での生活に適応し、生まれたばかりの稚魚には目があるが、2週間ほどで目は退化してウロコで覆われる。
メラニン色素が形成されないので、体表は白く、鰓の部分だけが赤い。
体内時計を持たないことや、視覚を放棄することでエネルギーの消費を抑え、エサのない洞窟という環境に適応している。
明るい場所での飼育も可能で、他の熱帯魚の飼育と同じように飼育することが出来る。
気性が荒いので、飼育する場合は単独飼いがお勧め。小型の熱帯魚と一緒だったら飼育することはできる。
(ライター ナオ)